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明治維新の意味

2020年12月27日 10時47分55秒 | 社会・文化・政治・経済

北岡伸一 (著)

明治維新の大改革は、なぜあれほどスピード感をもって、果断に進められたのか。国連大使や国際協力機構理事長を務め、「ネーション・ビルディング」の難しさを知る政治学者が、いま改めて問う、制度作りとそれに関わる者たちのありかた。

北岡 伸一(生年月日1948年4月20日)は、日本の政治学者・歴史学者。国際協力機構 理事長。奈良県立大学理事長。政策研究大学院大学客員教授、東京大学名誉教授。

 

本書は着眼の斬新さ、論述の明晰さ、目配りの広さにおいて群れを抜いている。 最大の特色は政治外交史の視点から政治決定の過程を捉え、合意形成がどのように達成されたかを検証した点だ。
いかなる政治改革も支配者にとって大なり小なり自己否定を意味している。
ましてや権力交代となると、当事者にとって死活問題となる。
体制の転換にはしばしば超法規的な手段が用いられ、当事者が衝突したり、流血を招いたりすることも珍しくない。
しかし、大政奉還のとき、国が大混乱に陥ることなく、周辺国に比べると、戦争ごっこのような局地戦しか起きていない。
著者が注目したのは、公論にもとづく国家の意志決定である。
むろん、「公論」とはいっても、現代とは意味がずいぶん違う。
著者は明治維新のことを「民主化」と称している。
民意を反映する政治が形成される歴史の流れにおいて、明治維新はきわめて大切なきっかけをつくったのは確かなことである。
同時代の清国や朝鮮との比較は興味を引く。
幕末の武士たちは、西洋の砲艦を見ると、一瞬にして勝てないことに気付いた。
彼らは現実を直視しており、精神力に頼ることも、過剰な自文化優位の意識に囚われることもない。
日本は儒教文化の中心から離れている分、周辺的な経験はかえって世界を冷静に眺め、合理的に行動することを可能にした。張競評(明治大学教授・比較文学)

 

表題の「意味」に魅かれ、そして帯の「成功の理由はどこに」に期待し、入手。
 本文は、幕末から説き起こし、明治期を通して、「近代国家樹立」の過程を細やかに綴る。
 しかし何があった、何が出来た、それらが主なる記述で、その何が、何故あったのか、何故出来たのか、肝心のそこが殆ど書き込まれていない。
 故に概して明治は、大久保に始まり、死後伊藤が引き継ぎ、彼の死で終わった、それが本書の趣旨であるならば、その筋立てで構成し、書き進めればいいのに、その辺りを判然とさせずに終わる。
 これでは、本書表題の「意味」は不確か、帯の「成功の理由はどこに」は説き明かされず、と云って間違いあるまい。
 まるで『詐欺』に遭ったよう、本音は突き返したい気持ち。

 

発売初日に購入。
流石、北岡伸一さん。
明治維新に対してのわたしの中の懐疑が解決した。
北岡伸一さんの見解に同感です。
明治維新の本質を突いている。
明治維新については、この著作を読まない事には語れないのでは?ないか。
日本陸軍と大陸政策、以来の練度の非常に高い研究書。

 

当たり前ですが、目新しい話はありません。しかし、明治維新がいかに「綱渡り」であったかが良く整理された内容です。その「綱渡り」を成功に導いた方々が本当にリレーの様に自分の役割をつないで行ったことは、一種の神意すら感じてしまいます。この時代に興味のある方からすれば、フムフムと了解しながら、気軽に楽しめる読み物(正に新書)です。世界的に見て、帝国主義真っ盛りの時代をワープ並みのスピードの自己変革で生き抜いたことは、本当に奇跡と呼んでいいのかと。その後がいけませんが…。

 

明治維新は我が国の世界に誇る一大事業であり、正に国民が一丸となったネーションビルディングだった。と言うのが分かるよう右にも左にも寄らず客観的な事実の積み上げにより、意図通りの偏向して無い明治維新の入門教科書的な内容に仕上がっており素晴らしいです。

その上で浮かび上がってくる特徴として、西洋近代化の大波が襲来した際に国政に軍人が関わっていたこと。それから下級武士から筍の如く国を憂うスケールの大きな志士が湧き出てきたこと。また旧幕の人材活用に見る寛容さも忘れてはいけません。
他にも色々あるかと思いますが、これらはスタート地点であって、その先にある丘の向こうを見たいんじゃ!と言う気もしますが、先人が成し遂げた偉大な歴史として記憶しておく事には大きな意義があるのは間違い無いでしょう。

 

非常に広い視点から明治維新の意味が分析されており、素晴らしいと思う。
個人的には福沢諭吉の学問のすすめを読んでいなかったので、早速読んでみたい。

 

何処にも偏らない、ことさら強調しない姿勢で作ってあって、読んでいて心地良い本です
これからもそういう作品を作って下さい
 
 
明治維新を別の視点でとらえることができました。

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