Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

ボケてしまったわが家

2007-04-12 01:11:16 | つぶやき
 全国で推定10万人といわれる若年認知症。ここでいう「若年」というやつがどういうエリアなのか知らなかったが、聞くところによると65歳前の発症者を言うらしい。生業としての仕事に従事している者が、この病気にかかってしまうと悲惨なものだ。いや、何の病気もそうかもしれないが、主が病となれば、家は傾く。今や主も1人主というケースも多いから、世の中福祉が叫ばれるのも当然なんだろう。若年認知症と分からずに、苦悶している家族もいるという。誰しも若くして認知症であるとは認めたくない場合もあるから、深刻と言えば深刻だ。

 さて、このごろ歳をとったせいか物忘れが激しくなった。そういう言い回しは昔からあったから、それが認知症の初期なのか、単なる歳のせいなのかは判断しがたい。ところが、忙しさによる体の老化なのか疲れのせいなのか、このごろ話をしていてもすぐに自分の中で明快な回答が出せなくなったと感じる。それも歳のせいだといわれれば、それでくくってしまうが、果たしてそれでよいのだろうかと悩む。少し身体を休めたいと思うが、周りはそれを許してはくれない。頭を使っていれば認知症にならないなんていうことはない。

 先ごろ息子が手術をした日、病院から帰り自宅で一泊し、未明に長野へ向った日があった。妻は息子について病院に2日ほど泊まったため、自宅はその未明からほぼ3日間留守となった。未明に自宅を出る際に、理由があって冷凍庫の引出しを開けて保冷材を持って長野へ向った。未明だったから暗がりでそんな行為をしたのだが、3日後に自宅に帰ったわたしは、自宅に入って警告音が鳴っていることに気がついた。冷凍庫が開けっ放しなのである。「まさか」とは思ったが、わたしが開けたままにしたことは確実なのだ。しかし、思い出しても開けっ放しで家を出たということは思い出せない。

 つい先日は、やはり妻や息子が家を留守にしているとき、昼を1人で食べた折に炊飯器の蓋を開けたまま外出してしまった。帰宅すると妻が、「ご飯の表面が硬くなって食べられない」という。「またやったよ」と言われショックが大きかった。まったく思い出せないのだ。もはや若年認知症に手をかけているような気がしてならない。そんな話をしていながら、妻もまたついさっきまで使っていたモノをどこへ置いたか忘れてしまっている。いやはや、この若年認知症家族に明るい未来はないのだろうか。笑い話のうちはよいが、悲惨な空間がすぐそこまでやってきているような気がして、滅入るばかりだ。
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