2012年1 月 2日 (月曜日)
1970年(昭和45年)12月24日、徹は銀座の何時もの喫茶店でその人を待っていた。
徹の友人2人が都合で来られない。
現代風に表現すれば合コンの約束だった。
その人は友人を連れてくると言っていたが、30分遅れてやってきた時は、1人であった。
笑顔がないので、その人は高慢な女性に映じた。
「あら、1人なのね!」
声にも人を突き放すような響きがあった。
「明日にしましょう」
その人は席に座らず、踵を返して店を出ていった。
徹はソーダー水を半分残して席を立った。
会計をすますのももどかしい。
外へ出て、その人の姿を探したが既に見えない。
何時も以上に銀座は人並みで溢れていた。
空しさが広がり、心の渇きを覚えた。
徹は銀座から東京駅まで歩いた。
1か月前、その人と一緒に映画を観た映画館の前で立ちどまり、ポスターを確認した。
だが、上映されているのは戦争映画だった。
ひどく落ち込んでいたので、見る気になれない。
結局、八重洲まで歩いて、ブックセンターへ入る。
そして、買い求めたのが「チェーホフの言葉」佐藤 清郎訳編(彌生書房)だった。
次の日の12月25日、作家の三島由紀夫が死んだので、その年は忘れられない年となった。
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