今日は。
梅雨前線の影響でぐずついた天候が続きますね。
ニュージーランドで先日先の地震と同じ場所で地震が2回あった由。昨夜(15日)、釧路でも、宮城県沖でも地震が発生し、東京もグラッときました。大地震の余波に注意。テレビでは、被災地の復興が遅れている様子が映し出され、心が痛みます。
1.政治・経済
内閣不信任案が否決され、菅総理の続投になりましたが、辞任時期を巡り、政界が迷走しています。政争とは切り離し、復興に関する法案を早く可決させて被災地の自立を援助して欲しいです。仮設住宅に当選しても、入居率は5割と少ない。理由は、食費、光熱費は自腹、通勤、通学場所から遠い、交通不便などだそうです。自治体は箱作りで終わりでなく、きめ細かいケアをお願いします。
福島原発災害の影響で、原発再開が停止され、稼働率は5割前後で、全国的に電力不足になり、産業、商業などの経済活動の停滞が起こっています。不足分は休眠中の水力、火力発電所の再開でも足りないそうです。
ドイツ、イタリアで原発廃止に動いています。原発はないに越したことはありません。一度事故を起せば、被害が甚大で、影響が長期に渡るからです。では、代替エネルギーの開発をどうするか、政界、専門家が知恵を絞り、早期に中期計画を立案し、実行すべき。
2.社会
5.書評(選者のコメントを抜粋したのは、自分との評価の相違を対比し、参考にするため)
1)第111回文学界新人賞受賞作、『ゴルディーダは食べて、寝て、働くだけ』(吉井磨弥作)
(1)デブ専デリヘリ風俗店で働きながら、バンド活動に夢を持つ少女が過食症へとなっていく過程を描いている。表題の如くに、ただ食べては太っていき、自分には何を訴えたいのかは分からなかった。
(2)食べ物オーダーの領収書が、体重グレードアップするたび位に、提示されているのは初めてでおやっと注目した。
(3)これでもかこれでもかと、風俗技や食欲旺盛さが迫力のある描写で圧倒される。
(4)彼女が食べ、その排便、排尿場面を観るだけのフェチ客との対峙が経験者のような内容と思われるくらい。
(5)懸命に生きる少女の姿が立ち上がってはいると思われた。
(6)選者らのコメント
①面白く読んだ。淡々とした文章に安定感。レシートの写しも良い。不快になる題材だが、奇妙な清潔感と多幸感。
②比喩をほとんど遣っていないのが良く、文体を持っている。最近は安易に比喩が使用され過ぎている。
③表題通りの話で、文学的な思わせぶりはなかなか介入しようがない。滑稽な爽快感のみ。
④作風に軽い読み物とは言い切れない重力が感じられる。レシートを挿入することで時間経過と肥満の進行を示す仕掛けはしゃれている。
⑤排泄フェチに見せながらの主人公の不気味な幸福感がある。『カメレオンゲート』と言う架空の自然災害を読み取れなかった点が少し、難だが。
以上のように、5人中4人が受賞に推している。
2)第144回直木賞受賞作、『月と蟹』(道尾秀介作)
(1)オール読物3月号に全6章のうち第1章が掲載されており、それの読後感
(2)父の会社が倒産し、東京から祖父の住んでる鎌倉に引っ越した慎一少年の視点で、友達や周囲の大人達の行動を観察。
(3)描写が細かく、その上形容の言葉が長くて、直ぐに長編になってしまうと思えるくらい。
(4)比喩は少し多いと思われるが、的確。
(5)二年前に、会社OB会で鎌倉に散策し、その当時の光景と小説の描写が正によく適合していて、懐かしく思い出した。
(6)選者らのコメント
①鎌倉の風土を的確に捉えている。少年、少女の視点、感性で捕らえた新鮮さ。これまではストーリーテールが主だったが、今回は葛藤、内実が描かれている
