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競輪人間学 二者択一

2021年04月06日 12時09分17秒 | 未来予測研究会の掲示板

伊東競輪(4月5日)
FⅠ TIPSTAR杯
9レースS級準決勝

どうも、 33バンクとの相性が悪い。
つまり、車券で負けるケースが多いのだ。
先行選手に有利な33バンク

並び予想 4-1 6-2 3-5-7

レース評
実績一番の山崎が強烈な捲りで一撃。芦沢が番手でワンツーに期待。
中井−東口−村田は充実布陣だし、抜群な神田も狙える。

山崎 芳仁選手を軸に車券を買って損をしている過去のことが頭をよぎる。
このため4-1ラインを軽視した。
二者択一の場面である。
5-3-7と5-7-3の3連単で勝負する。

5-3(6.6倍)
5-7(8.6倍)
5-3-7(12・1倍)
5-7-3(22・4倍)

「競輪は展開次第。本命ラインは固くない。荒れるよ」と我孫子の勝負師が指摘する。
そのとおりなのだ。
3-5-7で捲るも、5番選手が捲る4番を強烈に外へ押し上げる。
この結果、5番の後ろに4番を追走していた1番がはまる。
横の動きで5番を追走する7番が離れたのだ。
3-5-7ラインですんなり回れないのが競輪の微妙な展開のアヤだった。

結果は、5-1-7となる。

2車単 5-1 3,180円(9番人気)

3連単 5-1-7 9,890円(27番人気)




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
× 1 5 東口 善朋   9.9   併せ番手捲
2 1 芦澤 大輔 1/2車輪 9.8 S 俊敏内下り
3 7 村田 雅一 1車身1/2 9.9     芦沢阻まれ
4 4 山崎 芳仁 1/4車輪 10.1   B 捲り併され
  5 2 宮越 孝治 3車身 10.1     目標叩かれ
6 3 中井 太祐 4車身 10.7     打鐘カマシ
7 6 神田 龍 7車身 11.1     叩き叩かれ

参考:引用文

先行有利が故の白熱した主導権争い【333m】

現時点で競輪が行われているバンクの中でもっとも周長が短いのがこの333mバンク。
通称「サンサンバンク」と呼ばれるこれらのバンクは先行有利と言われています。現在存在しているのは「前橋」「松戸」「小田原」「伊東温泉」「富山」「奈良」「防府」の7ヶ所。そのうち前橋のみ335mとなります。

また、競輪場ではない自転車競技場でも国内で全10ヶ所が333mの設定になっています。

33バンク(さんさんばんく)
1周が333.3mまたは335mバンクのこと。

実は意外と種類が豊富なバンクの規格。
400mが殆どの陸上競技とは異なり、日本国内だけでも250m・333m・400m・500mと4つの周長が存在しています。

結論から先に申し上げますと、バンク規格の違いは“めちゃくちゃ影響します”。
バンクの規格、ひいては何処のバンクかによっても決まり手の傾向や選手の戦術が大きく変わって来るため、それぞれの特徴を知ればレース観戦がもっと楽しくなること間違いな
し!

先行有利が故の白熱した主導権争い【333m】

現時点で競輪が行われているバンクの中でもっとも周長が短いのがこの333mバンク。
通称「サンサンバンク」と呼ばれるこれらのバンクは先行有利と言われています。
現在存在しているのは「前橋」「松戸」「小田原」「伊東温泉」「富山」「奈良」「防府」の7ヶ所。
そのうち前橋のみ335mとなります。

また、競輪場ではない自転車競技場でも国内で全10ヶ所が333mの設定になっています。

国際的なスタンダード【250m】

国内に存在しているのは伊豆ベロドロームと日本競輪選手養成所のJKA250の2つのみ。国際的には広く用いられている規格で、国際大会が行われる世界のバンクの多くは周長250mです。また、UCIの規則において「世界選手権大会及びオリンピック競技大会を行う競技場の周長は250mとする」と規定されています。

 


愛が遺伝子スイッチON

2021年04月06日 12時07分00秒 | 事件・事故

 


 村上 和雄  (著)

内容(「BOOK」データベースより)

私たちの遺伝子は、約38億年の太古の昔から一度も途切れることなく受け継がれてきた。私たちのいのちは、地球生命で38億歳!細胞1個が偶然に生まれる確率は、1億円の宝くじを100万回連続して当選するほど素晴らしいこと。遺伝子のスイッチがオンになれば、普段は出せなかった力が発揮できる。人間の一生は授かった遺伝子がどう目覚めるかによって決まる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

村上/和雄
筑波大学名誉教授。米国オレゴン医科大学、京都大学農学部、米国バンダービルト大学医学部等を経て、1978年より筑波大学応用生物化学系教授。同大遺伝子実験センター長、先端学際領域研究センター長等を務め、99年に退官。83年に高血圧の黒幕である酵素「レニン」の遺伝子解読に初めて成功、世界的な注目を集める。90年、マックス・プランク研究賞、96年、日本学士院賞を受賞。2002年に「心と遺伝子研究会」を創設し、陽性ストレスや感情が体にどのように影響しているかを、遺伝子の働きの視点から研究を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 
 
遺伝子のレベルで,人を愛することは人間として不可欠,そのようにセットされているのですから,愛情の豊かな人間にならなければなりませんね。人間の遺伝子をそのようにセットしたのはだれなのでしょうか?
 
 
2010年の本。著者は筑波大学名誉教授(元・筑波大学遺伝子実験センター長)。
 曰く・・・
 遺伝子は絶えず細胞をリフレッシュする。そのオン・オフのスイッチは刺激や環境変化の影響を受ける。このような遺伝子の働きは人間固有のものではなく、動植物にも細菌にすら作用する。
 味噌汁は健脳食。味噌に含まれるレシチンはコレステロールを除去するだけでなく、記憶力や学習能力を高める。また、レシチンは、神経伝達物質であるアセチルコリンの生成を活発にすることにより、精神状態を改善する効果もある。レシチンは、天然の精神安定剤といわれる。レシチンは、味噌汁だけでなく豆腐や納豆にも多く含まれる。
 人間の体を作る約60兆個の細胞一つ一つには二万三千個の遺伝子の組み合わせが蓄えられている。それぞれの細胞がどの遺伝子をオン・オフするかを選択することで細胞の形や機能が変わってくる。しかし、この選択の指示を出している本尊はいまだにわからない。
 人には働きの異なる数百種類もの細胞がそれぞれ自分の役割を演じながら、臓器を支え、他の細胞を助けている。このような協力とハーモニーを奏でているのは自律神経であるが、自律神経を動かしているものが何なのかは未解明。
 今までの人生で一番幸せなのは、今(ダライ・ラマ十四世)。
 私の言葉を盲目的に信じるのはいけない。自分の頭でよく考えて分析し、正しいと思ったら信じなさい(釈尊)。
 心の健康とは、人を愛し、働くことである(フロイト)。
 みたいな話。

遺伝子のスイッチ: 何気ないその行動があなたの遺伝子の働きを変える

2021年04月06日 11時58分09秒 | 社会・文化・政治・経済

生田 哲  (著)

人生、能力、生き方、考え方は遺伝子で決まらない!
遺伝子を「オン/オフ」にするスイッチ
「エピジェネティクス」を解説

人生、能力、生き方、考え方といったものが遺伝子によって決まっている、あるいは遺伝子検査を受ければこれらがわかるなどと思われている。テレビ、新聞、雑誌、そしてステマの無法地帯となっているインターネットなどを通してそう宣伝されるからであるが、これは誤りである。遺伝子は環境とかかわることではじめて働くからである。遺伝子の役割は過大評価されている。
遺伝子の働きは、食事や運動などの生活習慣やどんな書物を読むか、どんな人とつき合うかなどによって劇的に変わるからである。
一卵性双生児を例に説明しよう。一卵性双生児は、英語で「まったく同じ双子」(identical twin)と表現されてきたものの、正確には「まったく同じ」ではない。「一卵性双生児」は、まったく同じ卵子から生まれ、同じ女性の子宮の中で同じ時期に育った双子である。ふたりは先天的な環境は同じであるが、後天的な環境は同じではない。だから、一卵性双生児で生まれたひとりは学校の教師をし、充実した日々を送るが、もうひとりは薬物依存に苦しむことだってありうる。
たとえ同じ遺伝子をもっていても、同じ結果になるとは限らない。それどころか、同じ結果にはならないことが多い。そして、最近の研究によって遺伝子の働きを変えるしくみ、すなわち、遺伝子を使う(オン)にしたり、遺伝子を使わない(オフ)にするスイッチが存在することが明らかになった。このスイッチを研究するのが「エピジェネティクス」という、今、爆発的に発展している学問分野であり、本書のテーマである。

