様々な出会いのつづれ織りが、人生という歴史の絵模様を描くと語る池田大作が、世界の知性と語った「魂の交響曲」。
トインビー、マンデラ、サッチャー、周恩来、ゴルバチョフ等との交友を描く、人間愛あふれるエッセー集。
フランのアラン・ポエール元上院議長は池田会長に対し「平和のために行動する人、人類に対する最大の貢献者である」と評した。
人生、戦うことはできる。むずかしのは戦い続けることである。
初心を忘れないことである。戦続ける人の言葉には、千鈞(せんきん)の重みがある。
「私は、生きて囚われの身となるよりは、たとえ死んでも、一人でも多くの人を救いたかったのです」フランス上院のポエール議長(当時)は、反ナチ・レジスタントの闘志であった。
1940年、ダンケルクの戦い。
ナチスの猛攻が、北フランスの港町を襲った。
「激しい爆撃が続きました。私は懸命に防空壕を掘って、兵士を退避させました。ともかく皆を救いたかった。2000人以上を助たでしょうか」
しかし―と議長は息をつがれた。
「ある一人の兵士を救えなかった。・・・彼は、私の友人でした」
リュクサンブール宮殿(パリ)にある議長公邸である。1981年以来、5回の会見はすべて、この歴史の館にお招きを受けたものである。
宮殿の400年の重みは、自然のうちに、<時を超えて輝く何か>にだけ、人の思考を誘う力があるようであった。
「必死の救出作業のなかで、私はあることに気づきました。それは自分には人々を安心させる力があることです。そこから私の政治家への道が始まったといえるでしょう。この話をいするのは初めてです。ここにいる孫娘たちも聞いたことがありません」
議長にとって、政治とは「人を救う」ことであった。
人を安心させ、幸福にすることであった。
その初心を85歳を超える今日まで貫いてこられた。
その間、25年にわたって上院議長を務め、大統領代行も2度(1969年、1974年)文字どおり、フランス政界の重鎮であり、良心であられる。
「人間は何のために地球上に生まれたのか。その意味を考えるべきです。人間は、自分より不幸な人を助けるべきなのです。それが人間としての責任であり、政治の使命なのです」
崇高な闘争の人生の結論として、議長が語ってくださった魂の言葉を、私は後世に残していきたい。
「人生には、生きていくうえでの基本軌道、「道」が必要です。心のままに振舞うだけではいけない。人生の不変の知恵を伝える宗教の必要性もそこにあります。確かな宗教をもつ人は、ドラマに富んだ人生を行く抜くうえで、他の人にはない力を得るのです」
「他人に奉仕し。自分を犠牲にすることは、結局、自分のためになります。ゆえに、エゴイストであってはならない。これが長い人生を振り返っての私の実感なのです」
人生の満足とは。勝利とは。栄光とは。—私は思う。
何があろうと戦い続けた、その信念の歴史こそ「幸福」はある、と。
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