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春が来た

医師・作家「大鐘稔彦氏」に見る、外科医の魅力(2)

2011年07月15日 | 健康・病気
「平成天誅団」 なる組織をご存知だろうか?、これは大鐘氏が創作した「仕事請負集団」。  アメリカには一般に「メーガン法」と呼ばれる法律がある。 性犯罪者たちの個人情報がインターネット上で公開され、顔写真や、氏名、生年月日、犯した犯罪の種類、人種、身長、体重、目の色、髪の色などなどが掲載されている。 メーガンという名の由来は、1994年ニュージャージー州住むメーガンちゃんが、近所の男によってレイプされ、殺されたことが発端。 犯人の前科を調べると、小児性愛の常習犯であることは判明し、両親の運動によって1996年メーガン法が成立し、その後合衆国レベルで法が制定され、現在50の州で性犯罪者の情報を公開するようになった。

メーガン法というのは、性犯罪者を追い払うのではなく、共存しながら地域全体で監視していこうというもの。 しかし我が国では、加害者の人権が尊重される割には被害者の存在や苦悩が軽視され、泣き寝入りしているのが現実。 これを見かねて現れたのが平成天誅団、具体的に天誅団とは性犯罪者の男根を絶ち、睾丸を抉り取る仕事請負人集団。 実は過去、死刑に次ぐ酷刑として世界的に「去勢」が行われていた。 日本では「宮刑」と呼ばれ、土御門天皇の時代・1207年法然の弟子である法本坊行空と安楽坊尊西が、女犯の罪で宮刑に処せられたとの記録がある。 現在でも「去勢刑」が行われているのが米国、多くが薬物注射で睾丸を萎縮させる「科学的去勢」だが、テキサス州においては1997年と2007年外科手術による刑が実施された。 大鐘氏の義憤を背負った、仕置き人の活躍に期待したい。

男性特有の病気である「前立腺がん」は、精巣および副腎か分泌される男性ホルモンにより増殖される。 治療法の一つである「ホルモン療法」は、注射や内服薬によって男性ホルモンの分泌や働きを抑えることで、がん細胞の増殖を抑制する治療法。 この治療薬が開発される以前は、睾丸を摘出する外科手術が治療の主流だった。 そこで思い出すのは古代中国に伝わる「宦官」(かんがん)。 王の宮廟に仕える男性は去勢された者を用いたため、彼らを宦官と呼ぶようになった。 そこで提案だが、天誅団によって去勢された性犯罪者の使い道が、何かないだろうか?。

これまでの主流であった外科治療に代って出現してきたのが、放射線治療や化学療法。 しかし日本における「外科医」の地位や発言力は今なお高いように思う。 病院の稼ぎ頭であることも影響してるのかもしれないが、患者サイドから考えれば、あらゆる面から検討して最も適した治療法を選択できることがベスト。 大鐘氏は外科医のこれからについても助言する。 「専門領域だけの医師は、いずれ行き場を失ってしまう。 貪欲に専門外のことも勉強しておけば、第二の人生の選択伎が広がるのではないか」。

「神は二物を与えず」 と言うが大鐘氏は文才にも恵まれ、外科医としての豊富な経験と知識から数々のヒット作品を生み出してきた。 また「コミックの読者はメディアとして使える」ところに着眼し、肝移植をテーマにした「メスよ輝け!」の原作をはじめ多くの単行本を書き上げてこられたのは流石。 「ペンはメスよりも強し」、氏が神から授かったペンの威力を、地域医療や移植医療発展のため、そして高い志を持って医療の道に励む若き医師たちのためにも縦横に発揮され、これからも鋭い切れ味のメッセージを送り続けて欲しいと願ってやまない。