「京都から死刑制度の廃止をめざす弁護士の会」代表の堀和幸弁護士が参加された
今年6月の韓国調査(日弁連)の報告会に参加してきました。
韓国の刑事司法制度は日本とよく似ており、法律上、死刑制度も存続しています。
しかし、1998年から14年間死刑は執行されておらず、アムネスティーインターナショナルから事実上の死刑廃止国として分類されています。
決して、韓国で凶悪事件が発生していないというわけではなく、2004年には約10ヶ月の間に21に賃の猟奇的に殺害したという事件や、同じ年に約2年間に殺人、誘拐、強姦殺人、強盗殺人などを繰り返して13人を殺害し、21人に重傷を負わせたというような酷い事件も起こっています。
これらの事件では死刑判決が言い渡されていますが、
執行はされていません。
韓国で死刑が執行されていないことには
いくつかの背景事情があるそうです。
軍事独裁政権下で死刑が乱発され、多くの死刑執行がなされたことへの反動や、
その後の大統領による政治的リーダーシップ、
死刑廃止を求める国会議員の活動が活発なこと、
国家人権委員会や憲法裁判所という独立した憲法審査期間が存在していること、
現在の国連事務総長が韓国人であり、死刑廃止を求めるEU諸国との関係も深いこと、
さらに、キリスト教が大きな力を持っているという宗教的な事情もあるようです。
ただ、韓国でも世論調査では国民の60%以上が死刑存置に賛成という結果が出ており、国会に死刑廃止法案は何度も発議されているにもかかわらず、未だ、可決には至っていません。
もっとも、すでに14年も執行されていないことから、執行のための設備は老朽化しもはや使いものにならず、執行するスキルのある刑務官もいなくなってしまったことから、
事実上、死刑執行を再開することは困難になっており、今の状態が続いていくことで、
国民の死刑廃止への抵抗感も薄れ、いずれ、韓国では死刑廃止が法律によって定められることになりそうだということです。
お隣の国、韓国から輸入すべきものは、キムチや韓流ドラマ、韓流アイドルだけでなくて、法制度にもあるようです。
京都から死刑制度の廃止をめざす弁護士の会のHPもご覧ください。
http://www7.ocn.ne.jp/~kyo_shmk/1801.html