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「太平洋戦争研究会」代表・平塚柾緒さん 最前線の兵士らの肉声を

2020年10月05日 10時47分48秒 | 事件・事故

創作の原点

毎日新聞2020年10月4日

在野で戦史を研究、執筆する「太平洋戦争研究会」はこれまでおよそ100冊もの書籍を世に送り出してきた。戦史ファンのみならず歴史学者やジャーナリスト、漫画などの創作者にとっても頼りになる集団だ。代表を務める平塚柾緒さん(83)は、もともと「美術少年」「文学青年」だった。

 茨城県石下町(現常総市)出身で、敗戦時は国民学校の2年生。「朝、登校する時よく(米戦略爆撃機の)B29が飛んできました。近くの桑畑や麦畑に駆け込みましたね」。1945年3月10日の東京大空襲の翌日か翌々日。「河原で遊んでいると、昼間なのに夕暮れみたいに暗くなりました。煙が流れてきたのでしょう。紙の燃えかすのようなものが降ってきた」

 戦争の記憶が、そのまま「研究会」の仕事につながったわけではない。絵が好きで美大に進学した。しかし時代は60年安保闘争のまっただ中。運動に関わり学業がおろそかになった。さらに文学学校にも通った。

アカデミズムの歴史学には、戦後長く体系的な戦史研究がなかった。
空白を埋めたのは、元軍人だ。
たとえば「戦史叢書」。防衛省防衛研究所戦史室が編さんした。
旧陸海軍、特に陸軍の旧幕僚将校が担当した。
全102巻と膨大だが、平塚さんは「兵卒はあまり出てきません。我々は将校よりも、最前線で戦った兵隊さんの声を聞こうと考えました。
捕虜虐待など暗いテーマも取り上げつつ、「実名」にこだわった。
「それが広く受け入れられた理由でしょう」
「戦争を取り上げないと、日本の近現代史は語れないし、書けません。ノンフィクションや歴史学を目指す人はしっかりと目を向けてほしい」と力を込める。
今は「最前線に異常あり」のは再編集、刊行を目指す。
今後も戦争をまったく知らない世代の創作意欲、研究意欲を刺激してくれるだろう。
「栗原俊雄」


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