著者について

生田 哲(イクタ サトシ)
薬学者/評論家
薬学博士。1955年、北海道に生まれる。がん、糖尿病、遺伝子研究で有名なシティ・オブ・ホープ研究所、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などの博士研究員を経て、イリノイ工科大学助教授(化学科)。
遺伝子の構造やドラッグデザインをテーマに研究生活を送る。現在は日本で、生化学、医学、薬学、教育を中心とする執筆活動と講演活動、脳と栄養に関する研究とコンサルティング活動を行う。著書に、『ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く 』 (講談社+α新書)、『よみがえる脳』『脳にいいこと、悪いこと』 (以上、サイエンス・アイ新書)。『よくわかる! 脳にいい食、悪い食』『子どもの脳は食べ物で変わる』(以上、PHP研究所)など多数。
 
 
 

【独自】長崎の元郵便局長、10億円詐取か 25年間「高金利」かたり勧誘

2021年04月06日 11時16分23秒 | 社会・文化・政治・経済

4/6(火) 6:00配信

西日本新聞

長崎市の元郵便局長の男性(60代)が約25年にわたり、「高い金利が得られる」などと勧誘し、知人ら四十数人から郵便貯金などの名目で約10億円をだまし取った疑いがあるとして、日本郵便が調査していることが同社関係者への取材で分かった。長崎県警も把握し、捜査しているとみられる。

郵便局における主な詐欺・着服事案

 日本郵政グループは重大な事案として、既に金融庁に報告したという。同グループでは、大規模な保険の不正販売が発覚するなど不祥事が相次いでおり、改めてコンプライアンス(法令順守)への姿勢が問われそうだ。

 複数の関係者によると、元局長は1996年~2021年1月、地域のロータリークラブの会員らに対し「金利の高い貯金がある」などとうそを言い、貯金の預入金や保険料などの名目で、約9億9千万円を詐取した疑いがあるという。日本郵便は、他にも被害者がいる可能性があるとみて調べている。

 元局長は入金手続きが済んだように装うため、1993年に取り扱いが廃止された郵便局の証書を不正に手渡すなどしていたという。昨年12月以降、顧客から「元局長に貯金を解約してほしいと頼んだのに応じてくれない」などの相談があり発覚した。

 元局長は2019年3月に定年退職するまで、従業員約10人の郵便局で局長を務めていた。退職後も詐取を繰り返していたとみられる。

 日本郵便は取材に「全容解明に向け社内調査を行っている。お客さまには、多大なるご迷惑とご心配をお掛けし、深くおわび申し上げます」とコメントした。

 同グループでは、保険の不正販売問題で今年3月までに約3300人が処分された。郵便局では他にも切手の大量着服や預かり金の横領が相次ぎ発覚している。(宮崎拓朗、山口新太郎、西田昌矢、松永圭造ウィリアム)

西日本新聞社


生命力-生き抜く力-祈りの行為

2021年04月06日 11時16分23秒 | 社会・文化・政治・経済

運命は遺伝子で決まらない

生命の神秘にどう向き合うべきか

人類は地球に誕生して約700万年。
人類はこれまで、さまざまな環境の変化に適応して生き延びてきた。
そのなかで蓄えられた生き抜く力は、生命の設計図である遺伝子に刻まれ、次の世代、また次の世代へと受け継がれてきた。
その中には感染症に立ち向かい、乗り越えてきた歴史も含まれている。
身体は、約37兆個ともいわれる細胞から成り立っており、その一つ一つの細胞の核に、遺伝子が入っている。
人間は太りやすい体質の人もいれば、食べて太らない人もいる。
病気にかかりにくい人もいれば、かかりやすい人もいる。
どの人も99・9%同じDNAを持っている。
謎を解く鍵は、DNAの遺伝子以外の部分、遺伝子に働きかけるスイッチのような働きがある。
そのスイッチがオンになるか、オフになるかによって、遺伝子の働きが変わる。
簡単に言うと、食べても太らない人は、脂肪を燃焼するスイッチがオンになっている。
病気にかかりにくい人は、免疫を高めるスイッチがオンになっていることだ。
その上で、遺伝子配列によって先天的にオンになりやすい人、オフになりにくい人がいる。
スイッチのオン・オフに関わっているのは、さまざまなストレスである。
精神的なストレスのほか、温度の変化や紫外線といった物理学的ストレス、置かれた環境や水分、化学的ストレス、細菌やウイルスの侵入によって引き起こされる生物的ストレスがある。
だが、必ずしも全てのスイッチをオンにすれば良いわけではない。
身体に良い働きをする遺伝子もあれば、逆に悪影響を与える遺伝子もあるからだ。
しかし、たとえ悪い働きをする遺伝子であっても、生命活動には必須だ。
例えば、がんを引き起こす遺伝子も、本来、細胞の分裂や増殖の制御に関わるタンパク質を作っている。
また、良い働きをする遺伝子でも、それが強まり過ぎると、逆に身体に害を及ばすこともある。
大事なことは、オンとオフを適度に働かせることになのだ。
私たち自身の行動が鍵を握っている。
健康維持に適度な運動・睡眠・食事が重要と言われるが、バランスの良い生活習慣によって、遺伝子のスイッチも適度に保たれていると考えられている。
また、個人的には、心の持ち方も大切であると考えられている。
「病気は気から」と言われるが、私たちの心と身体は密接な関係にあり、精神的に弱っていると、病気にかかりかすく、逆に心が喜びに満たされていると、身体に元気がみなぎり、病気にもかかりにくくなる。
興味深いのは、ハーバード大学の研究で、<祈りという行為>によって、2200以上の遺伝子スイッチが働くことが解明されたことだ。


生命力が強くなる本

2021年04月06日 10時25分38秒 | 社会・文化・政治・経済

森田 修平 (著)

内容(「MARC」データベースより)

生きることをより充実させるには、人に備わった潜在的な「生命力」を強めていくことが不可欠。横浜日赤病院で外科医として26年間、おもにガンの手術を手がけた著者がその経験をもとに語る「生命力を高める」方法。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

森田/修平
1936年栃木県に生まれる。1968年横浜市立大学大学院修了。医学博士取得。1968年5月横浜赤十字病院に勤務。1974年外科部長。1993年12月退職。1994年診療所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 
 
とんでもない出来事が自分の身に起こったとき
ただただそれを受け止めるだけでなく
明るい未来を目指して生きていける方法がこの本の中にあります。
癌を告知されたら、経験のない私でさえも「えっどうしよう」と
家族は仕事はそしてこれから。。。とうろたえてしまうでしょう。
そうだけれど、しっかりそこから歩きださなければ負けてしまいます。
明るく元気で生きることの意欲を自分で作りだす方法が
具体的にかかれている本です。
癌を告知され手術を待つ友人といっしょに読みました。
大きな問題に直面している方へのプレゼントとしても良いと思います。
 
 
 
 

 


人類進化の700万年 

2021年04月06日 10時19分36秒 | 社会・文化・政治・経済

 三井 誠  (著)

知能に勝るクロマニョン人が作った石器と同じくらい工夫を凝らした石器(石刃)が、ネアンデルタール人の3万数千年前の化石とともに見つかっている。ネアンデルタール人も巧妙な石器を作っていたらしい。ネアンデルタール人は約20万年前に誕生してから、このころまで原始的な石器を作り続けてきた。そんな彼らが急に自らの力で進歩的な石器を作り出したとは考えにくい――<本書より>


ネアンデルタール人とクロマニョン人
4万~3万年前のヨーロッパ。ネアンデルタール人と現生人類のクロマニョン人が共存していたらしい。両者の交流を示唆する痕跡が、フランスなどに残されていた。(中略)知能に勝るクロマニョン人が作った石器と同じくらい工夫を凝らした石器(石刃)が、ネアンデルタール人の3万数千年前の化石とともに見つかっている。ネアンデルタール人も巧妙な石器を作っていたらしい。ネアンデルタール人は約20万年前に誕生してから、このころまで原始的な石器を作り続けてきた。そんな彼らが急に自らの力で進歩的な石器を作り出したとは考えにくい。「ネアンデルタール人が、クロマニョン人に教えてもらったのか、まねをしたのか」と考えられている。彼らが交流していた可能性があるということだ。(中略)想像は膨らむが、少なくともネアンデルタール人とクロマニョン人が混血して現代にネアンデルタール人の遺伝子が残っている可能性は低いようだ。――<本書より>

内容(「BOOK」データベースより)
四万~三万年前のヨーロッパ。ネアンデルタール人と現生人類のクロマニョン人が共存していたらしい。両者の交流を示唆する痕跡が、フランスなどに残されていた。知能に勝るクロマニョン人が作った石器と同じくらい工夫を凝らした石器(石刃)が、ネアンデルタール人の三万数千年前の化石とともに見つかっている。最新の研究で明らかになってきた私たちのルーツの新常識。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
三井/誠
1971年、北海道小樽市生まれ。京都大学理学部卒業。読売新聞社に入社後、金沢支局を経て東京本社科学部。生命科学、古生物学、環境問題などを担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

学者の書いた本ではなく学者並みに研究した記者の書いた本のようですが素朴な感想が随所に入りまさに啓蒙書。一緒に勉強し研究している感が大変し相当な面白さです。かなり専門的な本であるとは思いますが、大変親しみやすく相当な知見が得られるものと期待しています。
  とにかく今は人類学に興味が移りほかの本は読めないです。歴史書といっても高々2000年かせいぜい何百年か位のもの。恐竜は一億年たっても知的生物にはならなかった。ホモ属は何ゆえ知的能力を獲得したのか。直立歩行を始めてからも石器を作り始めるのに500万年を必要としたそうですが興味は尽きません。

