月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

弟様之涙

2012年03月28日 22時25分40秒 | 仏々相念(住職日記)

温かいな~・・・

 

初めてお参りさせていただくお家。

地図をいただいていたものの迷うコイツがいました。

久しぶりに道に迷いました。

大体のところ見当はついていたのですが、そのポイントも過ぎてしまい不安になり橋の元で車を止めます。

地図を見るため下を向き悩みつつ、ふっと顔を上げると若い女性がニコニコの横を通り過ぎようとしていました。

変な人だと思われるかもと思いつつも、ここは現状をクリアしないとって思い勇気を振り絞り、

「すいませ~ん、すいませ~ん!〇〇〇病院ってどちらにあるんでしょう?」

その女性は嫌な顔一つせず、「あ~、もう通り過ぎてますね~。よかったら、ご案内します!」っておっしゃってくださるのです。

「え~、よろしいんですか?御迷惑をおかけします。」とお願いしニコニコに乗っていただいたことです。

何て爽やかな女性なんだろう・・・こんなオッサンの道案内をして下さって有難いことです。

病院の位置が分かれば大体の所が分かると思っていたのですが、それからもあっちゃこっちゃ迷いながらも何とか到着。

結果、遅刻・・・でも、優しい笑顔でお迎え下さることに深く頭が下がることでした。

 

優しい空気に包まれます。

話される会話は、「最高の夫であり、父であり、爺ちゃんであり、兄でした」

あ~、そんなお方だったんだ・・・

私も一度だけお会いしているものの、口下手住職はあまりお話しせずに失礼しているのです。

後々、悔むのです・・・「もっと話しとったらよかった」って。

 

こんな最高な話を聞くと、さぞ残念だろうな~って思うのです。

「まだ、生きていてほしかった・・・」

 

坊守の父が御往生された時がそうでした・・・

最高の話ばかりなのです、どなたもどなたも・・・

それを聞きながら「もうちょっと生きていてくれたらな~・・・」

いまだに思います・・・

義父の話題のなる度に・・・

法務の苦しみを抱える度に・・・

 

どうしてもお伝えしたいことがあり法話の時にお味わいさせていただいたことです。

 

背中を擦る温もり・・・

最高の兄を送る弟さまの姿がありました。

悲しみの中で歯を食いしばり喪主を務める奥様を守るようにサポートされます。

兄の遺言を守るように・・・

葬儀も終わり火葬場での一番辛いひと時・・・

昔のシステムなのでしょう、炉のなかに棺を納めた後、喪主様御家族が着火するために炉前ホールから中に入られて行きます。

ドアの前で悲しさに震えながら立つ弟さま。

その父の心が分かるのでしょう、娘さまがそっと寄り添いお父様の背中を擦るのです、

「お父さん、しんどいね!辛いね!悲しいね!・・・もう泣いていいんだよ、よく涙我慢して叔母様をサポートしたね!」って感じで、優しく擦っておられました。

そのはたらきの中・・・やっと安心して泣くことが出来る父の姿。

私は大好きです!こんな温もりが・・・

これこそしんどさを乗り越える力だと思っているのです。

 

一人ぼっちでは生きていけません。

「いや~、そんなことないよ!オレ、一人で生きていけるから・・・」って、おっしゃる人もおられるのでしょう。

世の中、金さえあれば・・・

確かに、金さえあれば生きれるのでしょうね・・・

何でも食べれるし、住むところも確保できるでしょう、病にかかっても治療も受けられる。

無くてはならない大きな大きな存在であることに違いはありません。

大切なものです・・・

でも・・・それだけでは・・・って思うのは外面住職なのでしょうか。

如何でしょうか・・・

 

「金で人の心も買うことができる」って言ってのけたIT企業の社長がおられました。

金の力で人を従えることはできるのかもしれません・・・

でも・・・泣いてはくださらんでしょうね。

 

朗らかな笑顔の喪主様、

いきなりブログの感想を言って下さるのです、「矢沢永吉さんがお好きなんですね!何かイメージが違いますね!」って。

あ~、私の日常丸見えなんだと思いつつ恥ずかしさいっぱいの中、「大好きで応援してま~す!」

お陰で和みながらのスタートとなったことです。

優しいおはたらきで人見知り住職を助けて下さるのでしょうね、嬉しかったです。

 

「何にも分からないから、Kさんにおんぶにだっこでした!」

辛かったけど、しんどかったけど・・・あなたのお陰で何とか乗り切ることができるのです。

安心して・・・乗り越えることができるのです。

 

一日一日、逢いたさに涙を流される時となるのでしょう。

「逢いたくて・・・逢いたくて・・・」

でも、一人ぼっちにしてくださらんおはたらきはもう既に愛しいあなたの背中を優しく包みこんで下さっているのです。

涙されるそのまんまを・・・

 

そこに出遇わせていただいたひと時でありました。

 

気付きながら気付きながら・・・これからも共に歩ませていただきましょう。ね!

 

今日もいろんな方にお世話になって生かさせていただきました・・・有難うございます。


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