エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

「北越潜行の詩」の詩碑が 束松峠に建立された

2014-01-30 | 文芸

 最近、秋月悌次郎の「北越潜行の詩」の詩碑が、昨秋、会津坂下町の束松峠に建立されたことを知った。思えば、この詩は束松峠にこそふさわしいのだろう。
 お城に行くときには、いつも三ノ丸に建つ北越潜行の詩碑に立ち寄り、この詩に切なく胸を打たれていた。

  【 三の丸の詩碑 】

  会津藩士秋月悌二郎の波乱の生涯を描いた中村彰彦著「落花は枝に還らずとも」を再読した。

 「一度枝を離れた落花は、その枝に還って咲くことは二度とできない。しかし、来年咲く花の種になることはできる。」

  「会津滅藩に立ち会い、亡国の遺臣と化した悌次郎は、自身を落花になぞらえることにより、逆風の時代になおかつ堪えて生きる覚悟を初めてあきらかにしたのである。」とある。

 正にこの詩に、堪えて生きる覚悟を見る思いだ。

 悌次郎は、謹慎中に僧侶に変装してひそかに抜け出し、新潟で長州藩士奥平謙輔に会い藩の寛容な処分を訴えた。

 その帰途束松峠に立ち、憂い悩む気持ちを『北越潜行』の七言絶句に残した。

 峠は今深い雪に覆われているだろう。

 雪が消えたら一刻も早く峠にたち、詩碑に佇み、若松方面を眺めてみたい。

 悌次郎を偲び、今の世に何が必要なのかを考えてみたい。
   
 

 有故潜行北越帰途所得 会津 秋月胤永
 --------------------------------
 行無輿兮帰無家 行くに輿無く 帰るに家無し
 國破孤城乱雀鴉 國破れて 孤城雀鴉乱る
 治不奏功戦無略 治は功を奏せず 戦は略無し
 微臣有罪復何嗟 微臣罪あり 復た何をか嗟かん
 聞説天皇元聖明 聞くならく 天皇元より聖明
 我公貫日発至誠 我公貫日至誠に発す
 恩賜赦書応非遠 恩賜の赦書は 応に遠きに非ざるべし
 幾度額手望京城 幾度か手を額にして京城を望む
 思之思之夕達晨 之を思い之を思うて 夕晨に達す
 憂満胸臆涙沾巾 憂は胸臆に満ちて 涙は巾を沾す
 風淅瀝兮雲惨澹 風は淅瀝として 雲は惨澹たり
 何地置君又置親 何れの地に君を置き又親を置かん
 --------------------------------

   拙ブログに書いた     北越潜行の詩(2006-02-13 )  神のような人 秋月悌次郎(2010-4-15)】


 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