自分は社員として何処かの会社に居た。中堅どころの管理職をしているようだ。オフィスはがらんとしており、何か手持ち無沙汰であった。何となく本流から外れた気分で、仕事の上でも干されているような気分であった。
「何かすることないかな?」「最近は誰も自分に何も言わなくなったようだ?」などと、ぼんやり机に向かって考えていた。突然、「そうだ!自分は朝から会議に出席しなくてはならなかったのだ」と、気がついた。自分は会議室へ行こうと立ち上がった。しかし、よく考えてみると、自分にはその会議が何処で行われているのか、どのような内容であるのか、全く記憶がないことに気がついた。「知らされているのに忘れたのか?」、「誰かが意地悪く自分に会議のことを伝えてくれなかったのか?」などと、急に不安が持ち上がって来た。
「えーい、何でもよい。会議室を順番に覗いてみてやれ!」と一つ目の会議室へ向かった。そこでは自分の部下ばかりが多数集まっていた。「課内会議の最中だ。自分の課ではないか。どうやら、ここがその会議だったかもしれないぞ」と思って、そっと部屋に忍び込んだ。白熱の議論が交わされていた。しかし、みんな気がつかない振りをして、課長の自分を完全に無視しているではないか。自分は何だか透明人間のような感じがした。会議の話題も自分の知らないことばかりであった。「うーん。ここでは自分は必要とされていない」と淋しく感じた。
「どうも会議室を間違えたようだ」と、次の会議室に向かった。次の会議室では、常務と上司の部長が何かひそひそと話していた。自分は「出席しなければならなかった会議は此処だった」と確信に近いものを感じて安堵した。自分はその中へ割って入った。丁度、常務が発言しているところであった。「最近、業績が思わしくないが、何か好い妙案がないかね?」と。自分は、何故か自分に直接聞かれたような気がした。咄嗟のことで何も思いつかなかった。時間稼ぎが必要だと思って、「部長が好い考えを持っていますよ!」と言って、とりあえずの時間を稼いで、部長の顔を見た。部長はすらすらと考えを述べた。自分が普段から考えていることと全く同じことを述べた。「しまった!それなら自分の口から先に言えばよかったのに!」と思ったが、後の祭りであった。
常務は、いつの間にか部屋に入って来て着席している闖入者に気が付いた。常務は、「この会議にはキミを呼んだ憶えはないのだがね?」と不審な顔をした。自分は呼ばれもせぬ会議割り込んで、要らぬお節介をしただけのようであった。
自分はオフィスに戻った。悄然とした気分であった。誰も居ないオフィスで一人考えていた。「お呼びでない会議に顔を出して、不要な発言をしてしまった!」「次にリストラがあるとしたら、間違いなく自分だろうな?」「一体、自分はこの会社に何のために居るのだろうか?」と、心が千々に乱れた。
会社を辞めて10年も経つのにまだこんな夢を見る。「自分は無用な人間ではないか?」「自分は人の役に立つことは何もしていないのでは?」などと、心の何処かに、何かしらの不安が潜んでいる。寝覚めのよくない夢であった。


「何かすることないかな?」「最近は誰も自分に何も言わなくなったようだ?」などと、ぼんやり机に向かって考えていた。突然、「そうだ!自分は朝から会議に出席しなくてはならなかったのだ」と、気がついた。自分は会議室へ行こうと立ち上がった。しかし、よく考えてみると、自分にはその会議が何処で行われているのか、どのような内容であるのか、全く記憶がないことに気がついた。「知らされているのに忘れたのか?」、「誰かが意地悪く自分に会議のことを伝えてくれなかったのか?」などと、急に不安が持ち上がって来た。
「えーい、何でもよい。会議室を順番に覗いてみてやれ!」と一つ目の会議室へ向かった。そこでは自分の部下ばかりが多数集まっていた。「課内会議の最中だ。自分の課ではないか。どうやら、ここがその会議だったかもしれないぞ」と思って、そっと部屋に忍び込んだ。白熱の議論が交わされていた。しかし、みんな気がつかない振りをして、課長の自分を完全に無視しているではないか。自分は何だか透明人間のような感じがした。会議の話題も自分の知らないことばかりであった。「うーん。ここでは自分は必要とされていない」と淋しく感じた。
「どうも会議室を間違えたようだ」と、次の会議室に向かった。次の会議室では、常務と上司の部長が何かひそひそと話していた。自分は「出席しなければならなかった会議は此処だった」と確信に近いものを感じて安堵した。自分はその中へ割って入った。丁度、常務が発言しているところであった。「最近、業績が思わしくないが、何か好い妙案がないかね?」と。自分は、何故か自分に直接聞かれたような気がした。咄嗟のことで何も思いつかなかった。時間稼ぎが必要だと思って、「部長が好い考えを持っていますよ!」と言って、とりあえずの時間を稼いで、部長の顔を見た。部長はすらすらと考えを述べた。自分が普段から考えていることと全く同じことを述べた。「しまった!それなら自分の口から先に言えばよかったのに!」と思ったが、後の祭りであった。
常務は、いつの間にか部屋に入って来て着席している闖入者に気が付いた。常務は、「この会議にはキミを呼んだ憶えはないのだがね?」と不審な顔をした。自分は呼ばれもせぬ会議割り込んで、要らぬお節介をしただけのようであった。
自分はオフィスに戻った。悄然とした気分であった。誰も居ないオフィスで一人考えていた。「お呼びでない会議に顔を出して、不要な発言をしてしまった!」「次にリストラがあるとしたら、間違いなく自分だろうな?」「一体、自分はこの会社に何のために居るのだろうか?」と、心が千々に乱れた。
会社を辞めて10年も経つのにまだこんな夢を見る。「自分は無用な人間ではないか?」「自分は人の役に立つことは何もしていないのでは?」などと、心の何処かに、何かしらの不安が潜んでいる。寝覚めのよくない夢であった。


