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基準って何? ――放射能とユッケ

2011年05月06日 07時52分33秒 | 社会・経済
子供の年間許容被爆線量を20ミリシーベルトと定めた事が大きな波紋を巻き起こしている。
政府のブレインに招いた大学教授が涙の辞任会見。
当初は「20ミリで何の問題もない」と大見得を切っていた政府も、だんだん「20ミリ浴びて良いとは思っていない」などとトーンダウンしてきた。「20ミリ浴びると健康被害が起きるデータはない」が20ミリと定めた背景らしいが、同時に20ミリなら絶対に安心という保証もない。そもそも放射線被爆の人体実験など(故意には)行われていないのだから、データが乏しくて当然だ。
だったら多くの人たちが主張する1ミリに引き上げれば良さそうだが、そうすると多くの学校をすぐさま閉鎖しなければならなくなるそうだ。そうなれば、また多くの避難民が発生する。なぜなら福島第一原発の収束まで最低でも1年はかかる。その間、学校を休校にしておけない。かといって子供だけを別の地域へ移すのは不可能。結局、家族ぐるみで他地域に避難させなければならなくなる。
そんな事は大変だ。だから20ミリにしたのだろう。

震災関係のニュースに替わって、最近トップニュースで扱われているのがユッケの食中毒事件。一番、驚いたのが、厚労省基準で「生食用」と定められた牛肉は2009年、2010年といずれも流通がゼロだったという点。社会で供給されていたユッケ等の生肉は、過熱用牛肉を販売者独自の判断で出したそうだ。この辺を報じるマスコミはイマイチ歯切れが悪い。加熱用を生で出しても罰則がないからか。すべてのユッケが危ないとなれば、はやりの「風評被害」で訴えられる危険があるからか? しかし、実際問題として、この数年間、生で出された牛肉には「安全」という公式のお墨付きが無かったのは事実。
しかし、ほとんどの生肉は問題なく食べられてきた。ならば厚労省の基準のほうがおかしいのか。罰則無しで加熱用牛肉の生食提供を黙認するくらいなら、現実的な生食提供の基準に改めれば良いのでは?――と思うが、難しそうだ。基準を緩めたあとで、その基準で食中毒が発生すれば、基準を定めた厚労省が責任を取らなければなくなる。それは嫌だから、絶対に責任を取らなくても良いような厳しい基準を守ってるのだろう。だがそれではユッケなど売れなくなるから、加熱用牛肉を生で売っても罰則はなしと黙認して事実上、流通させている。
「食中毒が起きても厚労省は責任なく、売った側や食った人の自己責任」という立場だ。

20ミリの許容線量と、生肉の販売基準に共通しているのは、「自分たちが面倒な事に関わらない」のを第一に考えていることだろう。学童や消費者の安全・安心はその下にある。