お早う御座います。
朝晩は少し涼しくなり、ホッとしますね。これで、執筆の方もはかどれば良いのですが・・。
ゴーヤは日照不足のせいか、昨年より小振りで、2個収穫しました。現在掌の長さの物が8個、指の長さが7個、爪の長さが5個あり、毎朝その成長を楽しみにしています、ちなみに苗は6本です。
この所、政治、経済に大きな問題は無く、押尾、酒井法子夫婦の麻薬問題が騒がれていますね。
スポーツでは、世界陸上、遼君の米国ツアーで予選通過、高校野球が盛り上がっています。
巨人はここにきて、足踏み状態で、昨日も阪神に2:5で負け、ナイターの中日対ヤクルト戦を聞きながら、中日が負ける事を望んでいました。こんな寂しい気持ちにさせないよう巨人の奮起を期待します。ラミレス、亀井選手の本塁打も空砲になりました。3回に二塁の木村選手のエラーから高橋投手のリズムが狂い、ブラゼル選手に3ランを浴びてしまいました。しかし、エラーはつきもので、打撃陣が下柳、藤川投手に抑えられ、2点では仕方ありません。頭を切り替えて、明日からの横浜2連戦に備えて下さい。現時点で59勝35敗8分で中日とは1.5差と僅差になってしまいました。
さて、仮題『黒服の客』は暑さで中々進まず、130枚程度で、残りは3割位ですか。演劇を目指す少女の起伏に富んだ成長物語です。ご期待下さい。これは中篇にする積りです。
それでは、イタリア紀行文の続きをお楽しみ下さい。
四十五. イタリア、ローマ市 (古代人との邂逅)、(続き)
昭和六十三年八月
(四) バルベリーニ広場
ヴェネト通りの並木舗道のテラスで、グレープジュースを注文した。丼の大きさのワイングラスに入っている。三人分はありそう。イタリア人の胃の大きさをみたい。
バルベリーニ広場からヴェネスト通りをS字状に上って行くと、三世紀に城塞として建てられたと言うピンチアーナ門が見える。右手にある予約したジラロスト・トスカノで夕餉を愉しむ。食前酒ビアンコを飲みながら、アンチパスト(前菜)の生ハム、サラミ、ミートボールに手を出して語らう。チキンの炭火焼き、舌平目のグリル、ミックスサラダ、オリーブ油と酢和え、デザートのアイスクリームミックス、食後酒にアマーロ・ルカーノを味わった。辺りを見回すと、夕食を家族と、友と、恋人と笑顔でお喋りしながら、赤ら顔で陽気に過ごしている。
(五) トレヴィの泉
『トレヴィの泉』を訪ねて、壁面の海神彫刻と人々の多さに驚いた。この泉は古代水道の修復と整備の最後の計画として、教皇クレメンス十二世が公募し、ベルリーニからサルヴィの手を経て完成との事。このポーリ宮殿の壁面彫刻はブラッチ作。コインを後ろ向きで投げる人、色取り取りのアイスクリームを頬張る人、写真を撮る人で鈴なりだ。強烈な太陽がポーリ宮殿にさえぎられて影を大きく作り、そこで涼をとる市民と観光客。
翌日、日本人医師を招いたパーティーを済ませ、各ホテルに送った後、バスのガイドと運転手に礼を述べ、降りた。つかつかと寄って来た男は人のよさそうな笑顔を見せ、体躯のがっちりしたイタリア人風であった。ジャパニーズ・イングリッシュ並みの、日本人にとって理解し易い英語で話し掛けてきた。小さな紙に印刷された地図を出し、指差ししながら、「『トレヴィの泉』は何処ですか?」と問われた。「二度訪れたが、ここからどう行くかは、夜でもあり、方角が咄嗟には判らない。でも、宿泊中のホテルの近くだから、途中まで案内しますよ」「おお! どうも有り難う」 道中、こちらは日本からこれこれしかじかの用事で来たなど喋り、相手も自分は技術者で東京には一度行った事があり、大阪には知人もいるなどと話しながら来ると、『トレヴィの泉』の標識が見付かった。自分のホテルはすぐそこのコルソ通りの『コロンナホテル』だが、まだ午後九時半だし、眠るには早いし、英会話の練習にもなると考え、彼とトレヴィの泉で飲もうと思った。目的地に着くと、彼はわざわざコインをくれたので、後ろ向きでお互い投げ入れた。近くの店でビールでも買って来ようとすると、「ここでは話もゆっくり出来ないし、その辺のバーで飲もうぜ」と言った。「自分は夜空の下でビールを飲みながら語りたい」と言い返した。「おごるから、路地裏のバーに行こう」と言いつつ、歩き出した。じゃ、行ってみようかと心で思い、彼の後についた。奥まった所へ入り込むと『ピアノバー』の看板。昨夜のミーティングで、友二人から、『ピアノバー』に寄ったら女二人、男二人が中に居て、コーラ一杯ずつで計二万円ぼられたと言ったのを思い出した。彼はいやにバーで飲む事にこだわり、またトレヴィの泉を初めて訪れたには、『ピアノバー』の方角へすんなりと先に立って案内したもんだと気付いた。これはやばいぞ、引っ掛かってたまるか。特に一人だし。と心に呟き、「自分はトレヴィの泉の前で飲むんだと強く言った。彼は六米先におり、正に『ピアノバー』の扉に手を遣るところで、「ここで飲もうぜ」と再三再四叫んだ。「じゃあ、これで。僕はホテルに帰るよ。さようなら」彼は未練たっぷりなジェスチャーをして扉を開けて中に消えた。やはり、日本人観光客を狙ったたかりやさんだと思った。人を疑う事は悲しいが・・。海外では、注意し過ぎる事はないと自分に言い聞かせた。まして、全財産を肌身に付けているので。仲間と後を追って来られたら困るので、速足で多くの観光客に紛れ込んだ。追われた様子も無く、ホッとした。ホテルに戻り、冷蔵庫のビールを一気に飲み干した。
(六)テルミニ駅
テルミニ駅を見詰めた・・。二十六年前の記憶が蘇ってきた。
一浪中、図書館での勉学に疲れ、ふらっと入った洋画館。そこで、キャサリン・ヘプバーン主演の『終着駅』を観た。小銭を貯めたアメリカ人の五、六十歳の女がローマで恋し、愛したイタリア人男性と、夫々の家庭を守るため、テルミニ駅で永遠の別れをする名場面であった。こんな恋、愛の形もあるものなのだなあ、何時か自分も経験したい。苦しいかも知れない、悲しいかも知れないが・・。それには、当面の自己の課題である大学入試を突破するしかない。ようし、頑張るぞー!と映画に勇気付けられたものだ。その場所に、今立っている。自分なりに努力して、大学を卒業出来、出張で来られた。これからも、努力あるのみ。駅を目に焼き付け、後にした。同じような体験は残念ながら、現時点で叶っていないが・・。