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【訃報】名優・森繁久彌さん死去

2009年11月10日 20時09分00秒 | 音楽・芸能
森繁久彌さんが死去。

また大好きだった俳優さんが亡くなってしまった。
好きだった著名人が亡くなった時に「好きだった」と何度か記しているが、森繁さんは「特に大好きだった」役者であった。
年齢が年齢だけに「いずれは……」と覚悟してはいたが、実際に訃報に接すると、やはりたまらない。

筆者の年齢では「社長シリーズ」や「駅前シリーズ」は知らない。残念ながら「屋根の上のバイオリン弾き」も観てない。
森繁さんで特に好きだったのはTBSで不定期に10年ぐらい放送されていたドラマの『おやじのヒゲ』シリーズ。優秀な息子である竹脇無我を毎回困らせる、しかし人情味があって誰からも愛されている不良爺役を好演した。まるで森繁さんの晩年の姿そのままだった。竹脇さんとの共演は「だいこんの花」でもおなじみ。なんでも森繁さんと竹脇さんの父親が親友だったそうで、竹脇さんは実生活でも森繁さんを父親のように慕っていたそうだ。
同じくTBSで放送されたスペシャル時代劇の『関が原』での徳川家康役も光った。この作品は日本の名立たる役者を全て集めたかのような超豪華キャストによる作品だが、その中でも森繁さんはピカイチだった。家康の狡猾さが非常に上手く表現されていた。今でも家康役の最高は、この作品の森繁さんに思える。1981年だから、もう四半世紀も前の作品だが現在見ても全く遜色ない。歴史好きの方には文句なくお勧めできる作品だ。

森光子さんの国民栄誉賞の時に「不良ばあさん」と書いたが、森繁さんも「不良じいさん」だった。それが魅力だった。10年ほど前だったか、何かの席でインタビュアーが森繁さんに質問した。それに森繁さんが見当外れの答えを返した。その瞬間、周囲がさっと凍りついた。そう、森繁さんが呆けてしまったと思ったのだ。しかし、ご本人は意に介さず、あっけらかんと笑っていたそうだ。そう、「呆けたボケ」だったようだ。真相は知らないが、年寄り扱いへの反発だったのではないか?と感じる。80歳を過ぎた頃から森繁さんに労わりを以って接する場面を何度も見た。周囲はもちろん敬意を払ってしているのだろうが、森繁さんは年寄り扱いと感じたのかもしれない。普通の年寄りなら「年寄り扱いするな」とストレートに文句を言うところだろうが、森繁さんは逆に年寄りの演技で驚かせて「仕返し」をしたのかもしれない。ユーモアに長けた森繁さんならそれくらいしそうに思える。全くとんでもない老人だ。しかし、そんなお茶目な人柄も大好きだった。

文化勲章とか国民栄誉賞だとかを受賞するのは立派なことだ。しかし、かといって「ああいうふうになりなさい」と子供には言いにくい不真面目さがある。それが素晴らしい。人間的な魅力だ。沢尻エリカなんかも、森繁さんや森光子さんのような役者になるなら大したものだと思う。人間が不真面目なせいか、どうしても優等生よりこういう人たちが好きだ。

なんかとりとめがない。やっぱり大きなショックだとご了承いただきたい。
謹んでご冥福を祈ります。安らかにお休みください。


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