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ユーさんのつぶやき

徒然なるままに日暮らしパソコンに向かひて心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き綴るブログ

社長さん!原因究明と責任追及を分けて考えていますか?(2008.7.1)

2008-07-01 | 社長のサプリ
 ISOでは仕事や製品の不具合がある場合、これを不適合として是正処置を取ることを要求しています。しかし、日本的経営の色濃い組織では、この是正処置の効果を上げることが容易にできません。今日はその理由を探りたいと思います。
 是正処置とは、仕事のシステムや製品品質などの不具合の原因となっている根本原因を探り当て、その原因を除去することによって再発防止を図るものです。簡単に再発防止と言っても、単なる「臭いものにフタ」では同じことが再発します。根本にある原因を取り除かない限り、「もぐら叩き」になって終わります。
 病気のことを考えれば一番分りやすいと思います。何か原因があって病気になったときに、その原因を除去せずに対症療法だけをやっていては、絶対に病気は治りません。例えば、身体の何処かがガン細胞に冒されているに係らず、痛む、熱があると言って、痛み止めや熱さましの投与ばかりやっていては、今日の痛みや熱は取れても、患部にガン細胞という根本原因が残っている限り絶対に治りません。
 ことが会社と言う組織になると、なぜか患部の病巣には容易に辿り着くことが出来ません。一番の原因は、組織が人間で構成されていることと基本的なものの考え方が確立していないからです。人々の間で再発防止のためには根本原因を取り除かなければならないと言う基本認識があまり強くありません。何かのミスがあれば責任者を呼んで小言を言って終わりにすることが多いのです。仕事のやり方を変えたり、設計を変えたりして、不具合の根本原因を除かない限り、再発を避けることが出来ないのに当座の処置で済ましてしまうのです。
 日本の文化ではなぜかシステムの根本原因に触れることを嫌います。「触らぬ神に祟りなし」とか、「君子危うきに近づかず」とか言って、「臭いものにフタをする」ことだけで済んでしまいます。うっかりシステムや設計に言及して、誰かの「顔に泥を塗る」のが怖いのです。うっかりシステムの不備や構造上の不具合を見つけ出して、「知らぬが仏」でリラックスしている上司を怒らせて「トラの尻尾を踏む」よりも、現場の責任者や担当者を叱っておけば、それで済むと「安きに流れて」行くのです。
 今、社会保険庁の年金のインプットミスなどが騒がれていますが、誰がその根本原因を追究しようとしているのでしょうか。1億の国民が全員で社会保険庁の役人を責めていますが、一体これらのミスがどのように起こったか、その根本原因を誰が議論しているのでしょうか?現在のままでは、社会保険庁を解体して、異なった名前のお役人に担当させて、結局、同じことを繰り返します。「前車のわだちを踏んで」も、そのときは人が変っていますから誰も責任を取らなくて済みます。
 根本原因の分析に際して、人の責任をいくら追及しても改善されるところは何もありません。もっと根本的な原因、基本的な原因を追求しなければなりません。責任の追及は根本原因が分った後にしないと、人間の責任だけ追及して、責任者を退職させて、結局、何が悪かったのか、誰にも何も分からないまま終結させてしまいます。万一お役人の怠慢が最初の原因であっても、先ず第一に、さらに奥に潜む根本原因、すなわち怠慢によってミスを生じさせた制度や構造上の欠陥を見つけ出さなければなりません。
 昨年、一昨年の建築物偽装事件にしても裁判で法的な責任を追及するだけで終わりました。JR西日本の大事故においても、結局根本原因が何であったか、我々には一向に伝わってきません。従って、我々一般の国民の不安は未だに解消されていません。「人のうわさも75日」で終わっています。
 会社の仕事でも同じことです。いつまで経っても、不良品続出で、生産性が上がらず、利益の出ない会社のことを嘆いている社長さん。ミスや不良の根本原因をきちんと究明していますか。本当の再発防止を講じていますか。人の責任だけ追及して、仕事をしている気持ちになっていませんか。原因究明と責任追及を厳密に分けて考えないと失敗します。ちゃんとやる方法も決めずに、「ちゃんとやらんかぁ!」と怒っているだけでは、改善が進みません。自社の不振の根本原因が経営者の基本認識の不足にあったと言うことでは笑い話で済みません。


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