 

歴史ではなく人類学の本、人類が生まれてどんな進化を遂げてきたのかということや
個人的に知りたかった食生活の変遷が学べるので大満足です。

歴史に興味がある
歴史を勉強したい
どこから勉強したらいいかわからない
という人はオススメです。とっつきやすくまず知識や好奇心をいれるスイッチに最適な1冊です。
ありがとうございます。

 

人類進化に興味のある方はまずはこちらから
よくまとまっており分かりやすい。

これから他の本を読んでいく上で、基礎知識としてこちらの本をおすすめします。

 

人類とは何だろうかと考えさせられる。
とても面白かった。
別のも読みたい

 

科学ジャーナリストが、専門外の人類史を紹介するという形式
で、人類進化を説明する様々な学説を、仮説の不確定さを含め、
判り易く提示してくれる。
そのあり方は、とても潔いと感じた。

内容は、様々な人類種を見事に整理してくれるので、頭の中が
スッキリした。
また、日本列島人の起源や、年代測定法、遺伝子についても
それぞれ一章が割かれ、詳しく説明される。
この辺りに、科学ジャーナリストとしての強みが出ている。

この本が、今後の私の基本図書になることは間違いない。

ところで、本文の記述で、エレイン・モーガンのアクア説は、
専門家の評判が極めて悪いことを知った。
かつて、「人は海辺で進化した」を愛読したものとして、
仮説は知的刺激優先という持論からも、これからもアクア説を支持
し続ける。

 

「人類は3属17種。人類は400万年前に誕生した。」と今まで教えられてきただけに、タイトルにある、「700万年」に惹かれて一気に読んでしまった。サヘラントロプスなどの初期3属が最近、人類の仲間に入って来たからだ。だから人類は6属って訳だ。しかし、副題にも有るように、今後更に書き換えられる可能性もあるとの事。決して確定した訳ではないのだ。初期3属を仲間に入れるに当たって、やっぱり「犬歯の縮小」がポイントになったのだそうだ。何だかんだ言っても、チンパンジーと人類を分けるのは、「直立二足歩行」と「犬歯の縮小」なのだ。

人類の進化における3つの大革新。筆者はこれを「ホップ・ステップ・ジャンプ」と表現している。猿人の段階での直立二足歩行が、そのホップである。ステップは、原人の段階での脳の大型化と石器の使用である。三段階目は、我々現生人類の登場である。ダラダラとスロープ状にではなく階段状に劇的に進化した訳だ。

各段階のスター達も面白い。一段階目のスターは、320万年前の猿人アウストラロピテクスの「ルーシー」である。ニ段階目のスターは、160万年前の直立原人の「ボーイ」である。三段階目のスターは20万年前の「ミトコンドリア・イヴ」である。「ルーシー」と「ボーイ」はちゃんとした化石であるが「イヴ」は化石ではない。そう、90年代のミトコンドリアの遺伝子解析の成果としての仮説である。ミトコンドリアは、本体の核とは別の遺伝子を持っており、しかもご存知のように母系遺伝である。現在、地球上に暮らす60億人以上の現生人類の共通の祖先は20万年前アフリカにいた、たった一人の女性に行き着くと。それがビッグ・マザー「ミトコンドリア・イヴ」である。その後イヴの子孫たちが「出アフリカ」を果たすのは、今から7〜5万年前の事だったと言われている。著者が研究者ではなく、新聞記者(読売)さんなので、専門的学術的な内容を期待する向きには少々物足りないかも知れないが、我々素人にはむしろ読み易いかも。星四つでございます。

PS
ラミダス猿人「アルディ」(440万年前)が、昨年有名な米国科学誌「サイエンス」で発表されました。全身に近い人類骨格を15年かけて複元でございます。また一人スターが加わりましたな。

 

 

 

 


地球を襲った5回の「大量絶滅」と人類の未来への警告

2021年04月06日 10時10分03秒 | 社会・文化・政治・経済

2019/05/26 09:00 forbesjapan

地球の歴史が始まって以来、誕生した生物の99%が絶滅している。生命の歴史において絶滅は不可避であり、種の絶滅は常に起きている。ある種が絶滅して空いた穴は自然淘汰によって、生き残った生物や新たに誕生した生物が埋める。

一方で大量絶滅が起こった場合には、短期間に生物の多様性を大きく損なう規模の絶滅が起こり、新たに誕生する生物によってもその穴を埋めることができない。そういった大量絶滅は地質に残されている。

古生物学者らはこれまでに起きた5回の大量絶滅を特定している。4億4300万年前のオルドビス紀の終わり頃、推定86%の海洋生物が地球上から姿を消した。3億6000万年前のデボン紀の終わりには全生物の75%が絶滅した。2億5000万年前のペルム紀の終わりには史上最大の絶滅が起き、生物の96%が消えた。

2億100万年前の三畳紀の終わりには全生物の80%が姿を消した。最も有名な大量絶滅は6500万年前の白亜紀の終わりに発生した。このときは恐竜やアンモナイトを含む76%の生物が死に絶えた。他にも1万年前の、更新世の氷河期の終わりに起きたメガファウナ(巨大動物)の絶滅などもある。

大量絶滅の原因については、火山の噴火や隕石の衝突、気候変動などの天災が指摘されている。恐竜が消えた大量絶滅の原因として最も可能性が高いのは巨大隕石の衝突で、地球規模で生態系に影響を与えた。

氷河期の終わりに起きた大型哺乳類の絶滅の原因としては、気候変動に加えて人類による狩猟採の影響もあるかもしれない。

過去400年で数多くの哺乳類や鳥類、両生類、爬虫類が絶滅した。2011年にネイチャーで発表された論文では、現在の生物の絶滅率と、地質学的に平穏な時期と大量絶滅が起きた時期の率が比較された。その結果、現在の生物の絶滅率が過去よりも高く、大量絶滅に向かっていると結論づけられた。

人間の活動が地球規模で環境に影響を及ぼし、その悪影響は加速しているのだ。

国連が主催する政府間組織「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」は5月6日、人間の活動によって100万種の動植物が絶滅の危機に瀕しているというレポートを公開した。

報告によると、現在知られている種の4分の1が絶滅の危機に瀕している。両生類が最も危険にさらされており、調査対象の種の40%が絶滅しかけている。続いて針葉樹が34%、サンゴ礁が33%、サメやエイなどの軟骨魚類が31%、哺乳類が25%、そして鳥類が14%だった。

無脊椎動物では調査対象となった甲殻類の27%が絶滅の危機に瀕している。昆虫の数が激減していることも、最近の調査から分かっている。

編集=上田裕資


過去の大量絶滅は5回でなく6回、研究者が提唱

2021年04月06日 10時08分08秒 | 社会・文化・政治・経済

グアダルピアン世末の絶滅は、生態系を一変させる「大量絶滅」だった
2019.12.21
 

中国四川省の峨眉山の山頂にある寺院。周囲にはペルム紀グアダルピアン世の区切りとなる峨眉山トラップと呼ばれる溶岩の地形が広がっている。(PHOTOGRAPH BY DBIMAGES, ALAMY STOCK PHOTO)
[画像のクリックで拡大表示]
 現代の生物多様性の危機は、しばしば「第6の大量絶滅」と呼ばれる。だが、これからは第7の大量絶滅と呼ぶべきかもしれない。過去にもう一つ大量絶滅があったとする研究成果が発表された。(参考記事:「6度目の大絶滅。人類は生き延びられるか?」)

 従来、大規模な大量絶滅は過去に5度あったと考えられてきた。1982年に米シカゴ大学の古生物学者ジャック・セプコスキー氏とデビッド・ラウプ氏が提唱した、いわゆる「ビッグ・ファイブ」だ。なかでも最大だったのが、約2億5200万年前のペルム紀末に起きた大量絶滅で、海洋生物の95%が絶滅したとされる。

 ペルム紀末の大量絶滅は、そのわずか800万年前のペルム紀グアダルピアン世の終わりに起きた絶滅事件を見えにくくしていた。しかし、ここ30年の間にグアダルピアン世末の調査が進み、ペルム紀末の大量絶滅とは独立した絶滅であることがわかってきた。そして今、グアダルピアン世末の絶滅は他の大量絶滅に匹敵するものであり、これらを合わせて「ビッグ・シックス」と呼ぶべきだと、一部の研究者は主張している。


 生命の歴史の中では多くの絶滅事件が起きている。なかでも規模の大きいものを調べることで、地質学者たちは絶滅のパターンや、共通の原因を明らかにしつつある。集まってきた証拠は、地球規模の絶滅の多くが海洋酸素濃度の低下と関連していることを示唆している。グアダルピアン世末の絶滅にも同じ傾向が見られるほか、現在の気候変動との関連も心配されている。(参考記事:「過去の「大量絶滅」と現在の空恐ろしい類似点」)

