やればできる ブルーベリーの果汁からつくる太陽光発電塗料

2013-11-06 20:25:20 | 自然エネルギー

やればできる ブルーベリーの果汁からつくる太陽光発電塗料

ミラノ・ビコッカ大学の研究所「Mib-Solar」で、有機素材の塗料を用いて太陽光を集める新しい方法が研究されている。塗料はブルーベリーなどの果物からつくられる。

『ベスト・キッド』のミスター・ミヤギならこう言うだろう。「塗料を塗れ。明かりをつけろ」。冗談はさておくとして、太陽光発電について考えてみよう。もし値段が高くて重いシリコンのパネルではなく、塗料をひと塗りして発電することができるなら、素晴らしいことではないだろうか?

 実をいうと、この解決策のために何年も研究が行われている。しかし最近になってようやく、市場への投入を考えられるような結果が得られた。イタリアには、この分野で最先端の研究所のひとつがミラノ・ビコッカ大学にある。名前は「Mib-Solar」という。

ここでは、DSCテクノロジー(Dye-sensitised Solar Cells:色素増感太陽電池の頭文字。これが魔法の塗料の名前だ)が特殊な環境で実験されている。そこには、赤道における太陽天頂角が45度にあるときの太陽光を、小規模で再現した特殊な電灯がある(その光は1平方メートルあたり1,000ワットに相当する)。隣接する部屋では、光をとらえて、これを完全にグリーンな電力に変えることのできる着色料がつくられている。まずは順番に見ていくとしよう。

パネルよりも簡単でシンプルなテクノロジーは、ある事実からも必要とされている。パネルは、一般的に屋根の上、つまり建物の一部のみにしか設置できない。一方塗料は、どこにでも塗ることができる。住宅にとっては、屋根が太陽光発電設備の設置に最も適した場所であるのは変わらないが、高層ビルに関しては、巨大な建物は4つの垂直な壁で構成されている。ミラノのCityLife地域にそびえる新しい高層ビルのひとつ、ウニクレディト・タワーについて考えてみよう。屋根は全体のごくわずかな部分にすぎない。反対に、垂直の壁は非常に大きな面積で広がっている。太陽光発電塗料を塗ることで、エネルギーの観点から得られる利益は莫大だ。世界のさまざまな都市の風景を変容させている新世代のすべての建物は、完全にDSCテクノロジーに適している。

ほかにも利点はある。この太陽電池有機塗料は、パネルよりも経済的だ。「わたしたちは塗料のコストを、パネルをつくるシリコンの5分の1と計算しました。中国との競合のために価格が低下しているとはいえ、シリコンは非常に高価です」と、Mib-Solarの副所長で、ミラノ大学物質科学科の有機化学特任教授、アレッサンドロ・アッボットは説明する。

 「太陽光発電塗料が、基本的に有機塗料や酸化チタンでできていることを考えてみてください。大量にわずかな値段でつくることのできる材料です」。価格は唯一の長所ではない。すでに述べたようにこのシステムの柔軟性は、建物の多くの面を利用することを可能にする。さらに? 「この塗料は、淡い光でも機能します。つまり夜明けや夕暮れ、曇り空などの条件、垂直の位置でもいいのです。最良の天候条件で、水平に置かれることで最もよく機能するシリコンとは異なります」。



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