Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

チューインガムの話

2009-02-24 19:36:56 | ひとから学ぶ
 電車に乗っていたら後部座席の女子高校生がおもしろい話をしている。まず始まったのはチューインガムの美味しい食べ方というものである。日本チューインガム協会なるところで美味しい食べ方というものを紹介していて、それによると噛んでいて美味しいのは3分間だというのである。その言葉を発した彼女の横で友人は、「えーたったそれだけなの、それじゃあもったいないじゃないの」と言うのである。口火を切った女子高校生は噛んでいて味が出るのはそのくらいで、それ以上噛んでいると味がしなくなるということをさらに続けるが、どうも彼女も3分間は「短い」という印象を持っているようである。

 この話で初めて知ったのは日本チューインガム協会なるものがあること、そしてそこでは美味しい食べ方というものを紹介しているということであった。そこで検索してみると確かに日本チューインガム協会なるものが存在していて、販売額とか歴史、そしてQ&Aなども紹介されている。ところが「美味しい食べ方」なるものは掲載されていない。彼女はどこでそれを聞いてきたのか知らないが、実に素朴な疑問であることは事実である。「いったいどのくらい噛んでいるものなのか」と。

 そんなことを思いながら彼女たちの話は続く。友人は「わたしなんかさっき口にしたガム、お昼まで噛んでるよ」と言うのである。その言葉には友人も驚いたようで「そんなにもつの」という具合だ。協会のページにも、そして菓子メーカーのページに同じような質問が載せられていた。「ガムを噛んでいたら溶けてしまった」がという問いに「ガムは口の中の温度で、ほど良い硬さになるように作られています。しかし、お茶やコーヒーを飲んで口の中の温度が上がったり、油脂が含まれている食品を食べた後に噛んだりしますと、ガムが柔らかくなり溶ける場合があります。ガムは、温度と油に溶けやすい性質があります」と言う。 なるほど女子高校生が授業中に噛んでいるぶんには、なかなか溶けないということになるだろうか。彼女は時には「溶けてしまう」らしく、溶け始めると分離してしまいなかなか固まらなくなるらしい。仕方なく飲み込むことになると言うが身体の中で消化することはないらしく、そのまま便として排出される。

 というチューインガム談義であったが、さすがに友だちもそこまで噛んでいたことはないらしく、二人で盛り上がっていた。美味しい食べ方を講義した彼女、そして反してその美味しい食べ方とはくらべものにならないほど噛んでいるという彼女。たのたの正反対の会話は、発した方と発せられた方には、まったくことなるチューインガムの認識があった。考えてみれば、どれほど口の中に入れているものなのかについては、あまり人に聞くことはない。それでもわたしの子どものころには、いわゆる風船ガムなるものが流行って、口に入れて直ぐには風船にはならなかった。したがって「どれくらい噛んだら」というような話を友だちとしたこともある。がしかし、わたしはこの風船を作るのがとても苦手であった。そんな゜経験のせいか、あまりチューインガムというものは好まない。よく口にする人が「あげる」といっても「いいよ」と言うのがわたしの口癖になった。好きではないからこのごろは口にしたこともないが、実はチューインガムは硬いものをあまり「噛まなくなった」現代人にあっては、意外にそれを補う効果があるのかもしれない。いずれにしても噛む回数、口にしている時間というものは、意外に人によって異なるということである。

 ちなみに歴史をさかのぼると西暦300年ごろのマヤ文明までさかのぼるという。そして日本では1916年(大正5年)に初めてチューインガムが輸入されたというが当初は日本の食習慣には合わなかったという。そしてアメリカ軍というと口をくちゃくちゃしているイメージがかつてあったように、戦後になってやってきた彼らからチューインガムが広まったという。日本人はやってきた彼らに「格好よさ」を見たのだろうか。そういえばプロ野球選に同じように噛んでいる姿を見るにつけ、かぶれる者たちは格好良さをそこに見ていたのだろう。
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