「5という数字にこだわるのは問題です」と、海洋古生態学者で米バージニア工科大学古生物学名誉教授であるリチャード・バンバック氏は言う。バンバック氏は、セプコスキー氏とラウプ氏の論文の査読をした人物だ。パーセンテージで見ると、ペルム紀末の大量絶滅は大半の生物を死滅させた。しかし彼によると、グアダルピアン世末の絶滅は、生物多様性を大きく損なった。

「生の数値データで言えば、グアダルピアン世末の絶滅で失われた分類群の数は、ペルム紀末の絶滅で失われた数よりも多かったのです」と、バンバック氏は語る。

溶岩の洪水が起きた地形

 中国南西部に峨眉山(がびさん)トラップと呼ばれる地形がある。2億6000万年前のグアダルピアン世末に海底火山が噴火し、その溶岩が100万平方キロにわたって広がった名残である。この噴火で発生した大量のメタンと二酸化炭素は気候変動を引き起こし、海洋生物の60%が絶滅した。絶滅した生物の大半が、超大陸パンゲア周辺の熱帯の浅い海に生息していたものだった。

 峨眉山トラップのような溶岩が広がってできた地形「洪水玄武岩」は世界各地にあり、5つの大量絶滅と関連づけられている。米ニューヨーク大学の地質学者マイケル・ランピーノ氏は、「1対1の関係があります」と言う。(参考記事:「世界最大の火山が覆る、日本東方沖の「タム山塊」」)

 しかし、研究者は昔から大量絶滅を洪水玄武岩と関連付けていたわけではない。1980年代に非鳥類型恐竜は小惑星の衝突により絶滅したとする仮説が発表されて以来、ランピーノ氏をはじめとする地質学者たちは、その他の大量絶滅を説明するために小惑星衝突の証拠を探し回った。しかし、成果は得られなかった。

「ナショナル ジオグラフィック日本版サイト」

 

 

 


「現在は6度目の大量絶滅期」 英誌に衝撃の論文…環境破壊で「第4次」酷似

2021年04月06日 09時47分42秒 | 社会・文化・政治・経済

2015.8.22 16:00 産経新聞

「現在は6度目の大量絶滅期」 英誌に衝撃の論文…環境破壊で「第4次」酷似

米シカゴの博物館に展示されているティラノサウルスの骨の化石のホコリを落とす係員。かつての恐竜のように、人類にも絶滅の危機が…(ロイター)
 地球では過去5億年の間に、恐竜など生物種の大量絶滅期が5度到来したが、現在は6度目の大量絶滅期を迎え、人類を含む全ての種が危機にさらされている-。こんな衝撃的な研究論文が11日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。人類の活動による自然環境の破壊が進む現在の地球の状況は、過去の大量絶滅の原因となった気候の激変と類似していると分析。「生物は急激に変化する状況への適応が間に合わず、絶滅する」とし、種の頂点に立つ人類も例外ではないと警鐘を鳴らしている。(SANKEI EXPRESS)

直近は6600万年前

 「自然環境における大規模かつ急速な混乱は間違いなく人類にネガティブな影響を与える」。論文の主筆者である英リーズ大学のアレキサンダー・ダンヒル教授はこう指摘し、地球温暖化に象徴される気候変動に危機感をあらわにした。

 米科学系ニュースサイト、サイエンス・デイリーやAFP通信などによると、最初の大量絶滅期は、約4億4400万年前のオルドビス紀末に訪れ、三葉虫やサンゴ類など全生物種の85%が絶滅。2度目は約3億7400万年前のデボン紀後期で、海洋生物を中心に全生物の82%が滅んだ。3度目が約2億5100万年前のペルム紀末で、絶滅率は90%に達した。

4度目は約2億年前の三畳紀末で、絶滅率は80%。そして、直近の絶滅期は約6600万年前の白亜紀末に起きた。1億5000万年の間、地球に君臨した恐竜が滅んだもので、小惑星の衝突が原因とされる。絶滅率は70%で比較的短期間に進行した。

 ダンヒル教授らは、例外的な5度目ではなく4度目の大量絶滅期に注目。三畳紀末からジュラ紀にかけて陸上に生息していたとされる恐竜を含む脊椎動物の化石の記録を詳細に調べた。

 この時の大量絶滅は、大陸的規模の火山の噴火が原因とされているが、噴火当初は火山に近い場所の生物が大きな影響を受け、地理的な優位性が認められた。しかし、やがて地理的な差異はなくなり、遠く離れた場所に生息する生物も含め最終的には約80%の種が絶滅したことが分かったという。

噴火でCO2など大量放出

 噴火によって二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが大量に放出され、現在の地球と類似した温暖化が進行したことが原因としている。

「現在は6度目の大量絶滅期」 英誌に衝撃の論文…環境破壊で「第4次」酷似

米シカゴの博物館に展示されているティラノサウルスの骨の化石のホコリを落とす係員。かつての恐竜のように、人類にも絶滅の危機が…(ロイター)
 こうしたことから、大量絶滅期には、量的に他を圧倒し最も影響力を持つ「優占種」であっても、特定の場所に生息する弱小種と同じように、環境変化の影響を大きく受けると、結論づけた。

 その上で、ダンヒル教授は「われわれは人類の活動によって4度目の大量絶滅期と同じ状況を猛スピードで作り出している」と指摘。「世界の人口のほとんどは依然、食料や水、エネルギーを得るために自然界に大きく依存している」として、種の頂点に立つ人類も環境変化の影響を免れないと強調した。

 「現在迎えている生物多様性の危機は人類の活動の結果である可能性が高い。自然環境の破壊や自然からの搾取が、新たな大量絶滅の主な原因になっている」

 ダンヒル教授は、人類自らが絶滅の危機を招いていると警告した。恐竜たちとは違い、その行動を改められるのが人類の救いでもある。


新型コロナウイルスに我々はどう対峙したらいいのか(No.2)

2021年04月06日 05時52分21秒 | 医科・歯科・介護

新たな段階に入っている新型コロナウイルスと人類の戦い

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医学系研究科 微生物学分野

押谷 仁 教授

日本ではこの1週間新型コロナウイルスの話題はクルーズ船の話でもちきりだった印象がある。ウイルスは「見えない」存在である。今回のコロナウイルスも直径100-200ナノメートルという小さな粒子であり、肉眼ではもちろん普通の光学顕微鏡でも見ることができず、ウイルス粒子を見るためには電子顕微鏡が必要である。

今回の新型コロナウイルスはウイルス粒子が見えないということと同時に、このウイルスの拡がりが見えないという特徴があり、そのことがこのウイルスとの戦いを難しいものにしている。

 クルーズ船の乗客から重症者が発生したということが今日厚生労働省から発表された。クルーズ船の乗客では高齢者が多かったこと、SARSでも発症後1週間ぐらいで急激に症状の悪化する例が多かったことを考えても十分に起こることが想定されていた事態である。

 クルーズ船の流行はいろいろな偶然が重なりたまたま、ウイルスの拡がりを見ることができたものと考えるべきである。そこから見えてきていることはやはりこのウイルスは相当程度ヒトからヒトへの感染力が高いという事実である。

武漢では、流行が始まったとされているマーケットの周辺で「見えていた」流行を追いかけているうちに、その陰で「見えない」感染拡大が急速に進んで手の付けられない状態になっていたと考えられる。

 シンガポールでは現在、感染連鎖を可視化しようとして全力を挙げて取り組んでいて、地域内での流行の実態が少しずつわかってきている。これは2003年のSARSの流行の後、このような事態に対応できる体制を整備してきたからこそできていることである。

シンガポールではほとんどすべての病院でこのウイルスの検査をする体制が整備されていて1日2000検体以上を検査することが可能である。日本においても検査体制は急速に整備されていくと考えられるが、現時点では日本には感染連鎖を可視化するすべは限られている。

そのような中でどうしたら最も効率よく感染連鎖を可視化できるのを考えないといけない。

 たまたま「見えた」クルーズ船の流行にのみに目を奪われて、全体像を見失ってはいけない。むしろ、クルーズ船の流行は日本国内でもシンガポールと同様に地域内での感染連鎖が進行している可能性を強く示唆するものであり、地域内の流行が起きるという前提で、それぞれの地域で医療体制を考えるなどの準備をすることが必要である。武漢の失敗の教訓を我々は学ばないといけない。

 我々は今、非常に厄介なウイルスを相手に戦っている。「過度に恐れずにインフルエンザと同じような対応を」というメッセージを伝えるだけでこのウイルスにたち向かうことができるとは私は考えていない。

そもそも、このウイルスは明らかに季節性インフルエンザと同じではない。日本でも、毎年高齢者を中心に多くの人が季節性インフルエンザで亡くなっている。

しかしその死亡のほとんどはインフルエンザ感染の後に起こる細菌性肺炎やインフルエンザ感染をきっかけに寝たきりの高齢者などが心筋梗塞など別の原因で亡くなるインフルエンザ関連死と呼ばれる死亡を含んだものである。このため、インフルエンザは高齢者の最後の命の灯を消す病気と言われている。

