今度、どこ登ろうかな?

山と山登りについての独り言

・奥秩父 西御殿岩、唐松尾山、黒槐山、笠取山

2013年05月03日 | 山登りの記録 2013
平成25年4月28日(日)
 西御殿岩2,075m、唐松尾山2,109.2m、黒槐山(黒槐の頭)2,024m、笠取山1,953m

 週末になると嵐になるのは3月以来で、土日が2日とも晴れるというのは随分久しぶりな気がする。といっても、もうGWなので人が多いところは遠慮したい。奥秩父の地味な所をGWに登ることが多いが、登っていない山も次第に少なくなってきた。和名倉に登った時、ついでに山頂だけ往復した唐松尾山はもう一度登ってみたいと思っていた。それに、ノラさんお奨めの西御殿岩は、どうしても晴れの日に登らないと展望峰の意味が無いだろう。そこで、西御殿岩と奥秩父主脈で未踏のピークである黒槐山(くろえんじゅやま)を目的地とすることにした。

 土曜の夕方、東京方面(奥多摩)周りで丹波山村三ノ瀬に向かう。距離的には奥多摩経由の方が雁坂経由より近い。でも、時間は大分かかると思っていたのだが、途中食事をしたり買い物をしたりしてしても、夜10時頃には三ノ瀬に着いた。しゃくなげキャンプ場には沢山の車やバイクが停まり、寒いのに(気温3℃)キャンプをしているようだった。やっぱりGWだからどこでも人がいる。車を停めてシュラフに潜った。まだ冬用で丁度いい。

 朝6時にアラームをセットしておいたが、10時くらいから寝ているので6時前に目が覚めた。少し冷え込んでいるが、昨日までの風も止んで素晴らしい青空が広がっている。何時の間にか隣に停まっている車や、次々に車が先に通り過ぎて行くから、やはり人も多いのだろう。この辺りでは初心者を中心に簡単に登れる笠取山が一番人気があるようだ。以前登った時も蟻の行列みたいな人の多さには閉口した。将監峠から飛竜山や和名倉ピストン、主脈の縦走もこの時期になると多くなるのだろう。そんな中では、唐松尾を周回する今回のコースはそんなに人は多くないのでは?と思ったが、案に反して結構多かった。

 6時16分に三ノ瀬を後に、何度も歩いている将監峠への林道に入る。入口の民家も、住民は居なくなり廃屋になったようだ。相変わらず朽ち果てた古い車が家の脇に半ば埋まってそのまま放置してある。傾斜のきついジグザグ道を上って、何の標識も無くなっていた牛王院平への道に分かれ尾根を登って行く。この道は先でシカ避けのネットが塞いでいたりしているせいなのか?主稜線への近道なのにそれを示す標識は上にもなかった。将監小屋まで林道で行ってから将監峠まで上るのは唐松尾や和名倉へ向かう場合は遠回りだ。笹の切り開きに落葉松が茂る緩い尾根をどんどん登る。朝日が背後から当たって、今日は昨日の様な風も無く暖かくなりそうだ。アオバトの声がまだ萌え始めていない森に響いている。しばらく登ると背後に大菩薩嶺がシルエットに、その右には薄く富士山も現れ、大菩薩嶺の手前には黒川鶏冠山も見えてきた。シカ避けのネットを2箇所程くぐり、木々がまばらな枯れ色の笹の中を進んで主稜線の牛王院平に8時19分に出た。山の北面の日陰には薄っすらと雪も見えるが、この辺りでは雪はすっかり無くなっている。将監峠方面に向かって行くハイカーが続けて何人か通り過ぎた。やはり人は多い様だ。今ここを歩いているということは、笠取小屋辺りに泊まって早朝出発した人だろうか?

