京都府警の警察学校で講演をしてきました。
何年か前に、法廷で私の弁護活動を見た警察の方から声を掛けられて以来、年に2,3回、講演を依頼されるようになりました。
今回は、刑事になりたてのみなさん50名ほどが受講生です。
演題は「弁護士から見た警察捜査」ということで、
弁護士が警察捜査をどのように見ているのか、弁護士がどんなことを狙って弁護活動をしているのかという、
弁護人の戦術、戦略を、正直にお話してきました。
弁護士仲間からは、「そんなことまで話されたら困る!」と怒られそうな内容ですが、弁護士と警察も決して敵対関係にあるわけではなく、刑事司法をフェアなものとしていくために、共に協力していくべきことも多くあると思い話をしてきました。
内容は・・・・
無罪判決には必ず捜査側のエラーがある。
だから、弁護人としては捜査官のエラーを待っている。
エラーを見つけて、それを証拠として残そうと狙っている。
捜査官がエラーをしてくれないならエラーを誘う、エラーしたんじゃないかと疑いを作る。
そうした弁護活動に対抗するためには、
捜査官がフェアな捜査をしているということを、目に見える形で証拠に残しておかないといけない。
少しでもエラーがあったり、フェアじゃないと思われたら、裁判官はフォローしてくれるけど、裁判員は厳しい。
という総論を話したうえで、
取調べで、捜査官がついつい言ってしまいそうな発言をあげて、その発言を弁護人がどのように利用するのかを解説してきました。
例えば、
「たいした事件やあらへん、どうせ執行猶予や」
「普通やったら、こうなるんとちゃうか」
「弁護士は商売や、本当にお前のことを考えているのはわしらや」
「弁護士の先生はどう言うてはるんや?」
などなど…
「取調べでこういう発言してくれると、弁護人としてはとても弁護しやすくなるんです。」と解説してきました。
もう何年か同じような講演を続けています。
その効果があったのかどうか、最近では、京都府警での取調べでの捜査官の不適切発言というのをほとんど聞かなくなりました。
おかげで、弁護人としては、警察に文句をつけにくくなって本当にやりにくくなりました。
とはいえ、それは捜査が適正になされているということ。
喜ばしいことです。