スマートフォン
2011/11/ 2 JCASTニュース
スマートフォンの新しいモデルが次々に登場するなかで、従来型の携帯電話から乗り換えようか迷う人が見られる。興味はあるが、機種変更してどんなメリットが得られるかが今ひとつ理解できないという。
一種のブームとなっているスマートフォンだが、「料金が高額そう」「操作が難しいのでは」とのマイナスイメージもあるようだ。
データ通信は高くなるが端末代は安いケースも?
国内市場では、従来型の携帯電話からスマートフォンへの移行が着実に進んでいる。調査会社MM総研が2011年10月27日に発表した、2011年上期の国内携帯電話端末の総出荷台数は2028万台で、うちスマートフォンが1004万台と全体の49.5%に上った。下期では従来型携帯を追い抜きそうな勢いだ。主要携帯電話メーカーは軒並み、秋冬モデルの主軸にスマートフォンを据えている。
それでも「スマートフォン購入に踏み切れない」との声が上がっている。ポータルサイト「goo」は、その理由をランキングにまとめて公表した。1位は「月額利用料が高そう」、2位は「本体価格が高そう」と費用関連が占めた。3位は「電池のもちが悪そう」で、4、5位は片手操作や文字入力が難しそう、と操作面での不安が理由に挙げられている。
月額利用料は、確かにスマートフォンが高額になる傾向にある。原因はデータ通信料金だ。インターネットでウェブサイトを閲覧する際、パソコンと同様にフルブラウザのため、簡易版ともいえる「ケータイサイト」と比べて格段にデータ量が増大する。そのため「パケット定額プラン」の加入が求められる。例えばNTTドコモの場合は、月額一定で5460円に設定している。従量課金型で、月額390円からスタートし上限5985円というプランもあるが、モバイル通信分野に詳しい武蔵野学院大学准教授の木暮祐一氏によると、「数日で上限金額に達する」。一方、従来型携帯場合は、ドコモの「iモード」のパケット定額制で上限4410円。しかも相対的にデータ通信量が少ないのでパケット量も抑えやすく、使い方によっては支払い額の低減につなげられる。
一方、端末料金は必ずしもスマートフォンが高いわけではない。例えば米アップルの「アイフォーン(iPhone)4S」。ソフトバンクモバイルの料金プランを見ると、2年契約を基本に割引が適用されるため、16ギガバイトモデルは本体が実質無料だ。このように、料金プランとの組み合わせ方によっては、スマートフォンの方が従来型携帯よりも、毎月の支払い額が安くなるケースもある。
「通話大前提の電話機」と「小型化したパソコン」
電池の消耗はスマートフォンの方が早い。画面が大きいうえ、アプリケーションを頻繁に使えばそれだけ電力消費が増す。操作性については、「慣れの問題ではないか」と木暮氏は指摘する。最近では片手で持ちやすいデザインを工夫したスマートフォンも出ており、改善は進んでいるようだ。
「goo」の調査では、そもそも「スマートフォンと携帯電話の違いが分からない」との回答が9位に入った。木暮氏は「従来型携帯はあくまで通話が大前提でつくられた電話機で、その先に各種機能が加えられたもの。一方のスマートフォンは『小型化したパソコン』で、通話は機能のひとつにすぎません」と解説した。主な用途が「電話」か「ネット」のいずれかで、端末を選ぶ方法もあるだろう。ネット掲示板を見ると、「ガラケー(従来型携帯)で満足してる奴はそれでいいんじゃないかと思う」との意見や、スマートフォン利用者で「料金はwi-fi利用のおかげでかなり安くなった」と明かす人もいる。「どうせ買うなら最新版がいいと思って次の機種が出るのを待つ」ため、タイミングを逃すとのぼやきもあった。
だが、既にモバイル通信端末の主流がスマートフォンに移行しつつある以上、将来的には選択肢が限られてくる可能性は高い。木暮氏は、無理にスマートフォンに変える必要はないが、限定的なネットサービスしか利用できない従来型携帯よりも、パソコン同様の使い方が可能なスマートフォンに今のうちに慣れておいて「損はない」と話す。使い始めは違和感があるかもしれないが、乗り換えを迷っているなら、「まずは使ってみては」と勧める。
「操作に慣れたら『今までのケータイは何だったんだろう』と思うかもしれません」(木暮氏)