闇バイトー凶悪化する若者のリアル

2023年07月08日 06時12分52秒 | 事件・事故

闇バイト 凶悪化する若者のリアル (祥伝社新書) by [廣末登]

廣末登 (著) 

「闇バイト」がなくならないワケとは?――

2023年1月19日、東京都狛江市に住む90歳の女性が
自宅で殺害されているのが見つかった。
女性の遺体には激しい暴行の跡が見られ、これまでとは次元の違う強盗殺人事件として世間を震撼させた。
本件をきっかけに注目を集めたのが、「闇バイト」といわれる犯罪だ。
指示役に集められた素性のバラバラな集団によって行なわれる犯罪で、同種の事件は後を絶たない。
中でも詐欺よりも手っ取り早く稼げる「タタキ(強盗)」の増加が危険視されている。
本書では、非行経験のある犯罪学者が当事者たちを取材。
闇バイトを取り仕切る半グレや犯人の更生に従事した保護観察官の声から見えてくる、その真実とは。
最終章では、闇バイトを生み出す日本社会の闇を分析。
失うもののない「無敵の人」を生み続ける構造に警鐘を鳴らす。

著者について

1970 年、福岡市生まれ。社会学者、博士(学術)。専門は犯罪社会学。龍谷大学犯罪学研究センター嘱託研究員、久留米大学非常勤講師(社会病理学)、法務省・保護司。
2001 年北九州市立大学法学部卒業、08 年同大学大学院社会システム研究科地域社会研究科博士後期課程修了。国会議員政策担当秘書、熊本大学イノベーション推進機構助教、福岡県更生保護就労支援事業所長等を経て、現職。
裏社会の実態を科学的調査法に基づいた取材を重ね、一次情報をもとに解説する。著書に『ヤクザになる理由』『だからヤクザを辞められない』(ともに新潮新書)、『ヤクザと介護』『テキヤの掟』(ともに角川新書)等がある。
 
 
 
本書は、おそらく研究者(犯罪学)が書いた初の闇バイト本ではないか。
著者は「ヤクザ博士」の異名を持つ学者である。
福岡で保護司もしているようだから、犯罪の事例に詳しいのだろう。
今回、冒頭、いきなりフィクションで始まることにはビックリしたが、「闇バイトの危険性を読者の方に理解してもらいたい」という著者の配慮ではないだろうか。

2021年に著者が提唱した「半グレ」4分類が、5分類にグレードアップされていたこと。
これは、在日外国人も特殊詐欺に加わっていることを考えると、的を射た指摘である。
ちなみに受け子や出し子(UD)は、半グレ5分類の第2カテゴリーで、使い捨てにされる者だそうである。

特殊詐欺で逮捕された半グレや一般人の横顔として、性格特性に加えて、成育歴や犯罪歴が記述されており参考になる。確かに、彼らは、暴力団とは異なる犯罪者集団だ。

最近、メディアに出ている特殊詐欺の主犯格であるフナイム氏をはじめ、詐欺や強盗の実行犯に対するロングインタビューは圧巻である。
当事者が語る犯罪のリアリティに圧倒される。
一方で、保護観察官など更生を支援する側にも取材しているので、バランスの取れた記述となっている。

特殊詐欺の主犯で検挙される者は2%に満たない。そうであれば、UDとして特殊詐欺に加担する若者を減らすしかない。
本書を「大人が闇バイトや半グレを正しく知るための入門書」として、学童期のお子さんをお持ちのお父さんやお母さんが、夏休み前に読まれることをお勧めする。

本書では、専門用語など難解な用語は用いられておらず、淡々と事例が掛かれているので、サクッと読めて為になる一冊と思う。
誰もが詐欺や強盗の被害者になる可能性がある時代だからこそ、自衛のためにもおススメしたい。
 

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