月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

御寺大事

2012年03月30日 21時01分28秒 | 仏々相念(住職日記)

とうとう・・・

 

お寺、お寺、お寺・・・

お寺大事の前仏婦会長Mおばちゃん。

私を含め4代にわたる徳正寺の住職は、この方の惜しみない力をいただいて立たせていただきました。

 

話し好きでして・・・

一言振ると延々と話すイメージ。

苦労話、笑い話、泣く話し・・・偽りのない人生観を話して下さった。

 

お参りされても本堂の定位置に座られました。

外陣香ろうの真ん前、中央に座り親さまを惚れ惚れと拝まれておられました。

「ナンマンダブ、ナンマンダブ・・・有難うございます!」

「よう、お参ったな!あんたもよう参ったな!あんたも・・・」

 

何時頃から本堂に参れなくなったでしょうか・・・

参りたくて堪らなかったのに、足が痛くて・・・

 

本堂の修復も終わり、鐘楼堂もきれいになったある日。

Mおばちゃんを連れて来てあげよう!って思い立ったことがありました。

「Mおばちゃ~ん、おる?こんにちは!」

「御院さんかな!よう来てくれたな~!」

一緒にお内仏にお参りさせていただいて、「Mおばちゃん、本堂も鐘楼堂もお陰できれいにしてもろうたよ!」

「そうかな!よかったな~!私もお参りしたいけどお寺までよう行かん・・・」って涙声。

「Mおばちゃん、今日、車で来とるけん一緒に行ってみる?」

「本当かな!連れて行ってくれるかな!!!」あの時の笑顔、忘れられません。

お参り一式が入った手提げかばんを持たれることの早かったこと。

こんなに喜んでくださるのに放っておいて申し訳ない・・・

「おばちゃん、おんぶしてあげるから背中に乗って!」

「お~、御院さん!あなたの背中に乗れますかい、大丈夫、歩きますから・・・」って結局、痛い足を無理して進めました。

 

徳正寺は未だスロープがありません・・・

これがあればな~、車を押しながらでもお参りして下さる方がいるかもしれないって思うものの・・・

未だにつけてないのです・・・

申し訳ありません、いつの日か、必ず!

 

三門の階段を一生懸命あがり、左に見える鐘楼堂を見ながら「きれいになったな~」って喜んで下さりながら本堂へ・・・

定位置に座り、いつもと変わりないお念仏・・・

涙涙のお念仏・・・

「あ~、お参りさせてもろうてよかった~・・・」

本堂で一緒にお念仏した最後のご縁でした。

暫く、前拝の階段に腰掛け大好きなお寺の空気を感じておられました。

 

よう、願生ったね!

よう、生き抜いたね!

そう思わずにはおれんひと時でした。

 

間の休みに仏間に入って来られた現仏婦会長・・・

Mおばちゃんからバトンを受け継ぎ徳正寺を支えておって下さいます。

私と坊守の姉のように・・・常に力を与えて下さいます。

この方のお念仏を聞かせていただきながら、もの凄くホッとしているコイツがいるのです。

「よかった・・・オレにはアネサンがおってくれる!」って・・・

多分、前住夫婦もMおばちゃんのお念仏の声を聞きながらこんなに思っていたんだろうって・・・

 

寂しくなるな~・・・

寂しいんですけど、でも、なぜなんでしょうね、この胸の落ち着きは・・・

Mおばちゃんが、お念仏の人生を生き抜いたからなのでしょうか・・・

一緒にいてくれることの温もりに出会うからでしょうか・・・

 

これからも、願生ります!オレも・・・


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