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<ひき逃げ>文化祭準備の高校生重体 男を逮捕-群馬・高崎

2009年06月08日 06時06分00秒 | 社会・経済
高校生重体、ひき逃げの疑いで男逮捕。
 7日午前1時ごろ、群馬県高崎市八千代町2の県立高崎高校の正門前市道で、同市東貝沢町1、同校1年、沢田拓朗さん(15)が乗用車にはねられた。車は現場から走り去り、沢田さんは頭などを強く打って意識不明の重体となっている。
 県警高崎署によると、同6時半ごろ、同署に「人をはねたようだ」と家族を通じて電話してきた同県安中市安中3、製印業、滝本雄次容疑者(62)を自動車運転過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で緊急逮捕した。滝本容疑者は「酒を飲んでいたので怖くなって逃げた」と容疑を認めているという。
 同校は6、7日が文化祭で、沢田さんは当時、同級生ら10人ほどと正門前の飾り付けを手直し作業中だったという。


従来、交通事故の加害者は故意がないことを前提として「刑法第211条の業務上過失致死傷罪」によって処理されてきた。しかし飲酒運転や大幅なスピード超過、無免許運転など極めて悪質な交通事故が社会問題となり「自動車運転過失致死傷罪」が新設された。
2006年8月に幼児3人が死亡した福岡市元職員・今林大被告(高裁判決懲役20年・上告中)の飲酒運転追突事故や2005年5月、仙台育英高校の生徒の列に暴走RV車が突っ込み、生徒3人が死亡し15人が重軽傷を負った佐藤光受刑者(懲役20年確定)の飲酒運転人身事故などに適用されて、運転の悪質性や犠牲者の多さなどから考えて、それまでの業務上過失致死による処罰に比べれば非常に厳しい(※因みに今林大被告の地裁判決での業務上過失致死では懲役7年6ヶ月)量刑となった。

悪質な運転による悲惨な事故を減らすことを考えれば厳罰化は好ましい対応であると感じるが、ひとつの矛盾が生じている。それは酒気帯び運転で死亡事故を起こして逮捕されて自動車運転過失致死傷罪に問われるよりも、その場から逃げ去ってあとで逮捕された時に飲酒を否定して脇見運転等が事故の原因と主張して業務上過失致死罪に問われたほうが刑が軽くなる可能性が高いという、いわゆる「逃げ得」である。悪質な運転に加えて悪質な対応(轢き逃げ)をしたほうが刑が軽いという、なんとも不思議なことになってしまっている。本件の容疑者も「酒を飲んでいたので怖くなって逃げた」と供述している。

こうした矛盾の解決法のひとつとして、轢き逃げに「殺人罪」の適用がある。即ち「被害者をこのまま放置して逃走すれば被害者が死亡するかもしれないが、それでも構わない」という「未必の故意」による殺意を認定して殺人罪に問うものだ。しかし、この「未必の故意」という考えは小説や映画では頻繁に登場する言葉であるが、実際の裁判で認められるケースは小説や映画ほど多くはない。これを証明するのは極めて難しい。やはり根本的な解決は、轢き逃げを自動車運転過失致死傷罪と同等かそれ以上の量刑に改めるしかないだろう。そうしなければ、今後も「逃げ得」が横行して貴重な人命が轢き逃げによって失われる事態を減らすことができないだろう。


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