 唐松尾山とその巻き道・和名倉山の分岐点である山の神土に着くと、和名倉方面に向かっていく若者も見た。しばらく前に登った時と違って、和名倉山(白石山)への道には遭難を注意する看板は無かったし、そこに向かう道もごく普通の登山道の様だった。今では普通の登山道の普通のコースで既に定着しているらしく、山中で迷う人や遭難したというハナシもさっぱり聞かなくなった。

 山の神土から唐松尾への登りにかかる。意外なことにこの道でも向こうからやってくる人たちとすれ違う。西御殿岩分岐から踏跡を辿っていくと、降りてくる人とまたもやすれ違った。9時4分に西御殿岩に着いた。西御殿岩は樹林から頭を出した岩頭で、成る程眺めが良い。手前の岩からは北面の展望が、頂上の岩の上からは南と東西の眺めが良く、360度の眺めが楽しめる。ここに着く直前にも上から降りてきた人とすれ違ったが、幸い頂上に着いた時には誰もいなくて独り占めだった。

 西御殿岩の頂上には作りたての真新しい木製看板があった。手作りなのか?プロの作成みたいだ。ここからは東に和名倉山が最も大きく、この山を見る丁度良い展望台だ。和名倉に登った時は、この西御殿岩も含む唐松尾山全体が、蝙蝠が翼を広げた様に見事な山容だった。和名倉の反対側には、手前に飛竜山や竜喰山が見え、その向こうには白岩山から雲取山に続く山並みがシルエットになっている。奥多摩や丹沢方面は霞んで、大菩薩嶺と黒川鶏冠山の向こうには富士山が薄っすらと見える。まだ、というより先日の新雪で真っ白な白峰三山は良く見えるが、その他の南アルプスは霞んでいて良く分からない。陽射しは結構強いが、当たる風は冷たく、しばらくすると寒く感じてくる。昆布おむすびやお菓子を摘んで水を飲んだ。

 展望を堪能し、9時37分に西御殿岩を下る。降りていく時に、また3人登ってくる人がいた。ホントに今日は人が多い…上で一緒じゃなくて良かった。分岐に戻り、そのまま唐松尾山に向かう。唐松尾山の登りでも笠取山方面からこちらに向かってくる何人もの人とすれ違う。大きなザックを担いだ若者の単独行が意外に多かった。奥秩父の縦走は、ある意味若い時の山修行?という感じがしないでもない、次にアルプス歩いて、そうして段々自信が付いて行くんだな、なんて懐かしい感情が蘇える。そうは言っても、ぼくは奥秩父の大縦走の経験は無い。奥秩父はいつも日帰りか、せいぜいが一泊。長い休みはアルプスに行ってしまったから…。

 唐松尾山の名前とは違ってコメツガが大半の樹林を登って行く。かつては落葉松の植林があったので着いた名前だというハナシもある。前に来た時は、和名倉の帰りで、どんよりと曇って稜線は霧が巻いていた。そのせいか、そこは薄暗い森の中というイメージがあったが、登りついた唐松尾山頂は樹林の中ながら意外に明るいところだった。木々越しに幾らかは遠くが見える。山頂部は手前に主稜線縦走路の分岐があり、北側の奥が三等三角点がある小広場になっている。10時13分に唐松尾山頂に着いた。前回も確認した達筆(大分傷んできている)の他、真新しい山名プレートが他に2つ付いていた。西御殿岩にあったようなプロみたいなものではない。この後に行った笠取山にも西御殿岩にあったようなプレートは無かった。なので、だれかがマイナーな西御殿岩の山頂にだけあんな立派なプレートを付けた様だった。

 オレンジなどの果物を持ってくるつもりでいたが、買いそびれた。西御殿岩の山頂でおむすびを食べたのに、ここでもまたやきそばパンを食べてしまったからお腹が一杯だ。オレンジくらいにしておきたかった…と思いながらも、揚げセンベイなんかを食べてしまう。展望も無く、余り休むような所でもないので、早々に唐松尾山頂を下る。結構人に合うのに、幸いなことにどこの山頂でも独り占めだ。一旦急な下りをして、少し登り返すと小さな岩のあるピーク(2,044m峰)を通り過ぎ、緩く下った先は西の展望が良い鞍部になっていた。富士山や大菩薩が正面で、笹の無い所は砂の露地になり、シカの休み場の様だった。ここでデジイチを出して写真を撮っていると、そうする間にも2組くらいのハイカーが後ろを通り過ぎて行く。

