足の爪を切りながら、ふっと亡き母親のことを思い出した。子どもの頃、母が足の爪を切るのを見たことがある。その姿を鮮明に思い出したのだ。
母の爪は決して綺麗ではなかった。ひどく歪んでいた。ゆえに強烈な印象として残っていたのだろう。
坂村真民の詩に「尊いのは 頭ではなく 手ではなく 足の裏である」という有名な一文があるが、「ひょっとすると、足の爪にもその人の人生が象徴されているのではないか?」と思った。
あの時の母と現在の私は、ちょうど同じくらいの年齢だろう。自分の足の爪をまじまじと見てみた。母のと比べたらずいぶんと整っているような気がした。
「私はまだまだ半人前の人間なのだろうか? 人生における苦労が足りないのだろうか?」と、そんな気になった。
母の爪は決して綺麗ではなかった。ひどく歪んでいた。ゆえに強烈な印象として残っていたのだろう。
坂村真民の詩に「尊いのは 頭ではなく 手ではなく 足の裏である」という有名な一文があるが、「ひょっとすると、足の爪にもその人の人生が象徴されているのではないか?」と思った。
あの時の母と現在の私は、ちょうど同じくらいの年齢だろう。自分の足の爪をまじまじと見てみた。母のと比べたらずいぶんと整っているような気がした。
「私はまだまだ半人前の人間なのだろうか? 人生における苦労が足りないのだろうか?」と、そんな気になった。