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ユーさんのつぶやき

徒然なるままに日暮らしパソコンに向かひて心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き綴るブログ

軒先貸して母屋をISOに取られていませんか?(2008.6.1)

2008-06-01 | 社長のサプリ
 最近、組織の経営システムとISOマネジメントシステムとがうまく噛みあっていないような気がすることがよくある。大企業であれば、一部門だけでISOが成り立つこともある。しかし、中小企業では登録された製品やサービスだけで会社全体がカバーされている。このようなところで、規格の狭い範囲の品質や環境に関する要求事項だけを取り出して、汲々として優先的にマネジメントシステムを運用することに大変な窮屈さを感ずる。
 元々、経営者のISOの認証取得の目的が明確でないケースが多い。ISOを介して、経営を継続的に改善しようとする意図が明白でない。経営目的に即した活動を実行することによって、売上や利益を増加させようとする本来の目的が見えないのである。ISOの運用にも遠慮がちで、少しでも茶碗に盛るご飯の量を少なくしようとしている。経営目的よりも、少しでも審査を無難に通過することばかりに注意を向けているような感じがする。組織は審査員の目を気にし過ぎている。審査員から何か言われることをウルサイと思っている。しかし、会社は審査のための組織でないから、もっと自信を持って、ISOを総合的なマネジメントシステムに転換して運用すべきである。
 マネジメントシステムにISOの規格要求事項以外のことを含めないことによる組織の損失は甚大である。また規格要求事項であっても、最小限に限定して運用することで多くのマイナスが発生している。本来は一元的に管理すべき経営の重要事項がISOマネジメントシステムとISOに関係しないその他の経営管理の事項とに分断されている。更に良くないことに、その他の経営管理事項はISOのために弱体化している。 組織は、財務管理、原価管理、生産管理、労務管理、人事管理、販売管理、マーケティング管理などの多くの品質以外の重要事項を除外して、マネジメントシステムを構築したつもりになっている。利益が出ない原因、コストが下がらない原因、生産性が上がらない原因、従業員のやる気が出ない原因、売れる製品やサービスが開発されない原因などは、適合性だけを求めるISOと歩調を合わせるのが難しい。しかし、組織はこれらをISOの内部監査の対象にしたり、ISOの中で是正処置を実施したり、マネジメントレビューの対象にしなければならないのである。そうしなければ二元管理となってしまう。ISOだけを別枠にして、二重管理になるような手順を強制されては組織は困るのである。しかしながら、組織は認証登録の継続に汲々とするあまり、ISOマネジメントシステムから、経営の重要事項の大半を除外して審査を受けて、すべてが終わったような気になっている。
 ISOによく似た項目があるために、僅かなことをやってやった気になっている事例を一つ上げる。例えば、従業員の教育・訓練である。品質ISOでは品質に影響を与える可能性のある要員の品質上の力量確保を要求している。しかし、教育・訓練というものは一騎当千の人材を養成する経営上の最重要事項であり、人事、採用、福利・厚生などとも密接につながっている。しかるに、ISOがあるがために、教育・訓練を品質ISOの世界に矮小化して、いやいや、気休め程度の集合教育をやって、すべてが終わったような気になっている。こんな教育・訓練を実施しただけで、会社が必要とする有能な人材が育つなんてことは、とても期待することができない。
 もう一つ悪しき例を上げる。ISOで記録ばかり求めること。さらに形式に走った是正処置を求めること。これは3現主義の意欲を減退させる。そのときに現物を見れば、その場で解決する問題を先送りさせる。データを取っている間に時間が過ぎてしまう。
 会社に一つしかマネジメントシステムがないとすれば、ISOマネジメントシステムの中に経営の重要事項をもっと遠慮なく取り込んでいく必要がある。ISO要求事項の見落としさえなければ、余分の事項がいくらISOマネジメントシステムの中に入って来ても構わない。そのような総合的な形で堂々とISOの審査を受ければ良いのである。万一、僭越な審査員が要求事項以外のことに口を挟むことがあっても、それは審査の対象外であるとして、堂々と審査を拒絶すればよいのである。 
 経営全体の一部に過ぎないISOのために、経営の母屋を乗っ取られて、経営者の重要な時間や審議の場所が奪われている。生産性や採算性のことなどISOから見て余分な方が、経営目的達成のために重要なのに、審査に遠慮して、重要でない事項の優先度を上げている。これを称して本末転倒という。どうしてもISOと折り合いが付かなければ、要求事項の適合性ばかりにこだわるISOの方をやめるべきではないか。


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