 唐松尾の後は本日のメイン?である黒槐山だ。今日はGPSを持っていない。パソコンを買い換えてウィンドウズ8にしたらGPSがパソコンに繋げなくなってしまった。附属ソフトが8にはインストールできないし、新しいドライバーが提供される予定も無い様だ。なので、GPSが使えなくなってしまった。そんな訳で地図とにらめっこしながら、その「黒槐山2,024m」のピークがどれなのか?と思いながらも、いつの間にか随分下ってしまい、標高が2,000m以下になっている(腕時計の高度計の数字)。そこは笹が広がる平坦地で、あらためて地図を確認すると、先に見える黒木の2つのピークが笠取山の様にも見える。ということは通り過ぎてしまった可能性が大きくなった。下りになった時に下に2つ見えたピークが、今は少し見上げる角度になっていた。

 古くて壊れている上に文字がかすれて読みにくい方面標識があった。「唐松尾山・将監峠」と「笠取山・雁坂峠」の文字がかすかに読み取れる。その先で登りになって黒木のピークに登って行く。降りてくる一団、その他あまり山慣れていないような人達と続々とすれ違う、明らかにこのピークが笠取山で間違いない…。2つくらいのギャップを上り下りして、12時12分におじさんが一人だけいた笠取山山頂に着いた。前に来た時と同じく、非常に狭くて木々の間から大菩薩と富士山が見えるくらいで余り眺めも良くないところだ。この山がなんでこんなに人気があるのかは良く分からない。単にアプローチが短くて登り易いから、というだけなのだろうか?東京都の水源の山だからという事も聞いたことあったかな。

 雁峠方面の下の方で数人の人の話し声がしているので、その内にはここにやってくる様だ。こんな狭い所で、人でごった返すのは願い下げだから、前回と同じく早々に笠取山頂を辞すことにする。さて、どうしたものか。もう一度地図を詳細に見る。再び登り返すことにはなるが、今回の目的地の一つである黒槐山の頂上を踏んでおかなければ、やはり気分が悪い。まだ時間も早いので、引き返して黒槐山に向かうことにした。笠取山から一ノ瀬への道を分けると、笹の平に戻り、また幾らかは静かな雰囲気だ。ここから再び唐松尾山と御殿岩を含めた一塊りの山体に150m程登り返すことになった。

 2,024mの標高点記載がある円頂が黒槐山に間違いない。縦走路はこの山のピークの西側を斜めに巻いてしまう。行きには下に見える黒木の2つのピーク(笠取山)に目がいって、そのまま下ってしまった。地図をよく確認しないで笠取山を黒槐と、勝手に誤認したからだった。黒槐山南の鞍部まで斜上し、膝丈の笹の斜面を登り返す。倒木が多いが特に登りにくくもない、程なく12時54分に山頂部に出る。黒槐山の頂上はコメツガと細いダケカンバが混交する笹の中で、東や南は枯木が目に付く。しばらくは、山頂に何か無いか探したてみたが何も見当たらなかった。ネットで見た3年ほど前の記録には太いコメツガに付けられた達筆があった様だが、それは確認できなかった。枯れ木が目立つので、そのせいか明るいが、殺伐とした雰囲気の山頂だった(こんな風な枯れ方はシカの食害によるものだろう)。巨木とまではいかない同じ様な樹齢の木々が、そのまま立ち枯れていた。

 ここからだと、唐松尾山のピークは木々越しに東南に見ることになる。直ぐ東にはこの山と同じくらいの高さのピークも見えている。山名の黒槐はこの山の下にある黒槐沢から付いている様だ。だからもちろん、山頂には槐(えんじゅ)の木は無い。黒槐の頭と言っていたのが、いつの間にか黒槐山になっている様だ。

