大昔、切手集めに熱中した時期、中華民国(台湾)の切手を入手して首を傾げたことがあった。そこには、国際連合(国連)の図柄が描かれていて、「United Nations 連合国…」と記されていた。国連公用語の五か国語(英、仏、西、露、中)だったと思う。
その「連合国」が、実は中国語で「国際連合」の意味だと知ったのは、ずっと後になってからだった。
外国の国連切手(「連合国」と書かれている)
日本の「国際連合」加盟記念切手(1957年)
国際政治学者の藤井厳喜氏が、連合国(第二次世界大戦の戦勝国 英語でUnited Nations)を「国際連合」という偽善的な名称に置き換えた経緯を下記の映像で解説している。
言霊の国である我が国は、事実、真実を衝く言葉を他の造語に置き換えて、その場をやり過ごしてきた。連合国を「国際連合」に、敗戦を「終戦」に言い換えて、コトの本質を避けてきた。
いま、「新型ウイルス肺炎」で大騒ぎのマスメディアだが、決してこれを「武漢肺炎」とは言わない。実は、台湾などの華人圏では、武漢肺炎と呼ばれているにも関わらず。多分、英語圏でも武漢肺炎で通用するはずだ。
何かに遠慮し、”忖度”して、本当のことを言わない。これは、相も変らぬ日本的悪癖だ。「終戦」「国際連合」と言い繕ったのは、究極的には戦争責任の所在(天皇の戦争責任)をあいまいにするため。「武漢肺炎」と言わないのは、中国への忖度、あるいは商売がらみの遠慮だろうか。
「広島、長崎に原爆を落としたのも、東京大空襲で一晩で10万人もの人を焼き殺したのも、”国連軍”がやったことなんですよ」という藤井厳喜氏の言葉に耳を傾けるべきときだろう。
【前編】“国際連合”は誤訳?日本人が知らない「国連」の正体 <講演録『国連の正体』より>