Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

クロツバメシジミ

2006-09-10 10:17:43 | 自然から学ぶ


 「道端のツメレンゲ」を紹介した。あれから1ヶ月近くたつことから、のぞいてみた。ツメレンゲはしだいに大きくなっている。ツメレンゲといえば、それを食草としているクロツバメシジミである。あたりにはアゲハチョウを始め大柄なチョウが飛んでいるが、目的はそんな大きなチョウではない。羽を広げても2センチ弱程度というシジミチョウである。護岸にへばりついたように伸びているツメレンゲのあたりをじっと眺めていると、ひらひらと飛んでいる小さなチョウの姿が見えた。期待を込めて足場の悪い護岸を上ってみる。尾に突起があることからツバメ系シジミとわかる。普通のツバメシジミかと思ったが、よく見ると斑点がはっきりしていて、羽の表面が黒い。クロツバメシジミであるとわかった。この近くではミヤマシジミも飛んでいるからけっこう貴重な種を同時に見ることができる。クロツバメシジミは、長野県のRDLにおいて留意種と、環境省レッドデータカテゴリでは準絶滅危惧(NT)に選定されている。

 1993年の自然環境保全基礎調査のチョウ分布図によれば、対馬、壱岐、大分、瀬戸内海の周辺県、長野県、山梨県などに分布はあるが、全国的には少ない。成虫は5~9月に年3回程度発生し、幼虫は前述のツメレンゲやイワレンゲなどを摂取し、成虫時にも食草であるツメレンゲ周辺から離れることが少なく、食草の葉の中に幼虫態で越冬するという。ということで、ツメレンゲと縁の切れないチョウであることがわかる。ツメレンゲあるところにクロツバメシジミいる、というところなのだろう。

 写真はちょうどツメレンゲにとまっているものである。すぐ端を車が、そしてダンプが通っているが、護岸に降りると涼しげにチョウは舞っている。ツメレンゲが花を咲かせるころにもう一度観察にやってこよう。

 撮影2006.9.9

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