Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

全国学力テストから

2007-04-29 09:38:36 | ひとから学ぶ
 世の中どこでどんな商売が儲けているともかぎらない。先日行なわれた全国学力テストには、77億ものお金がかかったという。どういうところにどれだけの金がかかって77億なのだか知らないが、金額だけを聞くと「そこまでしてやるの」という印象もわく。しかし、受けた生徒の数233万人で割ってみれば、1人当たり3300円ということで、驚く金額ではない。一般に行なわれている資格試験などの費用や、漢字検定や英語検定などの試験費とくらべて高いというものではない。ところが、事務的な部分を国が行なっているのだから、そして試験会場も必要ないし、試験当日の人件費も必要ないのだから、簡単に言えば問題作成の手間と、配送費、そして試験後の回収費程度だと思うのだが、そう考えると少し1人当たりにかかるお金が高いのかもしれない。千円安ければ23億円下がるという巨大な市場だ。試験というからには、問題用紙を何社で印刷したか知らないが、印刷屋さんは儲かるだろう。話によると発想と採点、集計などはベネッセコーポレーションとNTTデータが行なうという。同じ規格で採点集計するには、そうしたひとつの民間会社に負わなくてはならないのかもしれないが、なぜそうしなくてはならないのか、というところは、疑問は湧く。そんな下世話な話題にしてはならないが、統計上同じ問題でなければ「何」が解らないのか、と問えば、つまるところ学力レベルを推し量る術のなにものでもない。通常行なわれていた試験が1回減って、その分が全国共通試験に変わる、程度に思えばよいのだが、世間はなかなかそう簡単ではない。

 いっそすべての試験問題を全国一斉でやればよいのにと思ったりするが、なかなかそうもいかない。今回だって試験当日、修学旅行中で試験日を遅らせた、という学校が上伊那郡内をみただけでもいくつもあったようだ。さすがに全国共通ということで、翌日の新聞に試験問題と回答例が示されていたが、後日遅らせて試験を実施する学校では、新聞に掲載されているという事実に対してどう対策したのだろう。調べてはないが、この時代だから、インターネット上にも問題が公開されたかもしれないし、されなくてもその関連ページはたくさんあったかもしれない。あくまでもこの試験がどうということがないのならそんなに意識することはないが、学力のレベルで推薦枠が変わるなんていう話が現実化してきたら、試験に対して関係者はシビアになるだろう。

 学力テストの狙いを文部科学省は「現状を把握すること」(初等中等教育局)といっているが、関係者はそうはいかない。そうした試験があると聞けば、そこから発展的に儲けようという人たちがたくさんいる。毎年行なわれるというが、それがわかればその対策に応じた試験問題集やら、統計書、あるいは分析書まで登場してきて、教育関係業界は楽しさいっぱいだろう。巷にささやかれている教員免許更新制度も、そこにたむろする教育関係の稼ぎ屋が控えているだろう。教育関係業界は、国がそこに力点をおけばおくほどに盛況となる。なり手のいなくなる学校の先生、なんて思ったりしていると、そこをついて儲けようとする人たちがたくさん登場する。子どもたちのためにがんばってきた先生たちや、学校関係者に余計な負担というか戸惑いを与えることは必死で、ただでさえ時間に余裕がない空間からさらに時が奪われる。子どもたちの学力が上がることは良いことだろうが、その背景で「教育」という印籠をかざしてボロ儲けしようとしている人たちがいるとしたらちょっとかんべんならないことでもある。教育の画一化は良い方向とは思えないのだが。
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