私は大学時代に、管弦楽団に所属して、夜は新宿歌舞伎町のナイトクラブでトランペットを吹いていた。
学生時代のアルバイトであり、煌びやかな夜の世界の私は、裏の顔として生活していたのだ。
そのクラブで、ホステスの夏希と親しくなった。
彼女は肌が白い人で、新潟の湯沢の生まれだった。
私は高校生時に従兄弟たちと群馬県前橋から湯沢スキー場へは何度も行っていたので、夏希に親しみを覚えた。
「あなたは、いい人だけど、目がきつくて、良い人に見えないわ。眼を整形したらどう?。実は私は、子どもころからコンプレックスがあって、顔整形したのよ」どこか控えめで気弱に映じる彼女の様子は過去のコンプレックの反映なのかと私は想った。
「そうなのか、整形美人に変身したんだ。どうりでハーフのような顔なんだ」私は口には出さなかったが、納得する。
私は、夏希の勧めで彼女が整形をした「高村整形外科」へ行くこととなり、信じがたいことにジャニーズ系の顔立ちに変貌を遂げることになる。
それがその後の私の表の顔となり、女遍歴の始まりだった。
学んだ大学は法学部法律学科で弁護士を目指していたのに、それも挫折する。
その後はダンス教師で生計を立てるとともに、夜は銀座のナイトクラブでラテン歌手をしていたのだ。
女遊びが過ぎ、手切れ金を母親に払わす体たらくな男となる。
そして、27歳の時に母の勧めで見合い結婚をする。
相手は群馬家前橋の内科開業医師の娘の早苗であった。
彼女とは高校時代から顔見知りであったが、心が動かされる人ではなかった。
弁護士を目指していた私同様に、医学部を目指した早苗も挫折した過去を引きずっていた。
早苗は、私の顔の変化にまず驚いたようだった。
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