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国の廃棄物政策やごみ処理新技術の危うさを考えるブログ-津川敬

国庫補助金返還に揺れるいちき串木野市そして環境省

2008年12月06日 | 廃棄物政策
◆いちき串木野市議会が市を追及
 12月5日からの定例会でいちき串木野市議会が市側を追及した。11月4日の会計検査院報告の中で「国庫補助金の支出は不当」と指摘された案件である。
 同市議会が追及したのは次の諸点だった(経緯の詳細は本ブログ11月20日付「市来一般廃棄物利用エネルギーセンターのいま」と11月27日付「市来一般廃棄物利用エネルギーセンターその後」を参照のこと))。
①いちき串木野市は3年前の合併(05年10月11日)当初からガス発電施設が 未完成の状態であることを知りながら、これを市議会に報告しなかった。
②2004年、旧市来町による完成検査は仕様書にある「ごみから発生するガス」 を使わず、助燃の軽油だけで行なわれていた。しかもこの点は06年3月、会計 検査院から指摘されていた。
③この点について同市田中正幸副市長は「検査院の指摘を意図的に隠していたので はない」と謝罪した。
④旧市来町は「未完成の施設を責任もって完成させる」とする念書を地元築炉業者 と交わしていたが、田中副市長は「(念書を交わすなど)ありえない話で、公文 書とは認めがたい」という。
⑤施設引渡しを受けた旧市来町の大久保幸夫前町長は「念書の存在については一部 職員が把握していた」と述べていたが、念書自体はコピーであり、原本は確認し ていない」と アイマイであった。
 概要は後段の新聞記事をご覧いただきたいが、ことは必ずしも単純ではない。

◆環境省も同罪?
11月末、小生が大久保前市来町長に電話をしていい分を聞いたところ、「串木野市との合併で施設の修理は引き続き新しい市でやるという約束だったのに、彼ら(現いちき串木野市の幹部)はそれを守らなかった」とのことだった。詳細な内容については稿を改めるが、ここで問題になるのは会計検査院から指摘を受けた環境省(廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課施設整備第二係)の立場である。以下、担当者とのヤリトリ。

Q:会計検査院は不当支出と結論付けた。その報告を受けて今後どうするのか
A:補助金返還を求めてゆく。
Q:いつごろ行なうのか
A:わからない。ただ会計検査院からは「施設全体が不当だ」と指摘されたが、 我々としては「一部稼動していた」との判断もあるので、その部分までは返還を求めないこともあり得る。
Q:結局どれぐらいになるのか
A:その場合、厳密な計算が必要だが、全額ではない、ということだ。ただしいちき串木野市長は「施設そのものを廃止する」という見解をとっている。それを受け、財産処分という形で返還を求めることになるだろう。その辺りを含め、鹿児島県とも交渉しなけ ればならない。
Q:年内にやるということか
A:市の財政も厳しいという話も聞いているので一括にするか分割にするかを検討する必要があり、いつからやると断言はできない。
Q:財産処分とは何か
A:「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」に基づく処分で、施設だけでなく物品その他も含め、各省の長の許可なしに財産を処分することはできな いことになっている。ただしまだ耐用年数がきていないので、処分については環境大臣の承認により 返還額が決まる、ということになる。
Q:これまで廃棄物処理施設で補助金全額返還というケースはあったのか
A:ない。一部返還というケースはあったようだがーーー。

 正直いってあまり気乗りのしない受け答えだった。同じ役所とはいえ会計検査院の建前は監察官庁だ。仕事は不正・不当支出の指摘だから、環境省も同罪といわれたようなものだからだ。しかし市来一般廃棄物利用エネルギーセンターだけが「不当」だったのか。
 これまで全国各地に国庫補助金を受取りながら、数十回以上も火災・爆発トラブルを起こし、想像以上に維持管理コストがかかっている施設も多い。我々市民の目から見れば欠陥施設があまりにも多すぎる。それでいて「全額返還は稀なケース」といわれても、到底納得しがたいのである。

《ごみ処理発電施設問題 旧市来町が建設業者と交わした 「念書は公文書でない」 いちき串木野市議会特別委 市側が見解
 計画通りに稼働しなかったため、補助金返還が決まったいちき串木野市のごみ処理発電施設問題で、施設を建設した旧市来町が建設業者から取っていた「未完成の施設を責任を持って完成させる」とする念書について、市側は5日、公文書ではないとする見解を示した。同問題を審議する市議会調査特別委員会で、田中正幸副市長が述べた。
 特別委では、同町が発電施設部分を建設した別の業者とも念書を交わしていたことが、議員の指摘で新たに明らかにされた。念書について、田中副市長は「最近の取材で初めて知った。念書はありえない手法」と話した。発電施設の業者との念書は庁内で見つかっていないという。
 いちき串木野市は今月中にも施設の建設業者などを相手に損害賠償を求める訴えを起こす予定。念書が有利な材料になるとの議員の指摘に対し、田中副市長は「弁護士と相談したい」と述べるにとどめた。
 特別委では、発電施設の完成検査に当たって軽油だけで検査し、完成を装った事実について、議員から「それがこのような結果を招いた」「事実を議会に報告していれば展開が違った」などの批判が出た。
                    =2008/12/06付 西日本新聞朝刊=》

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