 しかし、この新型コロナウイルスはまったく違う。重症化する人の割合は低いが、重症化した人ではウイルスそのものが肺の中で増えるウイルス性肺炎を起こす。

重症のウイルス性肺炎は治療が困難で、日本でも救命できない例が出てくる可能性は十分に考えられる。寝たきりの高齢者などにとってもこのウイルスはもちろん危険なウイルスであるが、中国では50-60代の人も多く亡くなっており、30-40代の人の死亡も報告されている。

多くの人にとっては、季節性インフルエンザと同じ程度の病気しか起こさないウイルスだからといって、決して侮ってはいけないウイルスである。

 このウイルスは、急速な勢いで世界に拡がっている。このウイルスとのここまでの戦いは人類の側の完敗に終わっている。そのウイルスの拡散するスピードに人類はまったく追いつけておらず、すべての対応が後手に回っている。

それは中国だけではなく日本やWHOを含めたすべての国際社会がそのスピードについていけていない。しかし、このウイルスに我々の想像を超えるようなスピードを与えたのは人類なのだということも忘れてはいけない。

 同じようなウイルスが50年前に出現しても中国の一つの地域で謎の肺炎で多くの人が亡くなったという程度のもので終わったはずである。SARSの起きた2003年とも我々はまったく違う時代を生きている。

SARSは広東省の広州で最初の感染拡大が起きて、ウイルスが香港を経由して世界に拡散することで世界的な流行となった。SARSは幸いにして日本で流行を起こすことはなかったが、今は広州と日本の間に毎日多く直行便が飛んでいる。

今、広州で同じことが起きたら日本は真っ先に流行を起こす国になっている可能性は高い。このウイルスを世界中に運んでいるのは動物ではなく、人である。中国国内、さらに中国と日本を含む多くの国との人の行き来が急速に増大したことがこのウイルスに人類に制御できないようなスピードを与えてしまったことは明らかである。

 新型コロナウイルスの流行は収束に向かっているのではないかという楽観論が広がっている。このような大規模な流行が同じ地域で1年以上にわたって続くことはあり得ないので、当然どこかの時点で流行は収束に向かっていく。

武漢での流行がすでにピークを迎えているかの判断は慎重にすべきだが、おそらく武漢の流行は遠くない時期に収束に向かっていくことになると考えられる。しかし武漢での流行が収束に向かうことがこのウイルスとの戦いの終わりを意味しない。

中国各都市は武漢から少なくても2-3週間遅れて流行が始まっているので、他の都市での流行がどう推移するのかは慎重に見極める必要がある。しかし、少なくても現時点で初期の武漢のような状態になっている場所はおそらくないというのはいい徴候だと考えられる。

 しかし、もはや中国の疫学状況と日本の国内の状況は必ずしもリンクしない。今、我々が最も懸念しないといけないのは渡航者からの感染連鎖がすでに国内で成立している可能性である。

国内で成立しているかもしれない感染連鎖は、当然中国の疫学状況にまったく影響をうけない。我々はまだ国内の流行の始まりさえ検知できていないのである。楽観的な情報に流されて安心できる状況には到底ない。

 もし中国政府の取っている対策のいくつかが有効で武漢のような状況になることを防げているのだとすると、その情報は日本にも、世界にとっても非常に重要である。何が有効で何が有効でなかったのかという中国での教訓を生かすことが次の段階のこのウイルスとの戦いには絶対に必要である。

2003年のSARSの流行の際、中国は少なくても2003年2月上旬までにSARSコロナウイルスに対処する方法がわかっていたはずである。実際に2月中旬以降、広州の流行は収束方向に向かっていた。

その情報を国際社会と共有しなかったことで国際的な流行につながったのではないかということで、中国は国際社会から強く非難された。中国はその轍を踏んではならない。

 SARSはヒトからヒトへの感染連鎖をすべて断ち切ることができ、グローバルな封じ込めに成功することができた。しかし、このウイルスについては中国で流行が収束傾向に向かうとしても、これだけ広範に広がってしまい、かつ感染連鎖の非常に見えにくいこのウイルスの感染連鎖があと半年ですべて断ち切れるとは考えられない。

当初の最悪のシナリオは世界のすべての場所が武漢のような状況になってインフルエンザパンデミックのような状況になることだったが、その可能性はかなり低くなっている。日本で武漢のような非常に大規模な流行が起こることも考えにくくなっている。

しかし、医療や公衆衛生体制が脆弱な国の都市が「第2の武漢」になってしまう危険性は残っている。そういった新たな感染源ができてしまうと、そこを起点としてまた世界中にウイルスが拡散していくことになる。

東南アジアやアフリカなどの国の都市が「第2の武漢」になる可能性は残っている。国際社会が協力して「第2の武漢」が出現することを阻止していく必要がある。

 このウイルスとの戦いの第1ラウンドは人類の完敗だったが、流行は新たな局面に入り、人類は急速にこのウイルスに対抗するすべを見つけつつある。その意味でも、「過度に恐れずインフルエンザと同じ対応」をしていれば十分というような感染症ではないと私は考えている。

インフルエンザに対してはワクチンや抗インフルエンザ薬、さらには迅速診断キットというツールがあるが、このウイルスには現時点ではそういったツールはない。我々がこのウイルスに対抗するために持っているツールは限られている。

現時点では、残念ながらすべての感染連鎖を可視化することはできず、日本で「見えない」感染連鎖が進行している蓋然性も相当程度高くなっている。しかし、我々が持っている限られたツールを駆使して「見えない」感染連鎖の一部を可視化できる可能性は出てきている。

抗ウイルス薬やワクチンについても希望の光が見えてきている。このウイルスに対抗できるツールを最大限生かして、このウイルスとの第2ラウンドを戦っていく必要があると私は考えている。
 

 

 


新型コロナ 急がれる医薬品開発-抗ウイルス薬やワクチンが、なかなかできないのはなぜ?

2021年04月06日 05時47分07秒 | 医科・歯科・介護

2020年03月13日

ニッセイ基礎研究所 保険研究部 主席研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任   篠原 拓也

新型コロナウイルス 医療保険制度 などの記事に関心のあるあなたへ

新型コロナウイルスの感染拡大が、世界中で進んでいる。3月12日現在、世界全体で感染者は12万5048人、死亡者は4613人。日本では、感染者は1316人、死亡者は22人(横浜港に停留したクルーズ船、中国からのチャーター機を含む)に達している。[世界保健機関(WHO)‘Situation Report–52’(2020.3.12)より]  WHOは、3月11日、新型コロナウイルスを、「パンデミック(世界的な大流行)」と表明した。

今回の感染症は、致死率はそれほど高くないといわれている。しかし、感染防止のためのワクチンや、患者に投与する抗ウイルス薬はまだできておらず、感染拡大を抑制できない状態が続いている。

すでに国内・海外の多くの医薬品メーカーが、ワクチンや抗ウイルス薬の開発に精力的に取り組んでいるが、医薬品が世の中に出てくるまでには、相当な時間がかかるとみられている。

感染症に限らず、がんや認知症などさまざまな病気に対して、医薬品メーカーは、日々新薬開発の努力を重ねている。しかし、その開発には多くの困難が伴い、簡単には実用化に至らない。本稿では、その理由について見ていくこととしたい。
新薬開発にかかる多くの時間と費用

一般的に、1つの新薬の開発には9~17年の時間を要し、300億円以上もの費用が必要となる。新薬開発は、創薬、前臨床試験、臨床試験、審査を経て、薬事承認された後に薬価収載を経て販売に至る。販売して実用化された後は、患者への投与のモニタリングが行われる。

新薬開発は、多くの化合物の候補をふるいにかけていく作業といえる。そのために、医薬品候補となる化合物の種類をどれだけ持っているかが、医薬品メーカーの基礎体力となる。典型的には、創薬段階で、医薬品候補となる3万もの化合物から、前臨床試験までに250程度にまで絞られ、臨床試験に入るのは5つ程度となる。

この5つ程度の候補について、フェーズI~IIIの臨床試験を通じて、有効性や副作用の有無などをテストする。

まずフェーズIは、少人数の健康な人に投与して、副作用となる毒性の有無や程度を調べる。ここで特に問題がなければ、フェーズIIに進み、少人数の患者に投与して、治療効果や安全性を確認する。あわせて、薬効の様子や適応症の検討、用量の設定なども行われる。

これをパスすると、最後のフェーズIIIに進み、多数の患者に投与して、有効性や安全性について確認する。確認にあたって、医薬品候補と色、形などは同じだが薬効のない偽薬(プラセボ)を用いて、薬を投与された患者の心理的効果が有効性に影響しないよう、慎重にテストする。

このフェーズIIIは、数千人規模の患者を対象とする本格的な臨床試験となることもあり、ここで研究開発費の約半分が費やされるといわれる。もしフェーズIIIを実施した後に、テストをパスした化合物が1つも残らなければ開発中止となり、新薬メーカーにとって巨額の費用損失となる。また、希少な病気に対する新薬開発では、臨床試験に必要な患者をどのように確保するかが大きな課題となる。
新薬開発の過程および期間
SARSも MERSも抗ウイルス薬は開発されていない

