…これから危惧される「新たな問題」
世界平和統一家庭連合、旧統一教会に対して東京地方裁判所は宗教法人としての解散命令を下した。教団は東京高等裁判所に即時公告を行っており、解散が確定したわけではない。
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その点で、すぐに旧統一教会が解散するわけではない。ただ、高裁でも地裁の判断が維持されれば、解散手続きが開始されることになる。それでも教団が最高裁判所に特別抗告を行えば、解散をめぐる最終的な決着は最高裁の判決まで持ちこされることになる。
そこまでどの程度の年月がかかるか、現時点では見通せない。仮に解散が確定したとしても、そこにさまざまな問題が生まれてくることが予想される。
一つ大きな問題は、今回文部科学省が解散命令請求を行ったきっかけが、安倍晋三元首相に対する銃撃事件にあったことである。
容疑者の裁判はまだはじまっていないので、事件がどういった動機にもとづくものなのか、詳細は明らかになっていない。
これまで伝えられてきた通りであるなら、容疑者の母親に高額献金を強制し、一家を困窮させた旧統一教会に対する恨みに発していたことになる。
そうした容疑者であれば、自分が引き起こした事件によって念願がかなったことになる。容疑者が、銃撃に意味があったと感じていたとしても不思議ではない。
これまでも、旧統一教会に解散命令を下すべきだという声はさまざまな形であがっていた。けれども、それは実現されなかった。
一発の銃弾が、そうした状況を大きく変えたことは、今後、類似した犯行を誘発する危険性がある。
その点は、これまで解散請求を怠ってきた文科省、ひいては政府が責任を負わなければならないことである。
「宗教の自由擁護」のトランプ政権が抗議か
一つ気になるのが、これから、この問題に対してアメリカ政府が抗議してくる可能性があることである。 2月5日、バンス副大統領は、旧統一教会関連の「国際宗教自由(IRF)サミット」で講演し、「宗教の自由擁護はトランプ政権の重要課題だ」と述べていた(産経新聞、2月6日付)。この出来事からすると、今後、アメリカ政府が旧統一教会に対する解散命令は信教の自由を侵すものだと主張してくる可能性がある。
かつて首相の座に返り咲いた安倍元首相が、靖国神社に参拝した際、アメリカ政府が不快感を示したことがあった。靖国問題が示しているように、宗教の問題、信仰の問題は外交上の武器になる。
諸外国に対するトランプ政権の強硬な姿勢から考えれば、アメリカ政府がそうした武器を用いる可能性は高い。
そのとき、日本政府はどう対応するのか。戦後の日米関係を考えると、内政干渉としてはねつけるだけではすまないだろう。
この点について、トランプ政権はまだ具体的な動きを示していないので未知数だが、旧統一教会の解散が確定しても、問題がすべて解決するわけではない。
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