学食の隅っこがボクのお気に入りの場所。
誰にも邪魔されないように、文庫本を開いてバリアを張る。
そのバリアが今日は簡単に壊された。対面にケンジがトレイを置いたのだ。
「ここ、迷惑?」
「迷惑」
正直に答えた。
「メンゴメンゴ、席、空いてなくて」
ボクはチラリと学食を見渡した。ウソばっかし。
「おまえ、いっつもひとりだな。友だちいないの?」
大きなお世話だ。こうゆう手合いにはちゃんと言わなきゃわかんない。
「人の心に土足であがりこむ輩って大っ嫌い」
「拒絶ってるなあ。ま、正直っちゃ正直だよな、ウンウン」
なんて納得しながら、箸を割ってしごいている。ホント、わかんないヤツ。
「頼むからどっか行ってくんない?食べるとこ見られるのイヤなんだ」
「え?なんで?学食なのに?」
生協でサンドイッチかなんか買えばよかった。
「ボクは箸のもち方がヘンだから、ソレ見られんのイライラするんだ」
「あ、わかる。ソレ」
ホント、わかってんのか?
握り箸、横箸、ちぎり箸・・・
箸ってどうして正しい持ち方じゃないといけないんだろう。
突き箸、迷い箸、渡り箸・・・
どうしていちいちマナーにうるさいんだろう。お行儀なんてたいして気にしない人が、こと箸に関しては違うのはなぜなんだろう?親から先生からヘンと言われ友だちから笑われ、すっかり箸コンプレックスになってしまった。
「オレもヘンだろ?」
ケンジが飯を口に放り込んだ。確かにヘン。ボクとどっこいどっこい。
「世界中で箸を使ってる人間は三割。あと三割がフォークとかスプーンとか。四割は手で食べてるんだぜ」
へえ、そうなんだ。
「お父さん箸、お母さん箸なんて個人の箸が決まってるの、日本くらいのもんなんだ。いろんなこだわり、ありすぎ。要は、おいしく食べられりゃいいのに」
「でもさ、口に御飯入れたまんましゃべるの、やめてよね」
ケンジがボクを不思議そうに見てから、プッと吹き出した。
ボクも、笑うのをこらえて真っ赤になった。
そんなわけで、あの日以来、ボクはケンジと友だちだ。いや、友だち以上かも。
ボクの実家に連れてったことがある。
母さんは、「どこがいいの?」なんて言う。
ボクは、「箸のもち方がヘンなとこ」なんて応える。
ウン、友だち以上。結婚なんかしちゃったりして。
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りんさんの御主人、最高!
箸のもち方とかマナーとかって、なんであんなに気にするんでしょうね。
外国映画のスプーンやフォークのもち方なんてみんな適当なのに。
自分が食べやすく、周りに不快を与えない程度であればいいんじゃないでしょうかねぇ。
お箸が縁で結婚するなんていいなあ。
ところで、うちのダンナは箸の持ち方が出来ません。
先日右手の薬指を怪我したんですが、もともと薬指使わずに食べていたので、まったく困らなかったようです。
ボクが学生のころに知っていた女の子で、「ボク」って言っていた子、可愛かったんですヨ。まあ見た目だけでどういう子とも言い切れない程度で、お近づきになったわけじゃないんですけども。
あ、ちなみにボクの箸のもち方、ヘンらしいです。
でも、ヘンじゃない人よりも、豆つまみは上手いのが自慢です(笑!)
子供に多いです。
オレっていう女の人もいるけど
なんか、雑な雰囲気があって、キライです。
雑な感じがイヤ。
はたまた、妖怪箸小僧。。。
そんな妖怪は居なかったと思うけど。?!