今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

苗場山

2006年10月18日 | 山登りの記録 2006
平成18年10月15日(日)
(苗場山2,145.3m 神楽ヶ峰2029.6m)

 先週久しぶりに山に登ったら、ほぼこの一週間脚は筋肉痛がひどかった。それも週末には良くなって土日は晴れの予報だ。子供の用事があるから土曜はダメだが、日曜日ならなんとか山に行けそう。それでさて、「いよいよ薮山に行くぞ」そう思ったら、次男が「ぼくも山に行きたい」と言い出した。このところ釣り天狗の彼は、山の話をしても乗ってこなかったのだが…土曜日に釣りに行けたから、日曜は山でもいいかな、と思ったようだ。まさか子供と2人で「薮山もぐり」に行くわけにもいかない。急に言い出したので行く山も思いつかず。

 夕飯を食べてからあれこれ考え、苗場山と決めて支度をした。苗場じゃ朝出たのでは遅い…で、夜出発することになったという訳だ。苗場は20年ぶり。前に登ったときはガスで景色も良く見えなかったから非常に印象も薄い。百名山だから人出が多いことを思うと、あまり日曜日に登るのは気が引ける。でも頂上が広いから、人が多くてもなんとかなるでしょうか?
 
 R17号はがらがらで、群馬県内は曇っていたものの三国トンネルを抜けると星空だった。コンビニで食料を調達と思いながら、沼田辺りから立ち寄りあぐねていたら峠になってコンビニなんかどこにも見あたらなくなり、苗場山の登山口である「かぐらスキー場」入口まで来てしまった。やむを得ずそのまま湯沢の町まで下ってコンビニを見つけ食料を買い込んだ。往復20㌔近いロス。「どこにでもある」と思ったら大間違いのコンビニです(群馬はどこでもコンビニだらけだから…でも、北毛は極端に少ないのでした)。

 後ろの2座席をフルフラットにして、次男は家を出て間もなくシュラフに潜って寝てしまっていた。かぐらスキー場入口から和田小屋の看板に導かれて林道を上る。分岐があると「苗場山登山口→」の標識があるから迷わない。道は舗装されていてそのまま和田小屋下のゲートまで上った。トイレと広い駐車場がある。既に車は10台ほど停まっていた。ゲートが開いていたので更に上り和田小屋まで入る。和田小屋周辺には数台の車があるだけだった。リフト終点の建物の前に駐車して仮眠した。
 夜中にマイクロバスが上ってきて降りた中高年の団体が信じられないくらい賑やかで閉口。

 大分明るくなって目が覚めたら6時10分前だった。家を出る時に携帯がバッテリー切れになっていたので置いてきてしまったから、今回は目覚ましのアラームが無い。それ程早く起きなくても大丈夫のコースだから、目が覚めたら準備して登ろうと思っていたのだが、それにしても随分眠ってしまった。

 次男は寝起き最悪で朝食も食べられない。イマイチ元気が無い状態のまま出発。周囲の車も増えないし、和田小屋泊まりの20人ほどの団体が少し前に先発した他は数人がぱらぱらと登りだしている程度で、思ったほど人は多くない。
 登山口で登山届けを出して、スキー場を登り出す。丁度この辺り(1,300mくらい)から少し上が紅葉の盛りで彩りが鮮やかだ。先週中央アルプスでは2,000mくらいの所が紅葉していた。この辺の方が確かに緯度も高いが、1週間で随分進んでいるようだ。今年の紅葉は遅れ気味で、お世辞にもキレイとは言えない。秋とはいえ、いつまで経っても晴れると暑い天気で、色づきが良くない。

 次男は体調が今ひとつ、登りだして少ししてから「げー」をしていた。大丈夫かよ…。本人はいつものことだからと言ってます。「下の芝」「中の芝」と進み、だらだら登りが続き、「上の芝」まで登ってきたら周囲の展望も良くなって、下のスキー場や隣のカッサダム湖が見えてきた。後になり先になり、日曜の百名山なので人に抜かれたり抜き返したり。でも、思ったよりは静かかな?