 誰もいない黒槐山頂であんドーナツを食べる。休むたびに何か食べている…。13時14分に黒槐山を下り、そのまま笠取山分岐から三ノ瀬へ下る。分岐から幾らも下らないで、唐松尾山等の主稜線を巻いている迂回路に出た。このあたりは東京都水道局が管理している「源流の道」という遊歩道があちこちに延びている。年初に登った黒川鶏冠山の時に柳沢峠周辺に整備されていた「ブナの道」と同じ様な感じだ。同じ様な案内看板も付けられている。「黒槐(くろえんじゅ)」の地名がある分岐でその道とも分かれ、下に向かって尾根を坦々と降り続ける。日差しは暑く感じるが、風は冷たい。馬止めで更に真っ直ぐ下る道になるが、そこにあったベンチに座って少し休む。もう、行きかう人も少なくなってきた。正面に天狗棚山が大きくなってくると、舗装も新しい道路に降り立った。この道路を三ノ瀬方面に向かう。反対側から引き返してくる人たちとすれ違った。何人かは上の稜線で会った人たちだ。ぼくとは逆方向から周回したのだろう。

 山桜が満開で、老人ばかりが目に付く三ノ瀬集落に降りてきた。桃源郷の様なところだが、廃屋が次第に増えている様だ。民宿の駐車場には、まだ何台もの車が停まっていた。15時40分に車に戻った。黒槐山への再往復がなければ2時ごろには降りてしまったのだろう。一応予定していたコースを歩き、西御殿岩と黒槐山のピークも踏めたので気分も良かった。

 GWなので、帰りは奥多摩回りではとても時間がかかるだろう。立ち寄る温泉も、のめこい湯くらいしかない。距離的には遠いし、トンネルをくぐるお金も掛かるが、雁坂経由で帰ることにする。この方面では、このところの定番になっている白龍閣の温泉に浸かっていくのもそう決めた理由だった。白龍閣は、さすがにGWなので宿泊客も居るようだったから何時ものように静かで貸切と言うわけには行かなかったが、それでもゆったり温泉に浸かって気分も良く、秩父回りで帰路に着いた。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
奥多摩経由で帰らなくて良かった (ノラ)
2013-05-03 21:07:54
あさきまだらさん こんばんは。なるほど黒槐山はこういう感じの山ではかりに通っても気が付いたかどうかですね。かつて歩いた時は下を巻いて通ってしまったということですね。唐松尾山の上の縦走路で人に会うというのはさすがGWということでしょう。桐生に帰るのに奥多摩周りを選択されなくて良かったと思います。多分青梅まで渋滞したと思います。
西御殿岩の上でイワツバメだアメツバメだかに会わなかったでしょうか?前を通り過ぎる時にヒューンという風切り音を何度も聞きました。
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アマツバメはまだでしょう (あさぎまだら)
2013-05-05 00:21:40
ノラさんこんばんは
渋いところでもGWですからね。よっぽど考えても予想はできません。
アマツバメですね。ビュー、ビュビュビューってやつでしょう。あれはまだでしょう。下界のツバメもまだほんの少しですから。梅雨入頃にならないと飛びませんね。虫がいないですから。
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お山もGWですね。 (しぼれ)
2013-05-08 10:13:33
あさぎまだらさん こんにちは
飛龍、龍喰、まだ行ってない和名倉山、東仙波、西御殿岩、やっぱり展望いいですね。今年は8~10月に西御殿岩から笠取山まで歩いてみたいと思います。
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良い山です (あさぎまだら)
2013-05-09 01:11:13
しぼれさんお久しぶりです。
西御殿岩は本当に眺めが良いです。普段なら人も少ないのでしょう。和名倉も途中は木々が少なくて展望が良いです。東仙波付近から見た唐松尾山は素晴らしい山容で、登りたくなりますね。
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