感染症の場合も、一般の病気と同じような新薬開発の難しさがある。

感染症には、感染原因が細菌や寄生虫のような生物の場合もあれば、ウイルスのような非生物の場合もある。細菌や寄生虫は、細胞分裂による自己複製が可能で、栄養があるなどの条件が整えば増殖することが可能であり、その点から生物といえる。一方、ウイルスは自己複製できず、なんらかの細胞にとりついて増殖するしかない。このため、非生物ということになる。

ウイルスの場合、生物でないことが新薬開発をいっそう困難なものとしている。

たとえば、細菌であれば、たいていは細胞壁をもっているので、その合成を阻害する作用を持たせることが医薬品開発の足掛かりとなる。一方、ウイルスの場合、DNAまたはRNAを囲むタンパク殻はあるが、細胞壁のようなものはなく、ウイルス全般に効果がある汎用的なアプローチは考えにくいといわれる。

また、細菌は生存するための機構を一通り持っており、その増殖を止めるターゲットがいくつも考えられる。しかし、ウイルスの場合、みずから作るタンパク質が少なく、医薬品としての狙いどころが限られているともいわれる。

このため、これまでに、抗ウイルス薬は、HIV、インフルエンザ、B型・C型の肝炎など、限られた感染症に対するものしか開発されていない。今回と同様、コロナウイルスを原因とするSARS(重症急性呼吸器症候群/2002年に流行開始し、翌2003年に感染拡大ののち終息) や、MERS(中東呼吸器症候群/2012年に開始し、現在も中東地域で流行中) に対する抗ウイルス薬は、開発されていない。したがって、当面は、解熱や、筋肉痛の痛み止めなど、薬剤による対症療法が治療の中心となる。
抗HIV薬などを転用する臨床試験が本格化するが…

以上の通り、新型コロナウイルスの抗ウイルス薬を一から作るのは難しい。そこで、すでにある医薬品を、このウイルスの医薬品として転用できないか、という検討が進められている。既存薬から別の病気の薬効を見つけ出す手法は、「ドラッグ・リポジショニング」と呼ばれており、新薬開発でよく見られるものだ。

たとえば、解熱薬や頭痛薬として知られている「アスピリン」は、血液をさらさらにする作用を持っており、これを生かして、脳梗塞や心筋梗塞などの治療に用いられている。ほかにも、血管を拡張する作用を持つ狭心症の治療薬が、男性のED治療に転用されて、「バイアグラ」として実用化された例が有名だ。

今回の感染拡大では、すでに中国で、抗HIV薬やインフルエンザ薬を患者に投与する臨床試験が始まっている。

日本でも国立国際医療研究センターで試験的に抗HIV薬を患者に投与したところ、症状が良くなったとされている。集団感染が発生して横浜港に停留していたクルーズ船でも、患者の治療に抗HIV薬が用いられたという。厚生労働省は、肺炎患者に対して、抗HIV薬、新型インフルエンザ薬(いずれも国内承認薬)、エボラ出血熱治療薬(国内未承認薬)の3つを投与すると明らかにしている。今後は、その臨床試験が本格的に始められる予定だ。

さらに、医薬品メーカーの中には、新型コロナから回復した患者の血液に含まれる抗体を活用した新薬開発に取り組む動きも出てきている。これは、「血漿(けっしょう)分画製剤」と呼ばれる医薬品だ。臨床試験を早期に開始して、9ヵ月から18ヵ月程度で終える計画、と報道されている。

ただし、こうして作られた医薬品の効果を見極めることは簡単ではない。仮に医薬品を投与された患者の病状が軽快したとしても、それが医薬品によるものなのか、それとも医薬品とは別に安静に療養していたことで快方に向かったものなのか、よくわからないためだ。このため、臨床試験の結果は、効果と副作用の有無について、慎重に判断していく必要があるものとみられる。
ワクチンの開発も容易ではない

ウイルス性の感染症では、予防のためにワクチンを接種することが有効となる。かつて蔓延した、はしか、水痘、おたふくかぜ、ジフテリア、ポリオ、破傷風などの病気は、ワクチンの予防接種が浸透して9割を超える人が免疫をもつようになっている。

ワクチンには、はしかのように予防接種で免疫を獲得すれば二度とかからないようにできるものもあるが、インフルエンザのように予防接種をしても感染してしまうものもある。ただ、その場合でも、感染後にあまり重症化しないで済むといった効果が期待できるため、ワクチンとしての有効性はある。

ワクチンのタイプとして、生きた原因微生物を発症しない程度に弱毒化したうえで使用する「生ワクチン」と、微生物の全体または一部を感染しないように無毒化して免疫を獲得する「不活化ワクチン」がある。

生ワクチンは、弱毒化したとはいってもわずかに発症のリスクが残るため、免疫不全者や妊婦には使用できない。はしか、水痘、おたふくかぜなどに対しては、生ワクチンが用いられる。

一方、不活化ワクチンは、発症のリスクはなく免疫不全者や妊婦にも使用できるが、獲得できる免疫が限られていて、その持続期間も生ワクチンに比べて短い。ジフテリア、ポリオ、破傷風などに対しては、不活化ワクチンが用いられる。

どちらのワクチンにしても、発症のリスクを減らす、もしくは無くす一方で、免疫を獲得できることが求められる。ワクチンの開発では、新薬と同様に、ワクチン候補について臨床試験で有効性と安全性を確認することが必要となる。

政府は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、海外の研究機関等とも連携して、ワクチン開発を進めることを表明している。しかし、ワクチンの専門家からは、ワクチン候補ができても、臨床試験を実施して有効性と安全性を確かめて、国の承認を得て実用化するまでには、何年もかかるとの声もあがっている。

このように、ワクチン開発も、抗ウイルス薬と同様、簡単には進まない見通しだ。実際に、SARSやMERSに対してもワクチンは開発されていない。

医薬品メーカーの担当者によると、SARSの場合は、ワクチン候補の臨床試験が可能になる前に、SARSの感染自体が終息してしまったという。また、MERSの場合は、SARSに比べて感染拡大が緩やかだったこともあり、「ワクチン開発に、すぐに多くの時間と資金を費やすのは合理的でない」との声が、複数の研究者からあがっていた模様だ。

さらに、ワクチンの安全性に対する危惧も、開発に時間がかかる理由の1つとなっている。そもそもワクチンは、健康な人が病気を予防するためのものである。もし、ワクチンを打つことで、健康な人が病気になってしまうようなら、大問題となりかねない。そこで、ワクチン開発では、接種によるリスクが、得られる利益よりも圧倒的に小さいことを証明していく必要があるのだ。
抗ウイルス薬やワクチンが開発されるまでは…

現在、多くの医薬品メーカーが、抗ウイルス薬やワクチンの開発に取り組んでいる。

1月末に、国立感染症研究所は、新型コロナウイルスの分離に成功したと発表している。今後は、このウイルスが国内外の研究機関に広く配布され、開発が進められていく見込みとなっている。医薬品の開発が、着実に進められることを期待したい。

それでは、抗ウイルス薬やワクチンが実用化されるまでの間、一般の市民はどうすればよいか。

ありきたりではあるが、帰宅時、食事前、トイレ後の石鹸での手洗い、アルコール消毒を徹底する。人が集まる場所(電車や職場、学校など)では、マスクを付ける等の咳エチケットを励行する。集団感染を防ぐために、換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に、集団で集まることを避ける。─など、日常生活の中で、いますべき感染症対策を粛々ととることだと思われるが、いかがだろうか。


新型コロナウイルスとの戦いの行方は? 

2021年04月06日 05時32分29秒 | 社会・文化・政治・経済

「全人類に感染の恐れがある」と、天然痘の撲滅に貢献した疫学者は言った
「感染症のパンデミックは必ず起きる」と、天然痘の撲滅に貢献した疫学者のラリー・ブリリアントは14年も前に予測していた。
そしていま、彼は人類が新型コロナウイルスとの戦いに勝つことができると断言する。
だが、それにはいくつかの条件がある──。『WIRED』US版エディター・アット・ラージ(編集主幹)のスティーヴン・レヴィが、退避勧告に従って自宅にいるブリリアントに電話インタヴューした。

2020.03.25 wired

 疫学の専門家で医師のラリー・ブリリアントは、自分は未来を映し出す水晶玉をもっているわけではないと言う。
だが、ブリリアントは14年前のTEDトークで、今後起こりうるパンデミック(世界的大流行)がどのようなものになるかを正確に予想していた。
ブリリアントは世界保健機関(WHO)の天然痘根絶プログラムを率いた専門家のひとりだが、彼が描写した未来の情景は想像もできないほど恐ろしかった。ブリリアントは当時、「10億人が感染します」と語っていたのだ。

「犠牲者の数は1億6,500万人に達する可能性があり、世界的な景気後退が起きるでしょう。経済的な損失は1兆〜3兆ドル(110兆〜330兆円)に上り、1億人の死者が出るよりはるかに深刻な事態が押し寄せます。なぜなら、大量の人が失業して医療保険を失い、先がまったく見通せない状況に陥るからです」