 神楽ヶ峰に登る辺りから少し登りらしくなってきた。次男も上の芝まで来たら、朝食は食べられないけどスナック菓子なら食べられる?ということで、食べ始めたら少しづつ快復してちょっとだけ元気になってきた。神楽ヶ峰の頂上は狭い道の途中をほんのちょっと上に上がった地点で、三角点の基石だけあった。山名の標柱が道に横倒しになっていた。余り休む雰囲気の山頂ではない。ここから少し先に下った辺りでこの日初めて苗場山が姿を現した。苗場山というと、遠くからはいつも傾いた空母のような山容に馴染んでいるが、ここからはごつい大入道の様なイメージで面食らう。去年、佐武流山から眺めた苗場山もなだらかな円頂の山容だった。どっちにしても、ここから一旦下って上り返しがかなりきつそうだ。

 神楽ヶ峰を下る途中に「雷清水」というこのコース唯一の水場がある。水量が少ないので、人が多いと水を汲むだけで渋滞になってしまう。水場は傾斜した道の途中にあって休むスペースもないから余計だ。後続の団体さんが着いたら大渋滞になってしまった。

 最低鞍部から見上げる苗場山は急峻で、谷川岳東面の登りを思わせる。きつい登りだが、次男は却ってこういう登りの方が身体が楽だといった。ぐんぐん登って登り切ると傾斜湿原の北側の縁に出た。木道が続く広々とした湿原は下から見たこの山の雰囲気をがらりと変えてしまうので思わず「わー」っと誰もが声に出してしまう。湿原を走る木道には所々に休めるようなスペースがあるので、良く見ると結構人が沢山いるのだが分散していて混雑している印象は少ないのだった。

 山小屋の「遊仙閣」に10時40分に到着。この小屋の裏手に三角点と山頂標識があった。6時20分に和田小屋を出発したから4時間20分も掛かってしまった。次男が久しぶりの(半年ぶりだって)山登りの上に、体調不良だったから随分のんびり登った結果です。

 頂上には身体に風船を付けたおじさんがGPSやら色々な計測器を使ってなにやら計測しているらしかった?このおじさんは、頂上の一等三角点を見て、ぼくが「一等三角点だよ」と次男に言ったら、「ここのは三等三角点だよ」とキッパリ言うのでした(一等三角点標石が目の前にあるのに?)。「シャッターを押しましょう」と言うから頼んで次男との写真を撮って貰ったが、何だか奇怪なおじさんなので反論しないで退散した…アブナソウ。その後もこのおじさんは風船を付けたまま湿原を右往左往してなにやら観測?している様子だった。

 次男は遊仙閣でオリジナルの登山靴の格好をしたバッジを買った。小屋のおねえさん?によると登山靴の形と苗場山の形が似ているので、こういうデザインなのだということでした。次男は珍しいデザインが気に入ったようだった。

 湿原の中程にある休憩スペースで大休止とした。シラビソが縁取りした枯れ色の湿原は南に傾斜していてあちこちに池塘が光り、青空の下に本当に広々していた。「田圃か畑みたいだね…」と次男は言ったが、昔の人も同じように見立ててこの山の名前が付いたんだよ、と言った。苗場山というと神の田圃と紹介した鈴木牧之の名前を思い出すが、その鈴木牧之の名前が刻まれた「天下之霊観」と彫られた石碑が上の芝から少し登った小松原分岐付近にあった。

 湿原の遙か向こうに大きな佐武流山とそれに続く上越国境の山々、右手に更に高く烏帽子岳と岩菅山が見えた。東は雲が多かったが、仙ノ倉山と平標山が雲海の上に頭を出していた。去年佐武流に登った時に向こう側から見た苗場山に今いるんだなあ。ここは人が多いけど、佐武流は静かだろうな。