②作品的には評価は高くなかった。少年のナイーブさについていけない箇所が幾つもある。しかし、広範囲な読者を獲得しているし、受賞を機に飛躍が期待される。
③木目細かい、入念な筆運び。常に平均点を越える作品を携えてこの賞の候補になった実力には敬意を評すべき。
④大人の視点を排し、慎一に全てを託して複雑な人間関係と母親の恋愛を描くのは大胆な挑戦。補完する友が暴力の予感を漂わせるが、彼なりの脱出路を見つける締めくくりは見事。
⑤少年の愛と憎しみが周囲の人間に向けられている凄み。母親と鳴海の父親の関係の本質が数行描かれていれば違う様相を帯びたであろう。
⑥描写の細やかさに精彩がない。情緒的で理性的でないので、大人達をぞっとさせる展開がない。候補作品の回数が増え、直木賞ステージを通過させてあげたい。
⑦内向的で独善的すぎる。部分的に感性の鋭さがあったとしても、現実の人間への迫力は薄く、ご都合主義で軽すぎる。
⑧文章力が良い佳品。人物の性格が道徳的教条的で毒がない。主人公の孤独感に迫るものがない。一人称で描けば違った味わいになった筈。
⑨凡百の少年小説から一頭地を抜けた。ただ、暗く、重く、歪み過ぎている。面白さの追求も。
3)第144回直木賞受賞作、『漂砂のうたう』[木内昇(のぼり)作]
(1)オール読物3月号に長編のうち1章から3章までが掲載されており、それの読後感
(2)根津遊郭の美仙楼の立ち番として働く定九郎の眼を通して、仲間、遊女の悲喜劇、そして武家社会から明治への世の激変が描かれている。
(3)臨場感のある描写で、絵が浮かび上がってくる。(自分が小学生の頃は時代劇映画が全盛で、市川歌右衛門、中村錦之助、東千代之助、大川橋蔵、市川雷蔵が主役の映画をかなり観ましたので、予備的な絵柄を記憶していたので、すらすら読めたのかも)
(4)語彙が豊富で、情景や心理が丁寧に書き込まれている。
(5)地の文が多く、会話文は1から2割位だが、登場人物の立ち振る舞いが良く判る。
(6)選者らのコメント
①独特の言い回しは個性、才気あり。遊女二人の対照的な生き方、ポン太の狂言回し振り、激変の世を見事に描いた
②群を抜いて良い。抑制の効いた端正な文章、つかみどころのないポン太の描写、維新についいけない人々の描写が素晴らしい。
③周到な文章で、よく思案された作品。ご一新の変転の中で、気配と困惑を描き切った。
④秀作。
⑤閉塞感はよく描けている。登場人物をもっと丁寧に描いていれば、物語全体が
力を孕んだであろう。
⑥装飾の多い文体。登場人物は芝居をしているようで、生きている色や様、人間関係のあやが単調。
⑦積極的に推したい候補作はなかった。強いて惹かれたのは、郭の内情をよく調べて描かれて、読ませる。ラストに絞り込まれた瞬間、自然の感興を殺ぐ。
⑧開化物と遊里物と言う難度の高い設定を、史料的説明をせず、見事に物にした。但し、ミステリー仕立てにしたのは如何なものか。
⑨全体としては出色の維新物。但し、円朝の話を効果的に摘み上げてるところは良いが、足抜けの話で小説の結構は崩れ掛けている。
6.被災地の応援歌 手鏡(七五調) 一. 冷たい潮風 頬よぎる瓦礫をよけて 探し物 砂に刺さった 手鏡は 妻の遺品に なりました アーアー 弥生空の 苦い過去 二. 青い海原 漁に出る 押し頂いた 義捐金 活きる力の 後押しに 子らも元気に なりました アーアー 弥生空の 今がある三. 可愛い娘 舟出する 皆で辿った この道は 曲がりくねって いたけれど手鏡妻に 背を押され アーアー 弥生空の 祝いの日