私の未来の夫である夜華。自分の一番良い年齢のうちに
夜華に出会えなかった事が遺憾でならない。
西海から 雲に乗って九重天に向かう途中、
一度雲から落ちてしまった為に
大変悲惨な身なりになった。
南天門を通る時、二人の門番に丁重に止められた。
今の私の身なりではあまりにも失礼な状態にあたり、
青丘の権威を損ねるものとなるが、しかし
夜華に会いたいという気持ちが切迫しているので
仕方なく またもや折顔の名前を借りるしかなかった。
彼に仕える仙使と名乗って、彼の命を受け太子殿下の
夜華君に会いに来たと語った。
(中略)
天将の通報で夜華の書斎に仕える小仙峨がやってきた。
白浅を見て大きく目を見開いたが さすがに何も言わず
丁寧に拝して、洗梧宮へと白浅を案内した。
「君上は近頃いかがですか?今は何をなさっていますか?」
「君上は近頃大変元気です。先ほど星君たちと協議を終え
今は 上神のお越しをお待ちする為に書斎においでです」
白浅は驚く。半月ほど前に 数万年分の修為を失ったのに
もう協議ができるとは・・・
紫宸殿につくと性急に扉を開け、性急に敷居をまたいで
入り、性急に奥の部屋に続く簾を開けた。
性急なそれらの一連の動作を完璧に美しくこなしたものの
しかし胸に憂いを抱えている為 花瓶や骨董などを
うっかり倒してしまい、大きな音を立てたのは
いた仕方のない事でもあった。
机に積まれた書類の山の後ろから 夜華は顔を上げ、
こめかみを揉みほぐしながら
笑っているようで笑っていない表情で言う
「今日は わざわざ 部屋を破壊しにやってきたのか?」
机いっぱい山積みの書類のうち
いくつかの帳簿が広げられていた。
(中略)
白浅は 急ぎ夜華の脈を取ろうとしたが
逆に 血を吐いた時の血痕を見つけられてしまう。
このあたりは ドラマと一緒。
何でもないように努めて振る舞う夜華に
白浅は胸を痛めながら 気づかぬふりを通し
折顔に会って 傷の様子を詳しく聞こうと
書斎を後にするのだった。
真昼間に会いに行ったにもかかわらず、折顔から
ようやく聞き出せた時は 真夜中になっていた。
六月十二日の夜のこと(東華帝君を川に落としたのが
六月一日)白真と折顔が月見をしている最中に天宮から
迎えが来て ある人の命を救って欲しいと頼まれた。
一刻を争うほどの慌てぶりで 折顔は天君は好きではない
けど、借りをつくるつもりで天上に赴いた。
その人とは 夜華君だった。
腕は無く、袖だけがブランブランしている状態で
修為は一、二万年ほどしかなかった。
・・・ちょうど白浅が結魄灯を世話している時にあたる
西海に行った翌日 夜華は 天君に
神芝草がいかに仙界の規則に反しているか
という意見書を出し神芝草を根絶やしにする許可を得た。
彼が出かけた二日後には島を沈めたという報告が。
天君は喜んだが その翌日戻った彼は
満身創痍の重傷を負っていた。
天君は 猛獣を倒すために負った傷のせいと思っていたが
本当は 丹薬を作るために全身の修為を使った為だった。
傷については心配ないし、義手もそのうちなじむが、
問題は 失われた修為のほうだ・・・
「彼は他の人では安心できないので 私に持っていかせた。
彼は自分が貴方の夫君なのだから、貴女の墨淵への借りを
少しでも代わりに返せたら と考えて貴女に黙っているよう
頼んできた。それも貴女の頑固な性格からして、
夜華の殆どの修為を使ったと知ったら、
貴女が使ってくれないのではないかと心配しての事だった。
もちろん心配かけたくなかった、というのもある。
まさかいつもは精緻にかける貴女が
皇子の意識に入って確認するなど考えていなかった。
しかし、夜華のあのすべての事を一手に引き受ける気性には
敬服するよ。・・・たった五万歳にしてあれら4頭の凶獣を
一気に斬殺できたとは 本当に将来有望だ。しかし、
あれほどの精粋な修為を いとも簡単に無くすとは
実に勿体なく、惜しい事だ」
白浅は 喉が詰まり、気持ちは酷く沈んだ。
白浅は できるだけ多くの丹薬をもらい 夜華のもとへ。
そばにいて何もできないかもしれなくとも
少なくても手を使えない夜華の為に何かできるだろう・・
彼の近くで 彼を見守りたい・・・
紫宸殿に着いた時 真っ暗な中でうっかり椅子を倒した。
その音で 殿内は瞬時に明るくなった。
夜華はベッドに寄っかかり、底知らずに思慮深く
私を見つめている。透けるような白い服姿が素敵だわ・・
彼は暫く私を見つめてから 微かに眉をひそめた。
「西海で皇子を看ているはずじゃなかったの?
このような真夜中に 急いでやってくるなんて
皇子に何かあったのか?」
・・その 眉をひそめる姿も 素敵だわ・・
私は若干乾いた笑いをしてから、落ち着き払って言う
「西海のことを済ませてきたところで 貴方の手の傷を
思い出して、お茶を注いだり水を飲んだりするのに
不自由するのではないかと思って。何か役に立てればと
こうして見に来たのよ」
私が心配しないように夜華が心血を注いでいるのなら
彼を安心させるよう、事情を知らないふりをしよう・・・
彼はますます底知れずに私を見つめたが、微かに
微笑み 身体をベッドの外側に少しずらして言った。
「浅浅、こっちへ」
(多少 原作の文章を変えてあります。中国語の漢字変換
が 難しいので なるべく難しい字は表現を変えました)
ドラマの48話くらいまでで 終わって欲しいくらいですが
この後も試練は続くのですよね・・・(;_;)/~~~