医師不在で死亡診断書…

2016年04月29日 17時21分55秒 | 医科・歯科・介護
埼玉の特養ホーム

読売新聞2016年4月28日
 埼玉県春日部市銚子口の特別養護老人ホーム施設「あすなろの郷」で3月下旬、女性入居者(当時101歳)が死亡した際、医師が不在だったにもかかわらず、施設で老衰の死亡診断書を作成していたことが27日、県などへの取材でわかった。
 施設の嘱託医は、事前に日付を空欄にした死亡診断書を施設に渡していたという。県は26日に施設の立ち入り検査を実施して調査しており、医師らの行為が医師法に抵触する可能性があるとみて、県警にも報告する。
 県などによると、死亡した女性入居者は、3月18日に危篤状態に陥った。嘱託医は19日から旅行の予定が入っており、死因を「老衰」と記載して署名し、日付を空欄にした死亡診断書を作成して、施設に預けた。
 20日に女性が死亡し、施設職員が嘱託医に連絡を取ったが、施設に戻れなかったため、看護師が死亡診断書の死亡年月日と発行年月日を記入した。診断書は遺族に渡されたという。
 医師法では、死亡診断書の作成について、医師以外できないと定めている。県医療整備課によると、入居者が死亡した際に、担当の嘱託医が不在であれば、救急車を呼ぶなどして、他の医師の診断を受ける必要がある。
 県福祉監査課によると、施設に嘱託医は2人おり、施設のマニュアルには、1人に連絡がつかない場合、残る1人に連絡を取るよう定めていたが、施設の職員らはそれを順守していなかった。
 施設によると、この看護師は「他の医師を探している間、女性を連れ回したくなかった」などと説明したという。看護師は3月末で退職した。
 日付を空欄にした死亡診断書を施設に渡したとされる嘱託医は、読売新聞の取材に対し、「話すことはない」としている。施設によると、この医師は26日、5月末で嘱託医を辞めると伝えてきたという。
 施設を運営する社会福祉法人「あすなろ会」の斎藤美嗣専務理事は「悪いことをした認識はある。職員の責任の範囲を超えた行動だった」と説明している。
 今回の問題について、県や保健所への報告がなく、県福祉監査課は「報告を怠るなど、事後処理も問題がある。必要に応じて調査を行い、再発防止に向けて速やかな報告などの指導を行う」としている。
 同課によると、「あすなろの郷」は2008年4月設立。定員90人の特別養護老人ホームのほか、ショートステイ(定員10人)、デイサービス(定員25人)、居宅介護支援を行っている。

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