 ケルン状の岩の所で陣取り、ぼくはカップうどん、次男はカップ蕎麦を食べた。朝から例によって食べ過ぎているからお腹が一杯。次男はようやくここに来てまともにものを食べた。時折「遊仙閣」の向こう側からガスが這い登ってきて湿原をたなびいて行くが、基本的にはすっきりと晴れた秋空がどこまでも青くて高かった。先週の空木岳の時と同じで休んでいても少し暑く感じるくらいの陽気で、半袖になった腕に陽射しがじりじりした。
 1時間はあっという間で、1時間休んで下ろうと言ったものの、のろのろ立ち去りがたく、支度をして12時に山頂湿原を後にした。

 湿原に長く延びる木道を赤湯方面に向かう人はほとんどなく、やってくる人もなかった。アプローチ的に一番短い小赤沢からやってくる人たちが数的には一番多い様だった。
 苗場山というと、どうも完全に越後(新潟)の山というイメージだが、登山者は長野県側の方が多いのだった。地図で見ても山頂の傾斜湿原の半分以上は長野県だから、長野の山と言った方が良いのかも…。この付近の県境にある山、佐武流にしろ苗場にしろ何となくイメージは新潟の山なんだけどね。

 湿原がなごり惜しかったが、下り口の池塘群で最後の一別をし、再び別世界の急降下で神楽ヶ峰鞍部まで一気に下る。天上の楽園から下界に降りてくるような感覚。
 帰りは次男もすっかり元気になって、神楽ヶ峰の登り返しはぼくの方が遅れ気味になった。写真を撮るのを遅い口実にして、先に行っては待っている次男に言い訳した。
 神楽ヶ峰からは緩い下りになり、上の芝は通過し、中の芝で小休止。頂上小屋に今夜泊まるのであろうか?帰りは行き以上にすれ違う人が多いのだった。
 紅葉真っ盛りのブナ林を下り、2時50分に人気も少ない和田小屋に到着した。リフトの終点の建物は改装中で工事の人が日曜なのに作業中だった。

 帰りは苗場にある「宿場の湯」という日帰り温泉施設に寄って汗を流した。露天風呂も無いしそれほど広くは無かったが人も少なくて気分は上々だった。大人600円はこの辺りの相場としても、子供200円はバカに安い。

 空いてがらがらの三国峠を越え、次男が食べたいと言ったので沼田名物「太助まんじゅう」を買い込み?帰路についたのだった。家まで渋滞もなく6時半には着いてしまった。久しぶりの山登りが出来たので、次男はとても楽しかったらしく家に着くとおしゃべりのし通しだった(朝はゾンビみたいな顔をしてたのに…ね) 。


 

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2 コメント

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完全復活ですね (重鎮)
2006-10-22 08:39:18
いきなりの空木岳と苗場山ですね。

一気に今までの憂さを晴らしたようですね。

お子さんとの楽しい山行を増やしてください。

そのうちに、お子さんにテントを持って貰うなんて良いじゃあないですか。



PTAやっていると、自分の子供と遊べないんですよね。不思議な感じです。

上毛カルタは関係ないのかな?

昔は今頃から毎週土日の夜は練習をしたものです。

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また今日も行きました (あさぎまだら)
2006-10-22 23:56:42
今日は岩菅連峰の烏帽子岳に登りました。

岩菅山はメジャーだけど、不思議なくらい今日は人が居ませんでした。

ここの烏帽子岳はぼくにとって念願の山の一つだったんですが…。素晴らしい山でしたよ。

秘境ムード満点!人も皆無。文句ない快晴。で、ぼくは幸せでした。



上毛カルタですか?数年前に子供育成会の会長やってた時に、随分しましたね。群馬県人の宝ですね。



重鎮さんも、また、えっ何処にある山?っていう山に登って下さい。霧の塔みたいな山…
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