ウィリアム・カムクワンバ(William Kamkwamba、1987年8月5日 - )は、発明家として知られるマラウイ人の大学生である。カムクワンバはわずか14歳のときにユーカリの木(Eucalyptus globulus )と自転車の部品、および身近で入手できた廃品を利用して風車を製作し、風力発電によってマシタラ村(Masitala)にある自宅で多少の電気製品を使えるようにしたことで、世界的に有名となった。
ウォールストリート・ジャーナルの記者、サラ・チルドレス(Sarah Childress)によって、彼の物語の記事は世界中へ配信された。
その後、カムクワンバはマラウイの首都リロングウェにあるアフリカン・バイブル・カレッジのクリスチャンアカデミーに進学したが、2008年には南アフリカ共和国のヨハネスブルグにあるアフリカリーダーシップアカデミーの奨学生となった。
その後カムクワンバは、マシタラ村で初の飲料水供給設備となる水をくみ上げるための太陽発電型のポンプを設置し、12メートル以上の高さを持つ風車を2基作ったほか、今後さらに2基の風車をマラウイの首都であるリロングウェを含む2箇所に建設する予定であるという。
経歴

カムクワンバは1987年にマラウイ中部州のドーワ県マシタラ村に生まれた[3]。プライマリースクールを卒業後にセカンダリースクールに進学するも、2002年にマラウイ全土で数千人規模の餓死者を出した大旱魃が発生し、農業を営む両親は年間80ドルの学費が支払えなくなったため、カムクワンバは学校を退学せざるをえなくなった[4]。学校を中退後、カムクワンバは村の図書館に通い独学に励むようになったが、ある時図書館でエネルギー利用(Using Energy )という本を見つけ、風力発電に関する説明文と写真を発見し、そこで風車による発電と水のくみ上げに強い興味を持った。
なお、マラウイでは電気の普及率が極めて低く、電気の供給を受けているのは2002年当時でマラウイ人全体のうちのわずか2%に過ぎず、2009年時点でも7%程度でしかないという[2]。
「このような状況を変えたい」と思い、また「誰かが実際にこれを作ったならば、自分にも出来るはず」と考えたカムクワンバは、独力で風力発電用の風車建築を試みた。
家業のトウモロコシ畑を手伝いながら、暇を見ては村のゴミ捨て場を漁る彼を、村内の200人ほどの住民は不審な目で見つめ、あまつさえ母親や姉を含めた家族までもが「カムクワンバは頭がおかしくなった」と噂した。
また、呪術を掛けられたという噂や、マリファナを使用しているとの話も流れていたという。
それでもカムクワンバは、このような状況に耐え、建設中に幾度か感電したりしつつも、地道に作業を続けていった。
そして建設開始から3ヵ月後、森から切り出してきたユーカリの木のほか、ゴミ捨て場を漁って入手した自転車の予備部品、自動車のバッテリー、プラスチックのパイプ、トラクターのプロペラ、タービンなどで構築された高さ約5メートルの風車が完成した。風車へ自動車用の電球を接続し、風力発電によるタービンからの電力供給で電球の明かりが点滅すると、集まっていた村人は驚愕し、そしてこの"事件"に熱狂した。
その後、2006年には高さ12メートルの二基目の風車を建設し、2007年には太陽光発電パネルの寄付を受けて井戸上に貯水タンクと共に設置し、村で初めての給水設備を作成した(原型は三基目の風車)。
さらに2008年には送水用ポンプを稼動させるための四基目となる風車を建設、2009年には一番初めに作成した風車と同じ型のものを地域の学校の校庭に設置し、2009年時点で計5基の風車を建設した。
近年では、同じ村の住人がラジオで音楽を聞きに来たり、携帯電話の充電を依頼するためにカムクワンバの家を訪れるほか、他の町の住民が家を見学に訪れることもあるという。
また、2007年には後述するTEDカンファレンスへ招待され、講演を行った。
2009年、カムクワンバは南アフリカ共和国のエリート養成大学、アフリカリーダーシップアカデミー(the African Leadership Academy)に、支援者からの奨学金を受けて通った。
2010年9月からはアメリカのダートマス大学で学んでいる。その後2014年6月に卒業した。
William Kamkwamba | |
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![]() (2007年TEDカンファレンスにて)
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生誕 | 1987年8月5日(32歳)[1] マラウイのドーワ県 |
国籍 | ![]() |
職業 | 発明家 |
著名な実績 | 廃材を利用した風力発電機の建設 |
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