VOL2 わ・た・し流

おとぼけな私ですが 好きな本のことや 日常のなにげない事等 また 日々感じたことも書いていきます。

永遠の桃花通信47

2021-11-28 11:55:23 | 永遠の桃花

狐狸洞に 夜華の両親がやってきました。

白浅は 立ち直れないほど打ちのめされたと思います。

 

『温和で従順な顔の彼の母親は 怒りに身を震わせていた。

びっしょり濡れたハンカチで目を押さえながら言う

「私は 今になってようやく貴女が

あの時の人間の素素だったと知りました。

私の息子は なんという悲運 前後して二回も貴女に身を

崩されるなんて・・ 貴女が素素の時でも心血を注いで

貴女に尽くし、太子の身分を捨てようとさえした・・・

貴女と昭仁公主(素錦)の応報について 天君は 貴女に

両目を返す事、出産した後には三か月

(三年間の間違いかな?)

雷に打たれる差配をしたのに 貴女は両眼を失っただけで

済んだ。私の息子は貴女の代わりに雷に打たれたのよ。

なのに 貴女は誅仙台から飛び降りた。私の夜華も

貴女を追いかけて 飛び降りてしまった。

貴女にとっては 上神に昇進するための劫でしかないのに

夜華は・・息子は・・・彼は 貴女に会った時から

一時も 幸せじゃなかったわ!

彼は 貴女の為に こんなに多くの事をしたのに

貴女は・・彼の為に 何をした?

貴女は 何もしてないのに、当たり前のように彼を

自分のものにして!

彼が死んだ今でも 彼の遺体を自分のものにして

手放さないつもり?

貴女に聞きたい・・・貴女に 一言だけ聞きたい、

貴女に その権利はあって?」

 

私は喉に苦みが広がり、ふらつく足で二歩ほど後ずさった。

迷谷が私の身体を支える。

 

横で 夜華の父親は言った。「もうよい」 振り向き

私に言う「息子は鬼君ケイソウを倒し、元神をもって

東皇鐘が万物を焼き尽くすのを止めた。

天地万物の為の大儀だ。

天君は すでにその功を認めている。楽胥の言っている

ことは 婦人としての凡庸な見解でしかない。

上神におかれては どうかあまりお気になさらないで

頂きたい。

しかし、息子の遺体については いかなる見解をもって

しても、上神にはお返し頂くしかありません。

上神は 確かに息子とは婚約しているが、しかし

成婚には至っていない。

 息子の遺体を手元におくのは いかなる見解をもって

しても適当とは言えない。

息子は生前 天族の太子でした。

天上には 守らなければならない規則がある。

息子については 第三十六天の無妄海に葬られるべき

存在ですので、どうか 上神にはご理解頂きたい」

 

夜華が九重天に連れ戻されたその日は曇りで

少し風が吹いていた・・・

 

私は 彼の 眉、目、鼻に 全部口づけをし、

唇に移すその時・・・

心には・・・荒唐無稽だがかすかな願いが浮かんだ。

彼が目を覚まして  私の額に自分の額を押し当て

「貴女をからかっただけだよ」 と

私に告げて欲しい と願った。

しかし 結局それは 

私の妄想、愚かな執念でしかなかった。

 

夜華は 両親によって 氷の棺に安置され

私の目の前で青丘から運び出されて行った。

私に残されたのは 血に染まった彼の 

玄色の長衣一枚だけしかなかった。』

 

・・・夜華が命をかけたのは 二回だけではないです

が、母妃がそれを知らなくて良かったわ

と思いました。母が知ったら 一生 白浅を許せない

確執ができてしまいますよね。

でも 母は知らないんでしょうね。自分の息子に

自分の夫がどんな仕打ちをして育てていたのかを。

 

番外編その1ー1で 幼かった夜華が 誰も

彼の勉強を見張る人がいなかったその日

こっそり抜け出して 珍獣の世話係の童子と

珍獣をかまって遊んだ事がありました。

それも ほんの少しだけの事でした。

それを父君に見つかってしまい、連れ戻されたうえ、

棒でひどくたたかれて折檻されたのでした。

父は口癖のように 彼に言っていました・・・

「貴方は どうしてこれほど向上心がないのか!

貴方は 将来 天君を継ぐ者で 他の人とは違うのだ。

(そして、生誕のさいの五彩鳥の数の多さを

桑籍と比較して どうやってその鳥たちに報いるのか

と責める。単に 自分の弟より上を行って欲しいだけ

の 我欲に他ならなかったのだが。) 

 幼い夜華には その内容は理解できず、

ただ悲しかった・・・

 

またいわく・・・

彼のような年齢は 親の愛護を一身に受けるべき

年齢だった。彼の叔父たちはみな

親の愛護の元に育った。

彼の父君でさえ これほどのつらい仕打ちを

経験したことがなかった・・・とあります。

 

私は言いたい・・・両親に

貴方たちに そんな事を言う権利はあって???と