台湾総統選挙は、民進党の蔡英文主席が国民党の朱立倫候補をダブルスコアの大差で破り当選を決めた。
私は「ニコニコ動画」で蔡英文氏の勝利宣言を見たが、なかなか感動的だった。台湾の自由民主選挙は、この20年ほどの歴史しかない。民意を反映した総統(大統領)としては、李登輝、陳水扁、馬英九に次ぐ四人目の総統となる。
同じく行われた立法院選挙には、ヘビーメタル・バンド「Chthonic(ソニック)」のリードボーカルである林昶佐/Freddy Limが新政党「時代力量」から立候補して当選した。
彼の代表作であるアルバム「高砂軍」では、昭和天皇の「玉音放送」が曲中に使われている。
何故、玉音放送が使われているのか? 友人の一人は、このバンドは「反日」なのかと訝っていた。だが、実際にこのPV(ビデオ)を見れば、天皇の玉音放送など付け足しにすぎないことが分かる。祖国のために命をささげた特攻兵士(日本人や高砂族の兵士)に対する尊敬(リスペクト)が主眼なのだ。特攻機が敵艦に突入し、そのあと昇天しフェニックス(不死鳥)に変貌していく。それは林昶佐にとっては、必然的に「台湾人の台湾」「台湾独立」への思いに繋がっている。
蔡英文総統の登場により、日台関係はさらに強固になると言われる。だがしかし、台湾が「親日国」であるという、そもそもの理由を知る必要があるだろう。どこぞが「反日国」、こちらは「親日国」などという、手前勝手なご都合主義にどれほどの意味があるのだろうか。国民党軍に三万人もの無抵抗の台湾人が虐殺された「二二八事件」(1947年)のことさえ、われわれは学校教育の場でほとんど教えられていない。われわれはあまりに近現代史を知らなすぎるのだ…。
林昶佐と蔡英文
【2016総統選挙】総統選挙各候補得票数と立法委員比例選挙政党得票
台湾の声 2016.1.17 0:15 現在
総統選挙得票数
蔡英文ペア:6,894,744票 56.1234%
朱立倫ペア:3,813,365票 31.0409%
宋楚瑜ペア:1,576,861票 12.8357%
2012年の総統選挙で馬英九ペアが6,891,139票の得票で当選したので、馬英九に投票した人々が689と呼ばれていたが、今回の蔡英文ペアの得票も約689万票であった。
立法委員比例選挙政党得票
民主進步党: 5,370,953票 44.0598%
中国国民党: 3,280,949票 26.9148%
親民党: 794,838票 6.5203%
時代力量: 744,315票 6.1059%
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新党: 510,074票 4.1843%
緑党社会民主党聯盟:308,106票 2.5275%
台湾団結聯盟: 305,675票 2.5076%
台湾・総統選 国民党、敗北は「必然」の指摘も 存在意義が問われかねない状態に
産経新聞 1月16日(土)21時21分配信
【台北=田中靖人】中国国民党は総統選で敗北が確実となっただけでなく、立法委員選でも大幅に議席を減らす見通しだ。「百年老党」を誇る国民党は、存在意義が問われかねない状態に追い込まれた。
国民党の「鉄票区」とされる台北市の第1選挙区。現地メディアによると、民主化で立法院が全面改選される1992年以前からのベテラン立法委員(61)は民進党の新人女性(41)に敗れた。昨年3月に国民党から分裂した民国党も候補者を立て、組織票は流出。選対幹部は「馬英九政権への不満に党内抗争への反感もあり、民進党政権下で戦ったときより厳しい」と話した。
国民党は有力者が出馬を見送った結果、泡(ほう)沫(まつ)視されていた洪秀柱立法院副院長が候補者となった。だが、洪氏が中国との統一を目指すかのような発言で支持率を落とすと、党内からの反発を受け投票の3カ月前に朱立倫主席に差し替えた。
政治大学選挙研究センターの兪振華准教授は、党内対立の背景に、洪氏ら戦後中国から来た外省人系と、台湾出身の本省人系との対立があると指摘する。本省人系の政党である民進党は有権者の「台湾人意識」の高まりを受けて優勢だが、国民党は「現在では利益でつながっただけの政党で核心となる理念がなく、長期的にみて不利になるのは必然だ」と話す。
このため、「中国人意識」を持つ外省人系は洪氏や国民党から派生し統一色の強い「新党」などを支持。経済的利益を期待して馬英九政権を支持した人々も離れた。兪氏は「国民党は新たな理念を探さなければ分裂するだろう」と指摘している。