郊外の田園地帯に移り住んで7年目、農作業も脳作業に進化させ、かなり楽になった。 さらに野菜の収穫期を2~3回に分割して、旬を引き伸ばすことも覚えた。 最初に植えた夏野菜の収穫が終わる9月中旬ごろに、次の収穫がはじまるわけで、秋口のキュウリや枝豆は引っ張りだこの人気。 また気温が下がるので害虫の被害も抑えられ、まさに一石二鳥。
野菜作りは土作り。 巨木が多く、,落ち葉が大量に出る我が家では、これを囲いの中で圧縮して腐葉土とし、牛糞や鶏糞の代りに毎年畑に入れてきた結果、さらさらして黒味を帯び、ミミズのすむ美味しそうないい土が出来上がった。 「ペーハー」はほとんど中性で、石灰を撒く必要はない。 いま秋野菜の植え付け時期を迎え、苗作りや畝作りで忙しい。
野菜作りの他にも、ここで美しく暮らしていくためにはかなりの労働を強いられる。 庭木の手入れ、雑木林の下刈り、梅や柿ノ木の剪定消毒、休耕してる畑の草刈り、家の掃除、朝晩2回の犬の運動、それに松くい虫にやられた樹齢50年ぐらいの松ノ木を、毎年2 ~3本ぐらいは切り倒さなければならない。 そんなわけでスポーツクラブなどに行かずとも、日常の生活の中で十分な運動量が得られる。
「家も生き方も『段差』をなくすな」と説くのは、聖路加国際病院の日野原理事長だが、女房もここに越してきてから、3度の食事作りと階段の上り下りだけで足腰がかなり強くなった。 家の段差や階段は体力を鍛え、「健康でなければ今の生活を維持できない」という精神的段差(ストレス)は、気力を培ってくれてるようだ。
僕は3年前に進行した癌を、近代医学と環境それに生き方を変えることで克服した。 そして肉体的にも精神的にも「自分を甘やかさない」生き方で、次なる癌や認知症に備えたいと思っている。 それにしても今年の夏は暑い、一日が終わりストレッチとシャワーのあと、雑木林を渡ってくる心地よい風と、ヒグラシの声を聞きながら冷たいビールを傾け、ささやかな幸福感に満足しているこの頃である。