Cosmos Factory

伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

フキノトウ

2007-04-01 10:29:15 | 自然から学ぶ


 中条村の念仏寺沢沿いの道路工事をした法面に、フキノトウがいくつも咲いている。そこだけなのかと違う場所も見ると、やはり法面に目立つようにフキノトウがたくさん出ている。この法面は盛土したところではなく、山を削った面なのだ。削ったところで法面に植生の工事をしてあば青々とした草がでるかもしれないが、そんな工事はしてないのでまっちゃ色な法面にフキノトウだけ芽を出している。そんな姿を見ると、何よりも強く芽を出しやすいものなのかと思ってしまうが、どうなんだろう。削り取ったところだから根がそこに残っているわけではない。

 フキノトウはフキの花である。フキノトウとフキを別のもののように思うのは、それぞれ季節を異にして市場に出回るからだ。だから消費者の中には両者は別物という意識で捉えている人も少なくないかもしれない。また、その姿も同じモノとは思えないほど違うからなのだが、花の部分と茎と葉の部分なんだから違うのは当たり前である。季節感を持たせる花は、初春の香りを漂わせくれるものとして親しまれている。よそのページを検索していたらやはり、フキノトウとフキは同じモノなのか、という質問がされていた。そこに栽培の歴史のことが触れられている。「もともと日本でも野山に自生しているものを採取して利用していましたが、畑に植えて栽培を始めたのは記録的には平安朝時代とされています。当時の『本草和名』や『新選字鏡』には布々岐(ふぶき)と呼んで食用としたこと、『延喜式』(927)にはフキの栽培に関する事項(3年に1回植え替え、1段に34人の労力を要した)が記述されています」とあり、日本ではもっとも古い野菜の部類のようである。

 さて、雌株には、タンポポのような綿毛を持った種子ができてよそへ飛んでいく。実は妻にそう言われるまで、フキノトウの花が綿毛になるというイメージを持っていなかった。そのころになればフキノトウに目もくれないからだろう。でもよく思い出してみると、確かに花の開いた状態で、綿毛っぽくなっているのをよく見ていた。それだけ時期をはずれてくると、注目度が下がるということなんだろうが、それはわたしだけのことなのかもしれない。そんなことは「常識」と言われそうである。ということで、そんな法面に顔を出しているフキノトウは、飛んできた種子で花を咲かせているのだろう。でも、ほかの草は出ていないのに、フキノトウだけが目立っているということは、けっこう強い植物であることがわかる。地をはって広がるタイプの植物ではないから、法面の保護材には向かないだろうが、こんな強いものが横に広がるような習性を持っていたらいいのに、なんて思ったりする。
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