酒飲める体質だったら

2018年02月19日 22時40分08秒 | 未来予測研究会の掲示板
「終ったレースを今更、よやかく言ってもしょうがねいじゃないか」と突き放すように言う男の声に輪子は前の席から、後ろを振り向いた。
「でもな」と食い下がるのは、輪子が親しみを込めて命名した「藤代のおじいちゃん」である。
納得できないレースが少なからずある競輪。
「あそこで競ることはないんだ。引いて3番手にすんなり収まっていれば良かったんだ」
藤代のおじいちゃんの言う通りであった。
観客はそれぞれ自身の思い入れから車券を買う。
だが、期待された選手が観客の期待を裏切り、意地となって競り込まれた選手た相手に過剰に反応して自滅する。
選手は個人的であって、決して個人的立場ではない。
本命に支持され、自分に大半の金が投資されていることを選手たちはシビア理解していないように輪子には想われる。
輪子は吉田拓矢(茨城107期 22歳)-平原康多(埼玉87期 35歳)のラインに期待して車券)を買った。
だが、吉田拓矢選手は勝負どことで躊躇して先行しない。
平原康多選手は本命を背負っていた。
吉田選手に任していては、勝ちはないと思って、吉田選手に見切りをつけて平原選手自ら動いたのである。
一瞬の勝負どころを見逃さない平原選手の俊敏さに輪子は感動した。
高校の後輩である吉田選手に期待していた輪子は、改めて平原選手の勝負かんに感動した。
「吉田君も勉強になったのではないか」と平原選手はコメントしていた。
先行選手が2番手選手に見切りを付けられるのは、「屈辱でる」ことを輪子は理解した。
今日、「藤代のおじいちゃん」の昔話を聞いた。
「取手競輪は、昔は競馬場だったんだ。親父が競馬馬を持っていた」
「そうだったのね。その時代を知っているの?」
「ああ、小学生のころのことだ」
藤代のおじいちゃは酒を飲まない。
「人生、他人様よりつまらないね。酒飲める体質だったらな」
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