京都府警で、「弁護士から見た警察捜査について」という演題で講義をしてきました。
新任刑事及び刑事として登用を控えた若手の警察官の皆さんの前で話をさせていただきました。
内容としては、
被疑者国選弁護制度、裁判員制度によって、刑事裁判委にどのような変化が生じ、その変化が警察捜査にどのような影響を及ぼしているかという視点から、
被疑者国選、可視化、証拠開示によって警察捜査が弁護士に見えるようになってきたこと、
取調べでつい言ってしまう不用意な一言が、自白の任意性に疑問を生じさせないかねないこと、
適正手続を遵守して、客観的証拠の証拠能力、信用性、証明力を失わせないようにすべきこと、
などについて話をしてきました。
具体例をたくさん入れて話をしたからか、皆さん熱心に聞き入ってくれました。
例えば、
「皆さんは、利益誘導で自白させてはいけないということはよくわかっておられます。
でも、そんなつもりはないのに、利益誘導したと言われてしまうことがあります。
被疑者の立場にあると、一番気になるのは自分がこれからどうなるかということです。毎日、そのことを考えてます。
そんな被疑者の前に、皆さんが、取調べにやってきます。
被疑者からみれば、皆さんは、経験豊富な刑事手続の専門家、頼りになる存在で、おまけにとても親切そうです。
思わず、「執行猶予付きますか?」と聞いてみたくなります。
皆さんは、親切で、優しい刑事、しかも経験も豊富です。
そう聞かれたら、思わず、正直に「たぶん執行猶予付くんちゃうか」と教えてあげたくなります。
「だったら、正直に、全部認めます。」被疑者が自白を始めます。
もし、こんなやり取りがあったら・・・・
後に、弁護士から、利益誘導(執行猶予にしてやるから自白しろと誘導)されたと主張されてしまうかもしれません。
気を付けてください。こういう時は弁護人に聞きなさいと答えた方がいいですよ。」
といった感じです。
今日の講義は、昨年、新しく竣工した京都府警察本部で行いました。
開放的で、明るい、とても気持ちのいい建物です。
食堂もあるようなのですが、府民にも開放してくれないかなあ。