Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

0.3と勘定される人

2009-02-11 21:58:23 | ひとから学ぶ
 年度末も控えてきて、わが社の来年度体制に向けた出先ごとの人員配置数というものが取りざたされる時期にもなってきた。その人員配置において、0.3とか0.5といういわゆる一人前ではない数字で計算される人々がいる。考えてみればこれほどおかしなことはないわけで、最初から一人前ではないということを社員に知らしめているわけであるから、いかにその数字でカウントされている人にとって不可解なことかは言うまでもない。

 実はこの数字を社員の誰もが不思議とは思っていない。かつては0.5とカウントすることじたい異論もあったが、最近はその数字を当てられようともごく当たり前と受け止めている。この0.5というのはいわゆる管理職あるいはそれに近い出先でのトップに与えられた数字である。ようは社員と同じ仕事量をこなせないという他の業務との併用部分があるからであり、そもそも0.5としてカウントするものなのか0.0としてカウントするものなのかというその職責に負うところが大きいはずであるが、とても小さな出先から大きな出先と体制がさまざまであることから、おしなべて雰囲気としてこの数字が認められている。技術屋の出先に事務屋のトップが配置されると、部下は負担が大きくなると愚痴をこぼし、逆に部下と同じくらいトップが仕事をすれば、部下はその仕事量に甘えるという図式が成り立つわけで、その部署のトップたれば、そんな数字にこだわって仕事を捉えるよりは、0.0としてその職責にまい進するというのが本来の筋なのだろう。

 とまあ0.5については部下の仕事量に影響する立場の人間に与えられた「おまえも仕事をしないと間に合わないぞ」というような曖昧で部下本位の点数とも言える。もともと0.5などというものは他の人でカバーできうるものだろうから、それほど意識されない数字でもある。そこで次の0.3である。仕事量には個人差があって、新人ないしは経験の浅いものは、どうしても上司がカバーするところが大きい。したがっていわゆる経験差とか人事評価というものから割り出された数字なら適正と言えるだろう。しかし、この0.3を与えられる人は、一度退職後に採用されている高齢組である。高齢とはいえ、若い人は55最、最高でも60歳という年齢である。管理職となって0.5になり、次いでそのまま会社に残れば0.5が1.0になるはずもないという感度で与えられたものかどうかは知らないが、そもそもその場合は0.5へ議論を差し戻さないといけなくなる。出先のトップにそれを問うと、給与面と残業をしないという前提採用が生み出したものと口にする。もちろんそれは出先のトップも実情を認識してのものではなく、「そうではないか」という程度のものである。出先のトップたれば、当然配置された人員の仕事量を把握する必要があるわけで、本来ならなぜ0.3なのか、0.5なのかということは社員に明確に説明できる必要がある。待遇面で30%であるからそれだけ仕事をすれば良い、という印象をこの数字から受けるが、果たしてそんな考えで人員を配置するのは適正なのか。これほど待遇の良い立場はない。確かに給与は年間3百万ほどと低い。しかし、逆にこれを0.3で割れば1千万になる。まるで雰囲気の世界の話で、これで採用されている人もずいぶんおおらかな意識になることだろう。0.3だからといって年間の出勤日の1/3で良いというものでもない。そしてこの立場の人は、先の0.5の立場のトップとは異なり、複数人置くことが可能であり、事実そういう出先もある。

 そもそも1.0とカウントされた人でも0.5程度しか働かない人もいれば、2.0ぐらい処理する人もいる。本来あなたは一人前なんですよ、という意識とプライドを持たせるとすれば、人員配置の数字に一人前ではない数字を設定することじたいが間違いと言えるだろう。仲良しクラブ的発想ともいえるが、いっぽうで必ずしも社員の気持ちを理解しているものとは言えない。それでもって人事評価は何にあるのかということになるし、ぎくしゃくした関係が生まれる土壌を当初から築いているということにもなるだろう。

 ところでわたしたちの世界ではこの1.0という数字に対してマイナス評価する数字を用いて仕事を図る癖がある。当然のことかもしれないが、ではその数字は明快な根拠があるかといえばそうではない。そもそも雰囲気であるということは言うまでもない。1/4が0.25とすれば一桁表示と雰囲気で0.3、1/2ならもちろん0.5、3/4なら9.75で0.7か0.8を採用という具合によく使われる数字である。いずれにしても人を切り刻むわけだから、そのいっぽうで評価が現れるのも仕方ないものなのかもしれないが、すべては雰囲気である。
コメント


**************************** お読みいただきありがとうございました。 *****