エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

雪踏み俵と 雪の庭

2008-01-04 | 日々の生活
【雪踏み俵 会津マッチャン】


 思い立って、物置から雪踏み俵を持ち出してみた。大分積もった庭に道を付けるには最高だ。昔は、どの家にもあって、音もなく降り続いた新雪に歩く道を付けるための実用的な道具だったようだ。今は昔、伝統的な民芸品の趣がする。
 これは30年も前に、しばらく柳津に住んでいた伯父からいただいたものだ。
藁で作られた2本の俵に両足を入れて、手で持ち上げながら雪を踏む。新雪に藁の丸い縄文お踏みあとが残った。もう4,50年前の昭和のよき時代を思いながら庭の奥まで細い道を付けた。

  神棚にあげるサカキの枝を取りに雪に覆われた庭に出た。枝をこんもり覆う雪を払い枝を手折ろうとしたら、大きな蓑虫が付いていた。厳寒に雪に埋もれ生きる虫のいのちを思った。
 音もなく静かに真っ直ぐに落ちてくる雪の庭で、一瞬時が止まったように思えた。今はいつ、どこなのか。穏やかな正月3日の庭に立ち、あらためて時の流れを思った。

膝まで積もった雪を掘った。晦日前まできれいに紅い実を付けていたヤブコウジが見えた。白い雪の中の紅い実を見たかった。でも、雪に埋もれた植物たちは、暖かい雪に覆われたまま春を迎えたいのかも知れない。
紅い実は真っ白な雪に映えて本当にきれいだった。真っ白な雪ウサギの目を想像した。
(2008.1.3)

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