彼の予測は、いまや現実に

そしていま、こうしたことが現実に起こりつつある。感染症の拡大阻止を目指す団体Ending Pandemicsの理事を務めるブリリアントは、今回の新型コロナウイルスとの戦いで最前線に立つ人々に専門知識を提供している。幸いなことに、現段階では死者数は1億人からほど遠いレヴェルに抑えられているが、パンデミックが文字通り世界をひっくり返したことに変わりはない。

ブリリアントは「警告しただろう」とは言わないようにしている。だが、彼は実際に警告を発し続けてきた。講演や執筆活動にとどまらず、感染症の拡大がテーマのパニック映画『コンテイジョン』のテクニカルアドヴァイザーにも挑戦したのである。

75歳になったいま、ブリリアントはインフルエンザやポリオ、失明といった問題に取り組んでいる。彼はまた、35年の歴史をもつウェブコミュニティ「WELL」の共同創設者であり、過去にはグーグルの慈善プログラム「Google.org」のディレクターを務めたり、グレイトフル・デッドと旅をしたりしたこともある。

今回のブリリアントとの電話インタヴューは、3月17日に実施された。トランプ大統領が当初の「まったく問題ない」という態度を改め、感染拡大の阻止に向けたあらゆる措置を講じる方向に舵を切ったころだ。ブリリアントは全面的な屋内退避勧告が出されたサンフランシスコ・ベイエリアに住んでいる[編註:のちにカリフォルニア州全体に退避勧告より厳しい外出禁止令が出ている]。

電話インタヴューの直前、ブリリアントは政府関係者と電話で話をしていた。この政府関係者は、「いったい全体なんでこんなことになってしまったんだ」と言っていたという。わたしはどうすれば“ここ”から抜け出せるのかを聞きたかった(なお、以下の会話は編集や要約した部分がある)。

INFORMATION
 
特集・新型コロナウイルスと「世界」の闘い
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、世界をどう変えるのか? いま知っておくべきこと、研究開発のいま、社会や経済への影響など、『WIRED』ならではの切り口から最新情報をお届けする。
78億人の人類全員に感染の恐れがある

──2006年にTEDで話をされたとき、わたしは会場にいたのですが、あのプレゼンテーションのタイトルは「パンデミックを食い止めるのを手伝ってほしい」というものでした。その願いはかなわなかったのでしょうか。

残念ながら、まったくだめでした。ただ、わたしが求めていたシステムは完成し、実際に使われています。以前、『コンテイジョン』という映画の製作にかかわったんですが──。

──この瞬間にもたくさんの人が観ている作品ですね。

あの映画は先見の明があると評価されました。いままさに、科学が正しかったことが証明されているわけです。過去10年か15年間、疫学の研究者たちは常に、いつかこうしたパンデミックが起きると警告し続けてきました。問題は起きるか起きないかではなく、いつ起きるかでした。人々に耳を傾けてもらうことは本当に難しいと思います。

トランプ大統領は2018年に国家安全保障会議(NSC)のティモシー・ジーマー海軍少将を解任しました。パンデミックが起きた場合の対策部門を率いていた人物で、同時に組織再編でこの部署はなくなり、スタッフ全員が辞めさせられたのです。関連する基金も削減されています。

──以前、今回のコロナウイルスは「新型(novel)」であるから深刻だと話されていました。

ノヴェル(novel)といっても、“架空”のウイルスという意味ではありません。小説(novel)のようにフィクションではないんですよ。

──そうだったらよかったんですが……。

新型とは、そのウイルスに免疫のある人間がいないことを意味します。つまり、78億人の人類全員に感染の恐れがあるのです。

──まだ研究段階で詳細は明らかになっていませんが、一度感染して回復すれば免疫がつくのでしょうか。

(新型という言葉とは矛盾するが)このウイルスに特別な目新しさは認められません。回復した人が再感染した事例も報告されていますが、これは検査結果が不正確だった可能性が高いと考えています。ただ今後、数千万人か数億人という規模で感染が広がる過程で、「本当にこんなことが起きるのか」と思うような事態が発生することはあるでしょう。

──これまでご覧になってきたなかでも最悪のケースでしょうか。

近年では最も深刻なパンデミックです。

いま求められている施策

──少なくとも、わたしの人生では経験したことのないような対策がとられています。なるべく外出しない、他人とは6フィート(1.8m)の距離を置く、人が集まるところには行かないといったことです。こうした措置は適切なのでしょうか。

わたしはいま、カリフォルニア州マリン郡の自宅で自主隔離をしています。現在の措置は正しいものです。ただ、感染拡大が明らかになってから最初の12週間、大統領は正しい指示を下していたでしょうか。答えはノーです。

米国民に伝えられていたことは嘘ばかりです。大統領は、これはフェイクニュースだ、民主党のデマだと言っていました。残念ながら、いまでもそれを信じている人もいます。公衆衛生の専門家として言わせてもらうなら、大統領のしたことは、選挙で選ばれた公的立場にある人間の行為としては、わたしがこれまで見てきたなかで最も無責任なものだったと思っています。

ただ、現在の対応(隔離、学校の一時閉鎖、イヴェント中止など)は適切です。それによって感染から完全に逃れられる、世界が永遠に安全になるといったことは無理ですが、感染拡大のスピードを抑えるという目的を達するためには完璧な施策です。

──感染者の数を示すグラフのカーヴをなだらかにするという意味ですね。

感染がピークになるときの患者数を少なくするのです。最終的な感染者の総数が減るわけではありませんが、一度に大量の人を感染させないようにすることで医療システムの崩壊を防ぎ、ワクチンを手にするまでの時間を稼ぐことができます。わたしが最も恐れているのは、12〜18カ月以内にワクチンが完成しないことです。とにかくワクチンができれば、いずれは疫学における「ゴールドリング」を得ることできます。

関連記事:新型コロナウイルスのワクチンは、いつできる? 基礎から最新事例まで「知っておくべきこと」

──どういうことでしょうか。

十分な人数が感染して抗体をもつようになり、さらにワクチンがあるという状態です。このふたつが達成されれば、集団免疫が獲得されます。これは人口の70〜80パーセントが免疫をもっている状態です。

個人的には、予防投与の可能な治療薬が開発されるよう期待しています。抗ウイルス薬の予防投与については、医学的な効果は証明されていません。議論のあるやり方で、反対意見も多いことは理解しています。

ただ、2005年に発表された2本の論文を紹介しておきましょう。片方は『Nature』、もう片方は『Science』に掲載されたものです。いずれも数理モデルを用いて、十分な人数にタミフルを投与するだけで、特定の区域でインフルエンザのアウトブレイク(集団感染)を阻止できるか計算しています。どちらの論文でも、アウトブレイクは起きないという結果になりました。

もうひとつ、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)治療の例もあります。エイズはかつては不治の感染症で、かかれば必ず死ぬと考えられていました。それがいまでは抗ウイルス薬が見つかり、そのうちいくつかは発症前の予防投与が効果的であることがわかっています。感染拡大を食い止めるためには(ワクチンに加えて)予防投与の可能な抗ウイルス薬の開発に資金と科学的な資源を投入すべきです。

──外出禁止が解かれ、仕事に戻ることができるのはいつになるのでしょうか。

過去を振り返ることは得意なのですが、いま必要なのは未来を見通すことですね。これがテニスの試合なら、現時点ではウイルスがアドヴァンテージを握っている状況でしょう。ただ、いいニュースもあります。韓国では、きょう[編註:インタヴューが実施された3月17日]は新規感染が100件未満でした。中国では輸入感染が国内感染を上回っています。

中国がとった対策を米国でも実施することは、非常に難しいと思います。人々を強制的に自宅に閉じ込めておくことは現実的ではありません。一方、韓国モデルなら実現可能ですが、人口比で同じだけの検査を実施する必要があります。韓国はこれまでに25万件以上の検査を実施しています。韓国の検査件数が20万件に達した時点で、米国での検査は1,000件未満でした。

マスクの着用には意味がある

──徹底した検査という意味では出遅れたわけですが、これから検査を強化していては遅すぎるのでしょうか。

そんなことはありません。検査を実施すれば、現状を数値評価することが可能になります。国内のどこで感染が多いのか知るために、確率論に基づいた無作為抽出の検査をすべきです。

わたしたちは現状を正しく把握できていません。現時点ではミシシッピ州では感染が見つかっていませんが、これは十分な検査が実施されていないからかもしれません[編註:のちにミシシッピ州でも感染が拡大し死亡事例も出ている]。ジンバブエの感染件数はゼロですが、これは検査をする能力がないからです。ジンバブエには新型コロナウイルスが存在しないという意味ではありません。妊娠検査薬のように、家庭でできる検査キットが必要です。

──もし1日だけ大統領になれるとしたら、定例会見では何を言いますか。

オバマ政権でエボラ出血熱対策の責任者を務めたロン・クラインを紹介するところから始めるでしょうね。「みなさん、ロン・クラインを紹介します。ロンはエボラ対策の“皇帝”でした。今後は新型コロナウイルスの王になります。公衆衛生と政治の両方の世界で尊敬を集める人物です。すべては彼の下で一元管理されます」といった具合でしょうか。

米国は分断された状態にあります。対策にまとめて責任をもつことができる人物としては、(国立アレルギー・感染症研究所所長の)アンソニー・ファウチが最適ではないかと思います。

