弁護士辻孝司オフィシャルブログ

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「雪国」に学ぶ弁論の切り込み方 ~ 弁護技術を生活に vol.7 ~

2012-05-15 15:22:01 | インポート

刑事裁判の最後の場面、弁護人が陪審員に向かって、被告人の無罪を語りかける....

法廷映画の一番の見せどころです。

私も「評決の時」(1996)のマシュー・マコノヒーの弁論に憧れます。

   

さて、スピーチのセオリーとおりにきちんと弁論するなら、

「ご紹介ありがとうございます。」(司会者への礼)

「みなさん、こんにちわ」(挨拶)

「私は、弁護人の辻 孝司です。」(自己紹介)

「こうして、この裁判でみなさんと出会い、一緒に考えることができることをうれしく思っています。」(ウェルカム)

「さて、被告人が犯人であることに、疑問は残っていないでしょうか?」(背景)

「被告人は無罪です。」(結論)

「その理由は、3つあります。1つめは***、2つめは***、3つめは***」(ロードマップ)

というステップを踏んで話し始めることになります。

この話し方はすばらしい、こういう話し方をすると、弁護人は礼儀正しく、誠実で、

論理的な人だと受け止めてもらえるでしょう。

      

でも、もっと上をめざすなら、切り込み方、はじめの一言に工夫をします。

例えば、目撃証言を崩すために「その夜...月は出ていませんでした。」といきなり話を始めたら、

聞いている裁判員は、おっ!一体弁護人は何を言い出すんだと興味をもち、「月」のない闇夜が

強く印象に残ります。

Yukiguni

  

 

 

 

 

川端康成が、

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

と書き始めたように、印象的なフレーズから入るのです。

      

     

挨拶や自己紹介を省略できる、既知の間柄の聴き手との間であれば、こういう話し方は

とても効果的です。

スピーチする機会があれば、余計な前置きは一切なしにして、十分な間を取って、

聴き手の視線を集めて、ズバリ、印象的なフレーズから切り込んでみてください。

きっと、聴き手の期待感を一気に高めることができるでしょう。

 

 

 


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