太陽光を80%の高効率で変換し水蒸気を生み出す材料 東北大学

2017-03-11 09:10:20 | 自然エネルギー

太陽光を80%の高効率で変換し水蒸気を生み出す材料

東北大学 原子分子材料科学高等研究機構の研究グループは、世界最高レベルの太陽光エネルギーの変換効率を持つ水蒸気発生材料を開発した。3次元構造を持つナノグラフェンを用いた材料で、水蒸気の生成や純水の精製、汚染水の濃縮や浄化などさまざまな用途に利用できるという。

東北大学 原子分子材料科学高等研究機構の伊藤良助教、陳明偉教授らは、3次元構造を持つグラフェンを用いた高性能な水蒸気発生材料を開発した(図1)。グラフェンは、ナノサイズの細孔がランダムにつながったスポンジ状構造体を持つ、多孔質構造体だ。今回の研究では太陽光をこの3次元多孔質グラフェンに照射した結果、水の蒸発スピードは1平方メートル当たり1.5kg/h(キログラム毎時)となった。この数字は太陽光エネルギー変換率の80%に相当し、これまで発表された水蒸気発生効率の中で世界最高レベルとなっている。

今回の研究は3次元多孔質グラフェンを太陽熱温水器の集光材料に使用することで、太陽光の熱エネルギーを効率よく吸収し、さらにその熱エネルギーが局所的に集中することで反射鏡やレンズなどの集光装置を用いることなく、水から水蒸気を発生させることに成功した。

太陽光で加熱された水は比重差による対流現象や熱伝導によって熱が拡散し、温度が均一化に向かうため熱水は保持されない。しかし、今回の研究では窒素を導入した3次元多孔質グラフェン(図2)を吸収材として使用することで、そのミクロサイズの孔内に捕らわれた水が集中的に加熱される。これにより熱が拡散することなく容易に高温化できることから、水蒸気への変換効率を従来のグラファイト粉を用いた場合の56%から、80%にまで高めることに成功した。



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