──現状に恐怖を抱いていますか。

わたしは感染した場合、7人に1人が死亡する年齢層に属しています。心配していないとすれば、それは状況を注視していないだけでしょう。

ただ、恐怖感はありません。いま進められている対策によって、ウイルスの感染拡大にかかる時間を引き伸ばせると確信しているからです。時間さえあれば、ワクチンもしくは予防効果のある抗ウイルス薬ができる可能性が高まり、感染拡大の進行を妨げることができるはずです。

覚えておかなければならないのは、これはゾンビの黙示録ではないということです。人類が滅亡に向かっているわけではありません。

──マスクを着用すべきでしょうか。

N95マスクは素晴らしい製品です。マスクの穴は0.3ミクロンで、ウイルスの大きさは0.1ミクロンだから、マスクをしても無駄だと言う人はいます。ただ、体の大きなアメリカンフットボールの選手3人がドアに突進していく様子を想像してみてください。たぶん通過することはできませんね。

わたしの知っている最新データでは、マスクをしていると5倍の感染予防効果があるようです。これはかなりの数字です。ただ、医療機関が機能し、医療従事者が安全に働けるようにすることが最重要になります。したがって、マスクはそれが最も必要とされている場所、すなわち医療現場に供給されるべきです。

達成されるべき「3つのこと」

──どのような状況になれば感染が終息したと言えるのでしょう。

それには3つのことが達成されなければなりません。まず、全体像を正確に把握すること。感染者数などの数字は氷山の一角でしかないのか、それともピラミッドのようにすでに全貌が見えているのかが問題になります。検査数が足りないことで全体像の7分の1程度しか見えておらず、しかもわたしたちがそのことに気づいていないのであれば、今後もっとひどいことが起きるはずです。

次に、有効な治療法を確立すること。つまり、ワクチンまたは抗ウイルス薬が完成することです。そして最後に、おそらくこれが最も重要なのですが、多くの人が免疫を獲得すること。特に医師や看護師、在宅医療サーヴィスの従事者、警察官、消防士、教師といった人たちが重要になります。

抗体検査を実施して実際に免疫がついたのか確認し、結果を識別できるシステムを確立するのです。特別なリストバンドをするとか、写真つきの身分証明にスタンプを押すといったやり方があるでしょう。このようにして教師に感染の恐れがないことがわかれば、安心して再び子どもたちを学校に通わせることができます。

同時に、老人ホームへの訪問を全面的に禁止するのではなく、高齢者のように感染すると危険が大きい集団を感染させる心配のない人を特定すればいいのです。自分に免疫があることがわかれば、看護師は安心して感染者の治療に携わることができます。歯科医があなたの口の中を触っても感染の恐れはありません。この3つのことが起きれば、世界は正常な状態に戻ります。

──このパンデミックに明るい側面はあるのでしょうか。

わたしは科学者ですが、同時に信仰も持ち合わせています。世界の事象を見つめるときは、常に何らかのかたちでわたしたちの最良の部分を引き出すために至高の力が働いているのではないかと、自らに問いかけています。

これが始まったばかりのころは、すべての市民活動が止まると考えていましたが、そんなことはありませんでした。ミレニアル世代の若者たちが、自宅から出られない高齢者の買い物をヴォランティアで手伝っています。

また、信じられないほど多くの医療従事者が戦っています。通常よりはるかに長時間にわたって働いている勇敢な看護師、感染を恐れずに診療を続ける医師。このような奉仕の精神を目にしたのは初めてです。

今回のパンデミックが、わたしたちが「最良の自分」になるために経験しなければならないことだとは言いたくありません。ただ、いまが前例がないほど困難な時期であることは間違いないでしょう。すべてが終わったとき、第二次世界大戦の終結時と同じように、わたしたちはこの国を細かな断片に分断してしまった原因について考えることになるはずです。

ウイルスは誰に対しても平等です。わたしたちも自らをそのように見るべきではないでしょうか。人間は異なっている部分よりも似ている部分のほうが多いのです。

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「選択的週休3日制」対応検討 自民党内の中間提言ふまえ

2021年04月06日 05時23分30秒 | 事件・事故

4/5(月) 17:31配信
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フジテレビ系(FNN)
FNNプライムオンライン

加藤官房長官は、自民党内で検討されている「選択的週休3日制」について、4月中に党の議論がまとまれば、政府として対応を検討する考えを示した。

加藤官房長官「育児・介護・闘病など、生活と仕事の両立を図る観点からも、多様な働き方を推進することが重要であり、その1つとして、週休3日制も考えると認識している」

自民党は、希望する人が週休3日で働ける「選択的週休3日制」について、一億総活躍推進本部で議論を進めている。

加藤長官は、会見で「4月中をめどに、中間提言が取りまとめられる。それをふまえて、政府としてどういうことができるのか考えたい」と述べた。

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「強制不妊1日80人手術した」 亡命のウイグル人元婦人科医証言

2021年04月06日 05時14分00秒 | 社会・文化・政治・経済

4/5(月) 23:00配信

産経新聞

行方不明のおいの解放を求めるパネルを示すカマルさん=イスタンブール市内(佐藤貴生撮影)

 中国当局による新疆ウイグル自治区での人権弾圧をめぐり、少数民族ウイグル族出身の元医師の女性がトルコで産経新聞のインタビューに応じた。女性は「約80人に強制不妊手術を行った日もある」と明かし、同自治区内で大規模な強制不妊手術が行われている実態を証言した。強制不妊手術について中国側は否定するが、欧米など国際社会では「ジェノサイド(民族大量虐殺)」の要件の一つだとして問題視している。(イスタンブール 佐藤貴生)

【写真】ウイグル人収容施設の様子

 女性は、新疆ウイグル自治区で婦人科医だったギュルギネさん(47)。2011年に移住したトルコ最大都市のイスタンブールで取材に応じた。

 「トラックの荷台に乗せられて、多数の女性が病院に送られてきた。(不妊手術は)1人5分ほどで終わるが、何をされるのか不安で女性たちは泣き叫んでいた」

 同自治区の区都ウルムチの病院で不妊手術を行っていたというギュルギネさんは、T字型やU字型の子宮内避妊具(IUD)の写真データを示し、「こうした器具を女性たちの子宮に装着した」と説明した。

 14年以降、不妊手術を受けた同自治区住民が急増していることは、中国政府の統計資料で分かっている。卵管結束と精管結束による不妊手術を受けた男女は18年時点で約6万人と13年の約14倍。IUDの装着手術も毎年20万~30万人に対して行われ、装着済み女性は17年時点で約312万人に上る。妊娠可能年齢の既婚女性の6割に達している。

 ギュルギネさんによると、同自治区内で強制不妊が組織的に始まったとみられるのは1980年ごろという。中国で産児制限「一人っ子政策」が開始された翌年のことだ。

 「手術の意味は理解していたが、ウイグル族政策だったことは後で知った」と話し、「私も不妊手術を施された」と明かした。

 同自治区での暮らしに耐え切れず、イスタンブールに逃れたギュルギネさんの元には「子供ができない」とウイグル族出身の女性たちが相談に来る。これまでに150人以上を診察したが、多くは不妊手術を施されていたことを知らず、説明すると怒って泣き出す女性もいるという。

 「子宮内に器具が長期間入っていれば、周囲の組織と癒着し、取り出すのに骨が折れるケースがある。感染症やがんの原因にもなり得るし、精神に異常をきたす女性もいる」

 強制不妊はウイグル族をマイノリティーの地位にとどめておくための中国当局の政策だ-とみるギュルギネさんは、「(同自治区で暮らす)親類に迷惑がかかるから」と姓を明かさず、写真撮影も拒んだ。

 ギュルギネさんの紹介で、イスタンブールに住む主婦、カルビヌル・カマルさん(50)に会った。

 カマルさんが不妊手術を施されたのは、同自治区グルジャに住んでいた2006年7月、3人目の子供を出産した当日だった。

 同自治区の都市部では産児制限により3人目の子供は許されていなかった。このため、1人しか子供がいない兄の妻になりすまして出産。その直後、病院で「もう子供はつくらない」という誓約書を書かされ、不妊手術を受けたという。

 「この体はもう私のものではない」。そう思うようになったカマルさんはうつ状態になり、2カ月ほど体調不良が続いた。不妊手術のことを打ち明けると、母親も「実は、私も受けさせられた」と漏らした。多くの友人も同じだった。

 3人目の子供は兄夫婦が育てていたが、09年にウルムチで起きた暴動の後、中国政府はウイグル族の懐柔策として3人目の出産を一時的に容認。その際、役人に賄賂を払って自分の子供として登録し直し、引き取ったという。

 「私たちはこの国では歓迎されていない。ここには未来がない」。そう思ったカマルさんは13年に夫と子供3人と中国を脱出した。

 「トルコに来たからといって悩みが消えるわけではない。収容所に送られた多くの親類のことを考えない日はなく夜も眠れない」

 カマルさんは今、17年にウルムチの職場から突然連行され、行方不明になったおいの解放を中国当局に求める活動を行っている。