久しぶりの「弁護技術を生活に。」です。
今回取り上げるのは ループクエスチョン
具体的には、こんな感じです。
弁護人 「そこで、Aさんは、どのような行動をとりましたか?」
証 人 「いきなり、包丁を取り出したんです。」
弁護人 「Aさんは、いきなり包丁を取り出した後、どうしましたか。」
弁護人は、証人が答えた内容(「いきなり包丁を取り出した」)を、次の質問の中に取り入れていますね。
弁護人が質問して、証人が答えて、その答えが次の弁護人の質問につながるという循環が生じていることから、ループクエスチョンと呼ばれます。
この質問方法の効果は、強調したい点を、裁判官・裁判員に二回聞かせることでより印象づけることができます。
上の例であれば「Aさんがいきなり包丁を出した」ということを強調し、印象づけることができるのです。
このループクエスチョンを日常会話の中で使ってみるとどうでしょう?
相手の会話の中で出て来た言葉を使って、あなたが次の質問をしてみたら・・・
相手の会話の中で、自分が大事だと思った点を、相手に伝えることができます。
相手の話をちゃんと聞いていること、興味を持っていることも伝えることができるでしょう。
相手は、あなたのことをとっても話しやすい、いい人と思ってくれるかも。
このループクエスチョン、使うときに一つ注意することがあります。
それは、多用しないこと!
法廷でも癖になっていて何度も使う弁護士がいます。
たとえば、先の例に続いてこんな風に質問したらどうなるでしょう。
弁護人 「そこで、Aさんは、どのような行動をとりましたか?」
証 人 「いきなり、包丁を取り出したんです。」
弁護人 「Aさんは、いきなり包丁を取り出した後、どうしましたか。」
証 人 「包丁を被告人の方に向けました。」
弁護人 「包丁を被告人の方に向けてから、Aさんはどうしましたか?」
証 人 「包丁を顔の前に突き出しました。」
弁護人 「包丁を顔の前に突き出されて、被告人はどうしましたか?」
証 人 「後ずさりしました。」
弁護人 「被告人は後ずさりするときに、何か言っていましたか?」
どうでしょう?
多用してしまうと、強調する効果がなくなりだけでなく、とてもくどい会話になってしまいます。
ループクエスチョンは、もっとも強調したい、ここぞ!というところで使ってください。