「緑のシンフォニー」

2016年04月28日 13時50分42秒 | 社会・文化・政治・経済
永井荷風は1907年、パリに遊学した。
レストラン、舞踏場、カフェ、美術館に夢中で通った。
マロニエ街路樹を配するパリの大通りは美しい。
モネ、ルノアールの絵が流行する時代だった。
特に花咲く庭で女性たちがおしゃべりするモネの絵を愛した。
こんな花咲く安らぎの庭が、富国強兵に走る日本にも必要だ。
戦いでなく、日常生活を楽しむ心が日本人には必要だ。
そう決意して荷風は同年の夏に帰国した。
日露戦争に日本が勝った頃。
母国の好戦的世相にさからうように、荷風は実家の広い庭のガーデニングに没頭した。
木々の新緑にもさまざまな色がある。
それを「緑のシンフォニー」と詩的に表現した。
5月から6月にかけ千坪の庭は「来青花(らいせいか)」で埋め尽くされる。
アイボリーの六弁の花びら、濃厚な香が特徴。
花と緑の庭は荷風にとって、平和で穏やかな暮らしのシンボル。
荷風文学には、多くの美しく魅惑的な庭が登場する。
文芸評論家・持田叙子さん
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