危険生物図鑑
以前見たNHKのテレビ番組「有吉のお金発見 激突カネオくん」によると、図鑑が子どもたちに大ブームで、発行部数も伸びているという。
そういえば長女の家にも子供向けの図鑑がたくさんあるし、我が家にも何冊か置いてある。その中で私のお気入りは危険生物図鑑というちょとマニアックな図鑑である。
危険生物と言えばワニやライオン、ヘビなどを思い浮かべるが、それだけではなく身近に潜むムカデやハチや毛虫。ニラと間違って食べてしまう水仙の葉や、青くなったジャガイモなども危険生物に入っている。
なんと危険生物の多い事か……。何気なく見ていたのだが、以前刺されたことのある生き物たちがたくさん載っていた。
ハチといってもあの凶暴なスズメバチにはさすがに刺されたことはないが、アシナガバチやミツバチにはよく刺されものだ。ムカデに初めて刺されたのは子供のころで、竹やぶで遊んでいたら刺されてしまった。その時母がご近所からムカデ油なるものを貰ってきてくれた。
生きたムカデを油に付け込んだという年代物の真っ黒な油を、刺されたところに塗ってもらうとすぐに痛みが消えて腫れることもなかった。
ムカデに刺されたのは子供の時はそれ一回きりだったが、大人になってからは二度ほど刺された。
一度目は田植え靴の中に二度目は長靴の中に潜んでいたのを、知らずに履いてしまった。最初カミソリが靴の中に入っていたのかと思った。以前カッターナイフで指を切ったことがあるが、その時はムカデに噛まれたのかと思った。だからムカデに噛まれ痛さを例えるならば、カミソリで切られたような痛さになるだろう。
なんだか物騒な話になったが、田舎の家は大概そんなものだ。とりわけ私の生家は竹やぶの隣にあるので、よくムカデが入ってくる。ある時など寝ていたらムカデがモゾモゾと蒲団の中を這っていたこともあった。慌てて飛び起きて、寝ぼけ眼でスリッパを振り上げて叩きつぶした(強い者だ)。しかしこの場合これで安心とは言い切れない。
ムカデは一匹出てくると、近くにもう一匹いると言われているからだ。事実そういう場面に出くわし、一度に二匹退治したことが何度かあった。だからその夜もどこかにもう一匹いないかと蒲団をひっくり返し部屋中を捜したのだが、その時は一匹しかいなかった。
そこで薬箱から薬を取り出し、いつ刺されてもいいように枕元に置いて寝た覚えがある。そんな怖い思いをしてよく寝られるなとお思いかもしれないが、田舎の家なんて大概そんなものだ。怖いから家の外に出ないようにしていても、ムカデなんて奴は自分から家に入ってくるのだから仕方ない。
そんなわけで我が家の薬箱にはムヒアルファみたいな、ムカデやクラゲに刺された時に効くぬり薬を常備している。この手の薬は実によく効いて、数回塗ると痛みや腫れもすぐにひいてくる。いい薬ができたものだ。
それにつけても子供の時に塗ったあの「ムカデ油」はいったい何なのだろうかと思う。数年前に例のムカデ油を貰った家の現在のご当主さんが、夜寝ていたらムカデに刺されたといってパンパンに腫れた腕を見せてくれたことがあった。もちろんすぐにムカデ油を塗ったのが、このありようだという。
気の毒なくらいに腫れた腕を見ながら、私の時はよく効いたのにと不思議な気がした。
あの時のムカデ油は確かによく効いたと思うが、私の記憶違いだろうか。当時はそこの家のご隠居さんが作っていたので、特別な作り方があったのだろうか。
それにしても身の回りにはまだまだたくさんの危険生物がいる。そしてそれらは夏に活発になる。皆さま、夏は本当ご用心!
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